【ネタバレあり】OMORIをクリアしたので感想を置いておきます
『OMORI』、それは滅茶苦茶ネタバレの影響がでかく、クリア後の人々が「ようやくネットを見られる」と言いながら感想を交換するゲームである!
先日Steam版に存在する全実績をクリアした私もその1人。よって当然ながらネタバレありありで感想を綴っていきたいと思います。
『OMORI』を始めたきっかけ
このゲームを知ったきっかけは、まだ日本語版が出る前の時期に「みんなで決める2020年の新曲ランキング」という企画でいくつか『OMORI』の楽曲がランクインしていたことです。投票できる人のアンテナがすごいな。
この知ってすぐの段階で気に入った楽曲は「World's End Valentine」。流れる場面とかは知らなかったけど、曲の良さに興味を惹かれました。ただ、ゲーム音楽ってのはゲームの中で聴いてこそだよなぁとは思っているわけで。しかし、ネックだったのが前述した「まだ日本語版がない」こと。仕方ないので翻訳待ちしよう。
とか思ってたなんか月日が過ぎすぎていて、気が付いたら2022年の2月になってました。Steamのセール対象に『OMORI』が入ってるし、とっくに日本語版出ているらしいし、もう買うしかない!となって購入。それ以降は日々のまとまった時間を用意してはゲームを進めていきました。
プレイの流れ
じゃあここからプレイ中に思ったことを書いていきますね。結論から言えば私はこのゲーム3周しました。まぁ実績全回収ってなると大抵この周回数になるんじゃないかなぁ。内容は大体こんな感じ。
1周目:何も見ないで初見プレイを楽しむ
2周目:実績埋め「ひきこもりルート」
3周目:実績埋め「ノーマルルート」
2・3周目に関してはかなり攻略見ました。実績の解除方法が秘密になってるんだもん。仕方ないよね。
1周目
とりあえず最初のプレイの時は極力なんの情報も入れずに遊びました。ちょっとOMORIってゲームを調べると「ネタバレ踏むぞ、ネットを見るな」と言われてたので、大切にプレイしなくちゃと思いまして。とりあえず時系列に沿って、印象強かった場面ごと(ほぼ全部)に感想を書いていきます。
プロローグ
・開幕早々なんか真っ白な空間にいる
「どんなホラー演出が来るんだい?」と思いました。実を言うと私はホラーゲームを自分でプレイした経験がないのでホラー耐性がないんですよね。なので序盤はとにかく全てに怯えながらプレイしていたように思います。
でも進めてみると、オトナリルームのおともだち「ケル」、「ヒロ」、「オーブリー」を中心にみんなと仲良く遊ぶ展開。違うゲーム買ったかな?ってくらい困惑したけど、こういう展開のゲームが単純に肌に合っていたので楽しく進行してました。
・バジルがなんか急に「マリちゃんが……」とか言い出す
すぐさまホワイトスペース送り。しかもなぜか扉はなくなってるし、自分を刺さなきゃいけない。このあたりの展開で「???」ってなってはいたのですが、バジルの反応から「マリがなんかやらかしてる人」説に行きつきました。冤罪すぎる。
・「サニー」が目を覚ます。
この展開で「はっはーん、この夢と現実を行き来する部分が肝だからネタバレに過敏な作品なのか」と感づきました。今思うと甘かったよね。
現実世界で「あと数日で引っ越しをする」、「ケルが会いたがっている」という情報が開示されます。じゃあケルとは会いたいなぁとか思ってたけど幻覚が襲ってくるし、食ったステーキは吐くしで「とにかく現実世界が怖い」。急に自分がホラーゲームなこと思い出し始めるじゃん。
・ヘッドスペースに戻ってバジル探索@イセカイ
とにかく王道のRPGやってる~!って気分に浸れて楽しかったですね。メイン目標にバジルの探索を据えながら、サブとして人助けをこなしていくストーリーの流れが私としては慣れ親しんだゲームの形式だったので。
