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中国全人代 成長率目標以外の注目点

3月5日、北京の人民大会堂で全国人民代表大会(全人代)が開幕しました。最大の注目は、2024年の経済成長率の目標を指導部がどう設定するかでしたが、「5%前後」という、去年とだいたい同じ水準となりました。

この成長率目標に関しては、既に各メディアで詳しく伝えられ、識者の分析も出ていますので、ここでは「それ以外」のいくつかの注目点を掘り下げます。


そもそも「国会」「議会」なのか

この全人代、日本メディアではよく「国会にあたる」と紹介されます。ですが、読者の皆さまもよくご存じのように、民主主義国のように与野党が議場で攻防を繰り広げる性質のものではありません。

英語圏のメディアではしばしば"rubber-stamp parliament"と呼ばれます。「ゴム印を押す」という意味のrubber-stampは、指導部が示した政策方針をさして議論せずにハンコを押して承認することを指します。
そこに小馬鹿にしたニュアンスが含まれているのは否めません。

以前から「国会」とはだいぶ様相が異なる全人代ではありましたが、ましてや今は習近平国家主席に権力が非常に集中しています。中国全土から北京に集まった代表たちの中で習主席にモノ申す人がいるとは、到底、思えません。

「安全」乱発と習主席礼賛

さて、全人代における最大の見どころは開幕初日に行われる政府活動報告です。これは首相が読み上げます。

今回は李強首相。
「5%前後」という成長率の目標に関しては「容易ではない。的確な政策を講じ、各方面が心を一つにして倍の努力をする必要がある」と述べて、さすがに経済が停滞している現状に危機感を表しました。

一方で鮮明だったのは「経済より国家安全」を重視する習主席の路線が変わる兆しが見えなかったことだと思います。李強首相は「安全」という言葉を30回近くも口にしました。ここでいう「国家安全」は、「中国共産党の統治が揺るがない」という意味です。

公平を期すと、李強首相の報告では地震などの災害への備えを強化することや、食品の安全管理により力を入れるなど、日本人でも共感しやすい「安全」への取り組みも示されはしました。

ただ、「安全」という文脈で、李強首相は「新時代の『楓橋(ふうきょう)経験』を堅持・発展させる」とも述べました。この「楓橋経験」、毛沢東が称賛した住民の相互監視による統制の強化で、習主席がそれを現代に蘇らせようと自ら音頭を取っているものです。

習主席礼賛

もう一つ、報告が活字になると鮮明に分かるポイントが。

この↑中国の検索サイト「百度(バイドゥ)」経由で、政府活動報告は全文が公開されています。

主な項目ごとに柔らかいタッチのアニメが挟まれているなど、なかなか工夫されていると関心もしますが、とりわけ目を引いたのは、今年の目標全体。
二番目の大項目である「2024年经济社会发展总体要求和政策取向」のところで、その冒頭部分だけ突出して太字フォントの文章が長いです。心して読むべし、ということなのでしょう。

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