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「家族が仲良く、健康に暮らせること」が一番大切な価値 <モリシタ・アット・ホーム:兵庫県姫路市>


モリシタ・アット・ホームは、家族が仲良く、健康に暮らすための家づくりを追求しています。社長の森下誉樹(もりした・たかき)さんは、動線や収納の工夫で家事の負担を減らすことが、家族の関係を良好にする秘訣だと考えています。

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ローコストから高性能住宅へ

曾祖父、祖父、父と代々大工の家系。兵庫県宍粟市で58年前に創業した工務店が現在のモリシタ・アット・ホームの起源で、姫路市で別法人化して今年45年になります。現社長の森下誉樹さんは3代目。弟さんもリフォーム専門の会社モリシタ・アット・リフォームを経営しており、兄弟で家業の家づくりに励んでいます。

20年ほど前、木造注文住宅に取り組み始めた時は、大手ハウスメーカーの指定工事店でもあったことから、元請けとのバッティングを避けてローコスト住宅を中心にしていました。最盛期は年間70~80棟を建てていましたが、棟数を追う仕事のあり方に限界を感じるようになりました。そんな時、高性能住宅づくりでおなじみの松尾和也さん(松尾設計室)の存在を知った森下さん。さっそく松尾さんに会い、断熱やパッシブデザインを学んで自社の家づくりをレベルアップさせてきました。

“家族本位”が家のあるべき姿

「“健康”と“家族仲良く”以上に価値あるものはない」という松尾さんの言葉に感銘を受けた森下さんは、家づくりの担い手として、家族が仲良く暮らす手助けとなるような家づくりをしたいと思い続けてきました。

一昔前の注文住宅とは、立派な床の間や応接間を優先するなど、その家の主の権威の象徴として〝主人本位〟に建てられてきました。しかし、時代は変わり家族のあり方も大きく変わりました。共働きが当たり前になり、仕事が忙しい中、家事も子育ても同時にこなさなければなりません。そんな状況で誰かひとりに家事の負担が集中すると余裕がなくなり、体調を崩したり、ギスギスした関係になってしまいます。

森下さんは、今つくるべき家は“主人本位”ではなく、誰かが我慢しなくて済む“家族本位”でなくてはならないと強く考えるようになりました。家事が楽にこなせる家にならないと、家族が仲良く暮らせる家になるはずがないのです。「家事をサクサクこなすためには、冬暖かく夏涼しい家でないと話になりません。家中快適な家は家族の仲も良くしてくれます。松尾先生の指導のおかげで快適な家づくりが強化できました」(森下さん)。

収納計画でつくる散らかりにくい家

同社の家づくりのキーワードになっているのが「生活動線」の分析と「収納計画」です。「できるだけ収納がたくさんほしい」と考えている方も多いと思いますが、単に収納の面積が大きければいいわけではありません。家族特有の生活動線を考え、適切な場所に、適切な間口と奥行を検討した収納を配置することが重要なんだそう。

一方で、断捨離やデザイン優先で収納が少ない家も存在します。森下さんはそれもまたよしとしつつ「実際は捨てられないものもあるでしょう。家の中にあるモノを包み込んで、“散らかりにくくて片付けやすい”きれいに住める家が良いんです。それを実現するのが収納計画」だと言います。同社では、収納プランナーとのコラボレーションで、家事の時短がかなう収納計画を間取りに落とし込んで提案しています。

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上左/収納量を十分確保したサニタリー
上右/夫婦の寝室と直結したウォークスルー・クローゼット。平屋のメリットであるワンフロアですべての家事が完了する間取り
下/美しい植栽が印象的な1.5層の吹き抜けのあるリビング

将来を見据えた「ほぼ平屋」

森下さんが提唱する、新たな住まいのコンセプトが「ほぼ平屋」です。このほど、松尾さんの設計によるモデルハウスがオープンしました。

ワンフロアで生活が解決する平屋は、若い世代にも注目され人気もありますが、現実的には広い敷地がないと、十分な面積が得られません。同社の営業エリアでも、市街地は小さな土地が多いので、最終的には諦めてしまう人も多いそう。

そこで、一部を2階建てにして床面積を増やしながら、主な生活空間を1階に集中させて、平屋の利点も取り込むのが「ほぼ平屋」です。2階に置かれることが多い寝室も、1階に配置。2階は、暮らしの変化に合わせた使い方ができるよう、スケルトンに近い状態にしています。

人生100年とも言われる時代、住まいの究極は“夫婦本位”になることだと森下さんは考えます。「子どもたちが巣立った後の人生は意外に長いんです。最終的には夫婦が互いに助け合って暮らしていける家になっていることが重要なのです」(森下さん)。

お節介な家づくり

自らを「お節介」だと言う森下さん。お客さんに貯金額を尋ね、時には「もう少し貯金してから、もう一度来てください」と説得することも。また、土地を買うときはご夫婦それぞれが親の了承を得てからにするよう薦めています。これは、実家同士の関係が悪化しないための、森下さんなりの気遣いなのです。

暮らしぶりも、森下さんの「お節介」の範疇。具体的には動線や収納の話になりますが、そのこころは「家族と仲良く暮らすためのしつらえ」。「寒い家、家事がやりにくい家はもってのほか。性能や動線、収納が、仲良く暮らすためのものだと理解してほしいですね」(森下さん)。

「家族が合意形成でき、住んで使いこなせる家」をつくることを、森下さんは今後も大事にしていきたいと考えています。

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※本記事は「だん08」に掲載されています


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