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きほん解説シリーズ

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初学者〜中級者向けに、経済や投資について「きほん」から解説している記事をアーカイブしています。
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記事一覧

「骨太の方針」とは?2024原案の要点

<読了目安時間:17分> 2024年6月11日(火)、岸田首相は令和6年第8回経済財政諮問会議を開催し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案を明らかにしました。 骨太の方針は政府の重点政策等を含む重要な対外発表ですが、そもそも何が書かれていて、どこに着目したら良いのか分からないという方もいるでしょう。 この記事では、今回明らかになった原案の要点をまとめつつ、その原案がどのように決まっているのか?今回決めたことが今度どう活用されるのか?といった「そもそも論」も

投資に活かす「業種」の基礎知識 #2 セクターローテーション

<読了目安時間:30分> 「景気減速期にはヘルスケア株などのディフェンシブ銘柄がよい」 —— このような話を聞いたことがある人は少なくないでしょう。経済情勢や金利の変化に応じて、業種(セクター)毎の株価に短期的な強弱が生じることが知られており、その違いをもとにした投資戦略のことをセクターローテーションと呼んでいます。 この記事はセクターローテーションあるいはセクター投資をお勧めするものではありませんが、そのような投資戦略をとるかどうかに関わらず、経済とセクターの大まかな関

投資に活かす「業種」の基礎知識 #1

<読了目安時間:10分> この記事では、投資をする上で知っておくと便利な「業種分類」を取り上げます。「いま(あるいは今後)好調な業種」という観点から投資先を考える投資スタイルがあるなど、業種は景気サイクルの動向や市場からの人気・不人気を見極めるための材料になるため、経済・投資を理解する上で重要な要素のひとつです。 ここで言う「業種」とは銀行業や小売業などが該当しますが、日本株・米国株で分類の仕方が異なるほか、「その企業はその業種に分類されるの?」と直感とは異なるケースもあ

日経平均株価、銘柄入れ替えとは?

<読了目安時間:8分> 日経平均株価は東証プライム市場に上場している225銘柄によって構成されているのですが、時代の変化に対応するために構成銘柄について年2回の定期入れ替えを行っています。具体的には春と秋に行われることになっており、この記事を書いている2月時点でそろそろ春の入れ替えが近づいてきましたね。改めて「日経平均採用銘柄の入れ替えとは?」ということで、投資初心者の方に向けてサクッと理解できるよう、なるべく平易かつ簡潔にまとめましたのでご覧ください!

【保存版】株主還元の本質、配当の功罪

<読了目安時間:45分> 2023年4月に、投資の神様と敬称されるウォーレン・バフェット氏が日本の5大商社の株を買い増して以降、日本のバリュー株(一般には割安株と言われる)に世界の投資家から買いが集まりました。注目された要因のひとつが「株主還元」の強化です。 そもそも株主還元とは何でしょうか? 配当や自社株買いという言葉は知っていても、なかなかその本質を学ぶ機会は少ないと思いますので、この記事でその要点を解説します。 SNSなど一部で盛んに取り上げられている「高配当!累進

政策保有株とは?総合商社の事例で学ぶ基本知識

<読了目安時間:13分> 日本株が割安で放置されてきた要因のひとつとして以前から注目されている「政策保有株」。今年(2024年)に入ってからも、住友化学が保有していた稲畑産業株を売却したり、日立製作所とNECが保有していたルネサスエレクトロニクス株を大量に売却したといったニュースに市場の関心が寄せられました。 ・そもそも政策保有株とは何なのか? ・どのような保有目的があるのか? ・政策保有株の何が問題なのか? ・この先も政策保有株の売り出し事例は増えそうなのか? 単に経

G-SIBs / 世界の大きすぎて潰せない銀行たち

<読了目安時間:20分> グローバリゼーションの進展によって、各国の金融機関は成長機会を求め世界の市場に進出しています。大きな銀行がより大きくなる一方、仮にその銀行の経営が破綻すると世界の金融システムに甚大な影響を与えてしまいかねません。それを防ぐために、最終的には政府が救済しなければならないという所謂「大きすぎて潰せない(Too big to fail, TBTF)問題」があります。 個人投資家にはあまり関係がないことように思うかも知れませんが、株式市場が混乱に陥るとき

【ファンダメンタルズ】(2) 財務三表とは?

<読了目安時間:15分> 投資に活かせるファンダメンタルズ特集第2弾として、財務諸表の中でも特に重要なものである財務三表を取り上げます! 基本的な内容を解説しているため、既に企業価値評価などをご自身でされている方は読み飛ばしていただいて構いません。 第1弾の記事はこちら👇

【ファンダメンタルズ】(1) 財務分析とは?投資に必要な知識なの?

皆さん、ファンダメンタルズや財務分析という言葉を聞いたことはありますか? 「聞いたことはあるけど何だか難しそう」、「勉強したいとは思ってたけどなかなか踏み出せない」などちょっと距離感のあるイメージを持っている方が少なくないかもしれませんね。 私のメンバーシップに入っている方には既に財務分析を使いこなしている方も一定数いると思いますが、そうではない初学者の方が多いと思います。 初学者といっても、そもそも財務分析という言葉に辿り着いている時点で投資に多少慣れて来た頃かなと想像し

【保存版】世界のメジャー企業(3大〇〇、メガ〇〇など)

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【資産配分②】知っておきたいアセットアロケーションの戦略

<読了目安時間:16分> 資産配分シリーズの第二弾として、この記事では投資・金融界隈でよく知られたアセットアロケーションの戦略をご紹介します。 資産配分シリーズ第一弾はこちら👇 ✅ 伝統的な戦略:60/40ポートフォリオとは?伝統的な資産配分の考え方に「60/40ポートフォリオ」(60・40ポートフォリオとの表記も)があります。これは株式に60%、債券に40%を配分するアセットアロケーションのことで、現代ポートフォリオ理論など長年にわたる金融理論の発展とその実践により構

【資産配分①】アセットアロケーションの基本

<読了目安時間:10分> S&P500を買おうかな?アメリカの債券が安いらしいけどどうだろう?ビットコインは…。投資家であれば誰もが一度は考える「資産配分(以下、アセットアロケーション)」。このシリーズでは、投資を始めるときの第一歩となる資産配分の考え方について具体的な例を用いながら基本知識をまとめます。シリーズ全体は3本構成にします。最後の1本は私自身の投資話を含むためドクターメンバー限定記事になる予定です。

新NISA、非課税はどのくらいお得?(配当再投資)

<読了目安時間:14分> 2024年からはじまる新NISA。皆さんはどのような銘柄を買う予定ですか? インデックスファンドの投資信託一択です!という方や、個別株を組み合わせようと思っています!という方など色々だと思います。 この記事では、新NISAとは何か?という簡単な説明をした後、特に高配当株など「配当」を受け取るタイプの商品において、課税と非課税の差がどのくらい生じるのか?という話をします。その結果から、新NISAあるいは投資全般においてどのような考え方が大事なのか?

【5分解説】税制改正大綱とは? (きほん解説シリーズ #4)

「NISA拡充…!」。2022年、市場関係者や個人投資家を沸かせたこのニュースを覚えている方も多いでしょう。この記事を書いている2023年12月であれば「生命保険控除の上限引き上げが検討されている」とのニュースが話題になっています(なぜ生命保険?という意味で)。 これらのニュースに関連するのが毎年12月の恒例行事となっている「税制改正大綱(ぜいせい かいせい たいこう)」です。冒頭のNISA拡充の話も、昨年に議論された税制改正大綱に関する一大テーマとして個人投資家からの注目を