見出し画像

中国 三中全会の変調

三中全会(さんちゅうぜんかい)。

メディアで「中国共産党の重要会議の一つ」と銘打たれることから注目される方もいると思います。ただ、共産党大会、全人代、北戴河(ほくたいが)会議などなど、今の中国では「重要会議」がいろいろあるので、どれが本当に重要なのか分かりにくくもあります。

少し歴史的な経緯を踏まえたうえで7月15日に開幕した今回の三中全会の「変調」をみていきましょう。


そもそも三中全会とは

冒頭でお伝えしたように、7月15日から三中全会が始まりました。ですが、例によってというか、非公開です。誰がどういう発言をしているのか分かりません。最終日(今回は7月18日)にコミュニケが発表されるので、メディアとしてはそれを待つしかありません。

三中全会に注目が集まるのは、上記のNHK記事にもあるように、主に経済政策を取りまとめるためです。それも、中・長期的な。つまり、けっこうスケールの大きな経済運営方針が打ち出されるので注目度が高い、というわけです。

なぜ「三中」なのでしょうか。
中国共産党は5年に一度のペースで党大会を開いて中央委員と中央委員候補らを選出します。そして、その党幹部たちが数多く集まって議論するのが「党中央委員会全体会議」です。略して「中全会」。ちょっと縮め過ぎの感もありますが、それはさておき。

「中全会」は、中央委員らの5年の任期中、7回開かれるのが慣例です。初回が「一中全会」、2回目が「二中全会」、3回目が「三中全会」…という具合に続きます。

そして、党大会が何回目かに応じて、中央委員らの5年間の任期にも「第〇期」と同じ数字がつきます。直近の党大会は2022年の第20回でしたので、今の任期も「第20期」。なので、今回の三中全会は「第20期三中全会」となります。

「一」「二」ではなく「三」で中・長期的な経済の舵取りを決めるのは、最初の2回は党や政府の人事を決めることにエネルギーが費やされるためです。洋の東西を問わず、組織となると人事は最大の関心事。様々な駆け引きも繰り広げられます。

そうした人事の動きが落ち着いて、皆が本業(?)の国家運営に集中できるような環境になったところで、「三」において経済をどうするか決めようではないか、というわけです。理にかなっています。

あの改革開放政策も三中全会で

最も有名なところでは、1978年に開かれた第11期三中全会。3回目の失脚から復権した鄧小平のもと、中国共産党は毛沢東時代の階級闘争路線に終止符を打ち、経済建設に邁進しようと決めました。これが改革開放の始まりとなったのです。
文化大革命という悪夢から立ち直り、世界2位の経済大国へと向かい始める原点となったといえるでしょう。

ここから先は

1,000字
この記事のみ ¥ 200
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?