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来週の相場見通し(7/8-7/12)

<読了目安時間:25分>

この記事では2024年7月8日(月)〜12日(金)における主な政治・経済・金融・企業関連イベントを取りあげ、その見どころを解説します。記事の大まかな流れは目次の通りです。



✅ 見どころ1:毎月勤労統計調査(日本)

週明け早々の8日(月)8時30分に厚労省から毎月勤労統計調査(略称:まいきん)が発表されます。今回は5月速報分。日本における賃金・労働時間の主たる統計として注目され、メディアでは殊更に「実質賃金〇〇ヶ月連続マイナス」と取りあげられることから、皆さんの記憶にも残っていることでしょう。

給与額そのものを指す名目賃金は前年同月比プラス圏での推移が続いていますが、物価変動を考慮した実質賃金はこれまで25ヶ月連続マイナス。物価上昇に賃金上昇が追いついていない状態を表しています。しかし、今年は風向きが変わるかもしれません。春闘の最終結果が平均5%超の上昇となったことやインフレが鈍化していることなどを受け、早ければ今夏にも実質賃金がプラスに転換すると予想されています。

投資家が賃金動向を気にする理由は、それが日銀の金融政策と関係があるからでしょう。日銀は「賃金と物価の好循環」を掲げていますので、賃金(と物価)の両指標に関心が寄せられるのは自然ですね。

前述の通りメディアでは実質賃金がよく取りあげられるのですが、日銀の植田総裁はそもそも実質賃金をそこまで重視していません。会見でもその旨を話していましたし、事実、実質賃金がマイナス圏で推移する中でもマイナス金利を解除しています。

賃上げ動向という視点では、やはり名目賃金が重要です。下図は調査毎に一貫として対象になる「共通事業所」の一般労働者における基本給を表す所定内給与の前年同月比推移です。

2022年から伸び率拡大傾向が続いており、直近では前年同月比2%程度で推移しています。日銀の物価目標が2%であることを踏まえると、賃金の伸びとしてはひとまず及第点と言ったところ。だた、経済活動による付加価値(1%と推定)がここに上乗せされるので、前年同月比3%以上を目指したいでしょう(付加価値とは何か?と言えば、結局のところその7割弱を人件費が占めます)。この観点から、いまの2%で横ばいというのはまだ力強さを欠いています。

とはいえ、現状で明らかになっているのは4月分の結果までです。今回もまだ5月分。春闘後の賃上げ効果が波及してくるのが6月〜7月ということを考えると、もうしばらく結果待ちの時間が続きます。

今回はおそらく実質賃金が26ヶ月連続でマイナスになるでしょうし、共通事業所ベースの名目賃金上昇率も2%をやや上回るところで推移するでしょう。いずれも賃金と物価の好循環において期待する水準を下回るので、メディアやSNSでは特に実質賃金マイナスの事実を煽る内容が散見されると思います。が、来月発表分や再来月発表分が本番だと思って、今回の結果にあまり振り回されたくないところです。


✅ 見どころ2:パッシブ・ファンドETFの換金売り(日本)

これまで2回にわたって取りあげてきたETF換金売りですが、来週がいよいよ本番です。前回の記事でご紹介した図表を少々手直しし、直近7月5日分までを追記しました👇

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