朝鮮半島 不穏な2024年へ
年の瀬も年の瀬、12月31日に公表された北朝鮮の金正恩総書記の発言が波紋を呼んでいます。
韓国のことを「もはや和解や統一の相手ではなく、交戦国」と位置づけ、軍事挑発をエスカレートさせると宣言したのです。
「いつものことでは?」と感じる方もいるでしょう。ただ、韓国の情報機関も2024年初めに北朝鮮が何かしら大きな挑発を仕掛けようとしているとみていて、朝鮮半島では「いつもとは違う」不穏な空気が漂っています。
(冒頭の写真は韓国・延坪島から見た北朝鮮です)
南北を2つの「交戦国」と位置づけ
朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は31日、平壌で開かれた党中央委員会総会における金正恩氏の発言を伝えました。
それによれば、彼は「もう現実を認めるときだ」として、韓国を統一の相手と位置づけることは放棄すると宣言。
「我々のことを『主敵』と宣言して外国勢力と野合して(北の)政権崩壊と吸収統一の機会だけを狙う一味を和解と統一の相手だと考えるのは、もはや繰り返してはならない誤りだ」と述べたということです。
そして韓国のことを「大韓民国」とも呼び、今後の南北関係を「敵対する2つの国家」の関係、「交戦国」どうしの関係へと抜本的に転換するとしました。
以前の記事でもご紹介したように、今年に入って金与正氏らが韓国のことを「南朝鮮」や「傀儡」という従前からの呼称ではなく「大韓民国」という正式名称で呼び始めたのは、この路線転換への布石だったのでしょう。
「統一の放棄」は何を意味するのか
北朝鮮がこれ以上統一を目指さないとするなら、それにはプラスとマイナス両方の響きがあります。
プラスとしては「やっと『赤化統一』を諦めたか」というもの。
1950年、北朝鮮は軍事力による共産主義下での「赤化統一」を目論んで38度線を突破して南侵、朝鮮戦争を引き起こしました。国連軍が押し返して1953年に休戦協定が結ばれて今に至るわけですが、休戦後も北朝鮮は各種のゲリラ攻撃やテロを実行しました。それは「赤化統一」を諦めていないことの表れだったともいえます。
もうそうした無謀なことをしないというなら、やれやれですが…
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