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「自立」とはなにか

このマガジンは、業界に入って間もない新人さん向け。
障害福祉のあれこれを取り上げていきます。

障害福祉の世界では、よく登場する「自立」という言葉。
今回は、その意味について考えてみたいと思います。

 

自立という言葉は、
・自立生活
・身辺自立
・障害者自立支援法
などなど、いろんなところで使われています。

辞書で調べてみると、
・他への従属から離れて独り立ちすること。
・他からの支配や助力を受けずに、存在すること。
・支えるものがなく、そのものだけで立っていること。
と、コトバンクには書かれていました。むずかしい内容ですね…。

つまり、自立とは、何の助けもなく「一人でできる」ということでしょうか。
皆さんは、いかが思われますか?

 

障害福祉以外で考えてみても、自立はいろんなところに出てきていて、「社会的自立」「精神的自立」「経済的自立」はよく目にする言葉です。
でも、多くの人が3つの自立を「一人でできる」状態であるかというと、疑問に思うことは多いように思います。

 

誰でも日常生活を送る上では、人の助けを借りずに一人でやることはむずかしいと思います。
困ったら助けてもらうこともあるでしょうし、落とし物を拾ってもらうこともあるし、道に迷ったら近くにいる人に聞くことだってある。
自立=一人でできるは、安易な考え方です。

ぼくたちは、家族や友人、近所の人、先生や同僚など、いろいろな人と一緒に生きていて、自分一人でできることもあれば、誰かに手伝ってもらうこともあるし、弱み(苦手なこと)を補ってもらうこともあります。
そうやって、ともに暮らし、ともに生きています。

 

自立の本来の意味とは、「その人らしさ」を大切にすることなんだと思います。

一人でできることもあれば、助けてもらったり、補ってもらうこともある。
いろんな姿があってこそ、その人らしさです。

 

人は、子どもから大人になる中で、いろんな人と出会います。
出会った人と関係性が長く続くこともあるでしょうし、学校の担任の先生など、限られた時間で一緒にいることもあります。
その中で人として成長することもたくさんありますし、その人らしさが磨かれていくこともあります。

自立は、完成形を表すものではなく、現在進行形として理解したほうがわかりやすいかもしれませんね。
その人らしさは、人とのつながりの中で多様に変化し、進行していくもの
それも、「今のその人らしさ」ですしね。

 

ぼくは、この仕事に就いて、16年が経ちました。
仕事をする中で「自立」という言葉はたくさん出てきたし、たくさん目にしました。

でも、「自立の意味」をこうやってちゃんと考えたことがあまりなかったように思います。

書いていて思ったのですが、自立は「その人らしさ」であるとともに、「自立の意味は自分で決めるもの」なように思います。
周りの人が自立している度合いを決めるのではなく、その人がその人らしさを自分で決めるもの。
自立について、一人ひとりが主体的に考えていけることも大切な視点ですね。

 

自立の意味は、業界の先輩たちがいろんな説明をされています。
先輩たちの主張もみんな違っていて、自立とは依存先を増やすことだとか、自己選択と自己決定だとか、主体的に立つことだとか…、どれもおもしろいし、興味深いです。

自立の意味は、人によって捉え方も多様なようですね。

 

自立は、大切な言葉です。
またどこかで、こうやって書きながら、考えてみたいと思います。

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