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韓国 消える犬食

「猫の次は犬か」と各方面からツッコミが来そうではありますが、このニュースを避けて通ることもできないでしょう。
韓国で、たびたび論争を巻き起こしてきた「犬食」。この伝統的な食文化を、ついに禁じる法案が国会で可決されたのです。

個人的な思い出も交えて、この動きをみていきます。


どこか怯えた様子だった韓国のワンちゃんたち

私もソウルで犬を食べたこと…あります。
複数回、食べましたね。

初めて韓国に暮らしたのは1999年から1年間ほど。「韓国人は犬を食べる」というのは予備知識として持っていました。しかし、かつて実家で犬(名前は「ハリー」)を飼っていたこともあり、自発的に食してみようという気持ちはゼロ。

あれは、忘れもしません、NHKソウル支局からそう遠くない永登浦(ヨンドゥンポ)市場を夕暮れ時にブラブラと歩いていたときのこと。
今でこそ永登浦には大型ショッピングモールがあったりしますが、当時は庶民感あふれる市場だけ。
ふと前方を見ると、5匹ほど動物の丸焼きが横串に刺され、そうした横串が3本ほど木枠のようなものにかけられています。

日が暮れかけていて、遠目からはよく見えなかったんですよね。

鶏かな…と思いながら近づくと。

犬の丸焼きでした。

今でもその光景は鮮明に脳裏をよぎります。ちょっとしたトラウマとなりました。

永登浦の衝撃以降、意識して街中で犬を観察するようになると、日本の犬たちに比べてオドオドした様子のワンちゃんがなんと多いことか。道の端っこを、目立たないように飼い主の陰に隠れるように散歩していました(主観が混じっています)。
分かっていたのですかね、自分たちの仲間が人間に食べられていることを…

これまで何度も繰り返された論争

さて、韓国での犬食は、さすがに犬の丸焼きが食卓に登場するわけではありません。最もポピュラーなのは「補身湯(ポシンタン)」あるいは「栄養湯(ヨンヤンタン)と呼ばれる鍋料理です。

また、食用に飼育されている犬種は絞られていて、「黄色い犬」を意味する「ヌロンイ」という朝鮮半島原産の犬です。

「補身」「栄養」という名前から分かる通り、朝鮮半島では犬の肉は栄養価が高いとされ、日本で「土用の丑の日」に鰻を食べるのと似た感覚で夏場に多く食べられてきました。
とはいっても、昔から女性は敬遠する傾向が強く、もっぱら一部の中高年男性の好物でした。食べるのが男性に偏ってきたのは、「精力がアップする」という謳い文句に惹かれてきたことが大きかったです。「食べたら体がポカポカして、汗も普段とは違う粘り気がありますよ」と嬉しそうに効能を語る人もいましたが、感想は人それぞれです。

ちなみに、「池畑は市場で犬の丸焼きを見て驚いたというけど、結局食べたのか」と疑問に思われる方もいるでしょう。説明します。

初めて食べたのは、ハイキングの途中に寄った、メニューもない山あいの食堂でした。仕事仲間の韓国人から何も告げられずに「さ、どうぞ」と勧められたのです。
で、腹が膨れたあとになって、「さっきの鍋、独特な風味だったでしょ?犬肉ですよ」と実に嬉しそうに「種明かし」をされた、という次第でした。その瞬間は「嵌められた!」とショックを受けましたが、同時に「案外と食べられるな…」というのが感想でした。

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