本人アセスメントと職場アセスメント(CEF2024)
今年のCEF(Conference of Employment First)は、実行委員として参加させていただきました。年度末の忙しさで毎日バタバタで、職場の皆さんには不在が多くて迷惑かけてしまっているかもしれないです。CEFで学んだことは帰ったらちゃんと職場に還元します。
さて、今回は分科会の企画と進行も担当しました。テーマは「就労支援の実践からアセスメントの基礎をおさえる」。広島と千葉から実践者お二人に実践発表していただき、参加者の方からもたくさん満足してもらえたようでよかったです。
いつものように、書きながら学んだことを整理しておきます。
本人アセスメント
本人のアセスメントをざっくり考えると、以下の流れで進めていくこととなります。
インテークでは、基礎情報を収集します。主には面談場面でのアセスメントです。本人や家族の話を聞く中でアセスメントをしていきます。
ただ、面談だけではアセスメント情報は不十分です。次のプロセスでもある「作業場面」→「職場」と環境を変えることで様々に行動観察ができ、アセスメント情報をより具体的に収集していくことができます。
分科会では、広島からの実践報告を通して本人アセスメントを学びました。アセスメントの主要な項目は、健康管理、日常生活、対人技能、労働習慣、職業適性など。
BWAP2などのアセスメントツールも活用して、アセスメントの統一化、見える化を図っておられ、支援事例の話はとても分かりやすかったです。僕らも改めてアセスメントのツール選定や標準化、仕組み化を考えないといけないと気付かされた実践でもありました。
職場アセスメント
千葉の実践報告では、「職場アセスメント」を学ばせてもらいました。詳しい内容は控えますが、発表にあった2つの事例紹介はとても興味深く、「主任職場定着支援担当」の方が職場、地域、関係機関と様々に連携して職場アセスメントを行い、その内容を本人支援に活かす取り組みはとてもよいお話でした。
分科会のイントロでも触れましたが、職場アセスメントを考えると、ざっくりは以下の流れで進んでいきます。
先ほどの本人アセスメントと同じく、ここでも最初のプロセス「職場開拓」だけではアセスメント情報は不十分です。
ジョブコーチや支援員などが職場に行かせてもらい、職場環境や実際の仕事を見学、体験をさせてもらう中で具体的なアセスメント情報を得られやすくなります。
仕事は、実際にやってみることで感じることは多いでしょうし、仕事をする中で周りの環境(物的環境、人的環境)との相性も肌感覚として現場で得られる情報もあるように思います。
また、実践報告では、関係者との連携や引継ぎなどの話も報告されていて、職場アセスメントはどうしても支援員みんなで職場訪問できないために一人でアセスメントする必要があり、そこでしか入手できない「暗黙的な情報」が意外と大事だったりします。それらの情報をどのように関係者に引継ぐか、チームでどうやって統一して支援を進めていくかが、職場アセスメントをうまく進める秘訣であるように思いました。
アセスメントの先にあるマッチングと職場定着
改めて言うことでもないですが、本人アセスメントと職場アセスメントの先にあるのは「ジョブマッチング」です。2つのアセスメント情報をうまく組み合わせることで、より良いジョブマッチングになり、その後の職場定着と戦力化が期待できます。
ただ、これはお二人の実践報告や紹介くださった支援事例でも触れておられましたが、本人や職場の「変化」がアセスメントを進める上での重要なポイントでもありました。
本人アセスメントは、就労支援が進む中で経験とともに成長されることもあり、新たな様子が見つかることもあるためにアセスメント内容も変化します。
また、職場アセスメントも、事業の状況や地域・経営環境によって企業の方針や体制、事業活動などが変化することもあるため、結果的に本人の仕事内容や職場環境も変化します。
障害は「社会モデル」ですから、「環境との相互作用」は大事な視点です。本人や職場にも変化が生まれやすいなら、相互作用による変化があることも前提に、アセスメント情報は更新をし続ける必要もあるように思います。それが、マッチングや職場定着にもつながっていきそうです。
今回、分科会を企画させてもらい、自分にとっては興味あるテーマだったのもあって、学びと気づきの多い時間でした。
それに、対面参加が約200名、懇親会の参加も100名以上と今年もたくさんの方にお会いでき、それが何よりもいい時間でした。
疲れたけど充実した2日間になりました!
実践発表のお二人、それに分科会にご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!