地域のつむぎ手の家づくり|木の本質を知り、適材適所に使う<vol.20/タガハウス:福井県鯖江市>
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地域のつむぎ手の家づくり|木の本質を知り、適材適所に使う<vol.20/タガハウス:福井県鯖江市>

【連載について】“地域のつむぎ手の家づくり”って、なに?
家づくりをおこなう住宅会社には、全国一律で同じ住宅を建てる大規模な会社や、各地方でその土地の気候に合った住宅を建てる小規模な会社など、さまざまな種類のつくり手がいます。その中でも、その地域ならではの特色や、そこで暮らすおもしろい人々のことを知り尽くし、家をつくるだけでなく「人々をつなぎ、暮らしごと地域を豊かにする」取り組みもおこなう住宅会社がたくさん存在します。
この連載では、住宅業界のプロ向けメディアである新建ハウジングだからこそ知る「地域のつむぎ手」を担う住宅会社をピックアップ。地域での暮らしづくりの様子をそっと覗かせてもらい、風景写真とともにお届けします。

今回の<地域のつむぎ手>は・・・

福井県鯖江市のタガハウスは、20年後に美しくなる家をコンセプトに、木材を生かし、職人の技術を生かした家づくりを行っています。田賀一郎社長のこだわりは「自然素材の使用と、良材の適材適所」。駆け出しの頃に知識不足を痛感して以来、良材を見極める目を養ったといいます。輸入材を積んだ船便を港で待ち構えて木材を研究したり、材木問屋の勉強会に参加したりと感性を磨き続けました。

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タガハウスの田賀一郎社長。

同社の一番のこだわりは木材。福井県産材から世界各地の良材まで、独自のネットワークを通じて原木を仕入れ、木材の性質に合わせて5年~15年もの歳月をかけて自社で自然乾燥させます。木材をゆっくり乾燥させて含水率を一定値まで落とすことで、収縮や反りなどの狂いが少ない安定したものにすることができるのです。また、大量に原木を仕入れることで材料費を抑え、お客様の負担を軽減するためのコストも意識しています。

資材1

ストックされている木材は多種にわたり、外材では、
ブビンガ・モアビ・オバンコール・パープルハート・
ウェンジ・ゼブラウッド・ドウシエ・チーク・マホガニーなど。

良質な木材を適した場所に使うこと、それには手刻みができる大工の存在が欠かせません。同社ではプレカット工法ではなく、大工職人が手で刻んでいます。理由は2つあり、1つ目は職人の育成のため。大工技術を身につけるためには、建前までの墨付けと加工技術を習得し、手刻みの経験を積む必要があります。2つ目は自社で保管している木材が長尺で大きい断面であるためプレカット工場で加工できないことから。そして職人により加工された材は正確かつ緻密な技を駆使し、家づくりが行われているのです。今や50種を超える木材は匠の手仕事とともに適材適所に納まり、「20年経ってようやく家らしい表情になります」と田賀社長は話します。

仕口2

大工の手仕事が感じられる仕口のようす。

前述のように、同社では先人からの大工の技術を継承するために、大工育成に積極的に取り組んでいます。技術だけでなく、大工としての信念や立ち居振る舞いなども含め、4年目で棟梁となれるよう指導しているそう。これまで40人近い大工を育成し、5人が独立。日本の伝統的な工法を未来へ受け継いでいくためにも、今後も大工育成には力を入れていきたいと意気込みます。

墨付け1

職人による墨付けのようす。

建前風景

また、木材の他にも自然素材を使うことにこだわっています。内装にはオリジナルの和紙クロスが標準装備。化学物質を使っていないため、その素材感も相まってやさしい空間に仕上がります。また、キッチンや建具も造作して、オリジナルデザインに。キッチンは自然の一枚板を用いたカウンターを造作したり、コンロまわりには扱いやすく、掃除も容易な御影石を使うなど、自然素材に包まれた快適な住空間を創出しています。

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自社にある木材を用いて、玄関まわりの
壁やドアもオリジナルで造作。

小林邸-K3

キッチンや背面収納、建具も同社のオリジナル。

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手前のダイニングの天井は屋根勾配を生かしたつくり。
キッチンと背面の収納扉は杢目を揃えた突板を使用しています。

築130年の古民家に希少材をつかった改修では、間口13尺もの玄関にアフリカのブビンガ材を採用しました。今やワシントン条約によって輸入規制がかかる木材ですが、自社で保管されていました。赤褐色の美しい色調は古民家ともよく合い、玄関ホールやキッチンの天板で個性ある空間をつくり出しています。LDKには床暖房を敷設し、ここに住む高齢のお母様が年中快適に過ごせるように配慮しました。また、構造材の補正ため、ジャッキアップを要する大がかりな改修工事によって、基礎の補強や断熱性能が向上。130年の歴史が次世代へとつながる住まいになりました。

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沓脱石や式台、上り框のある伝統的なつくりの玄関ホール。
玄関ホールの床にはブビンガ材を使用しています。

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ダイニングキッチンは屋根勾配を生かした開放的な空間。

同社がつくる住まいは、木のもつやわらかな風合いや香りに満ちています。「家にいても自然の中で過ごしているような心地よさがある」と住まい手は話します。「一生に一度ともいえるからこそ、品質・価格ともに誰もが納得できる、深い感動が生まれる住まいを建ててほしい」。田賀社長はその想いと志を胸に、技術を磨き続ける職人たちとともに1棟1棟丁寧につくり続けます。

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大きく庇を伸ばす瓦屋根と塗り壁との相性もよく、
風景になじむ外観。

文:新建ハウジング編集部
写真:タガハウス提供・原常由





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