また、独特の世界観とそれに基づいた小ネタが面白いんですよ。オーブリーによってスペースボーイ船長がスペース元カレに改名させられる下りとかツボでしたし。そんなこともあって「本当にホラーかこのゲーム?」とか「楽しくて現実世界に戻りたくねぇ」って言ってました。
あと3日
・ケルの来訪
プロローグの時とは変わって昼間に目を覚ますサニー。今度は鏡を見ても大丈夫だし、外から話しかけてくるのはケル。これはもしかしたら扉を開けても大丈夫かもしれない、と考えてドアをオープン。
そしたら全くホラー演出もなくケルと出会えた上に、身体が成長してる以外あまりヘッドスペースと差異がない。安心感を与えてくれるケル君の存在は後の展開から考えると明らかに罠だわ。
・ハルバル町の探索
夢の中の住人が幻影としてちらつく描写に不安を覚えながら外を探索してみると、あれやこれやと見つかる「ヘッドスペースのアイデア原材料」。ここらへんで明確に「あの場所は夢というより妄想の側面が強かったんだ」と理解して、サニーのことがやっとわかってきた気分になってました。
また、現実のイベントも思ったより楽しいんですよ。バイトは「偽中国語の魚屋」、「字の汚さが一級のピザ屋」、「バイト中に寝てた修理屋」とどれもクスリと来る場面がありました。ハルバル町の住人も個性豊かだし、とにかく町中を調べ尽くしたくなったくらいです。ここらへんで「現実も面白いじゃん!サニーは早く社会復帰しろ!」ぐらいの気分になってました。
・オーブリーとの遭遇
ヤンキー化したオーブリーがバジルをいじめてるとかいうシチュエーション、普通に地獄。先に変化の少ないケルを披露されたからこそ、オーブリーの変わりようが響くんですねぇ。
そんな彼女と戦闘になったらナイフで切りつけるサニー。逃げるオーブリー一行。そしてサニーからナイフを取り上げて叱るケル。この話の流れは本当に良く出来てる!って関心しきってました。
基本的にプレイヤーとしてここの選択肢は「戦闘になったから攻撃してみるか」としかならなりません。だって『OMORI』はターン制バトルRPGで、今までもそうしてきたのですから。でもそれは「夢の中での話だけ」の話。結果として、サニーのことを「夢と現実の区別がつかなさそうな奴」と思ってたプレイヤー自身に「無意識でサニーのロールプレイをさせる」ようになっている訳です。すごいわぁ。
・マリの現在
その後はバジルからアルバムのことを聞いて、いろいろなヤンキーと拳でぶつかって、ようやく教会まで行って、やっと本人から話を聞くぞ…とという最中にケルが一言。
「マリが……マリが亡くなった時は……」
そういう話だったか。街のどこにもマリに関する情報なかったし、なんとなくそんな気がしてたタイミングでこの情報開示ですよ。話の展開が上手い。
・怒涛のホラータイム
オーブリーとの2戦目の後、バジルにはなんかが取り憑いててサニーが逃げちゃうし、自宅に逃げ込んでもなにかが襲ってくるしで急に空想が牙をむくターンになってしまいます。日中は大丈夫だったじゃん!
総じてこの現実での一日は「現実と夢のどっちがいいか」のシーソーがガッタガタ揺れる日だったように思います。サニーを操作しながら「サニーの幸せはどっちにあるんだ?」と悩んでるあたり。
・ヘッドスペースに戻ってバジル探索@ヒバナ森
ここでようやく名前だけの存在だったスイートハートの実情が分かりました。どこか魔法少女チックな衣装着たわがままな女王様ってキャラが秀逸なデザイン。また、完璧を自称してるけど実際にはそうでもない人。
彼女のせいで城に閉じ込められるあたりの各種イベントは苗モグラの扱いのひどさに結構笑ってた気がします。2回も天丼をするマキシマス卿は繰り返すたびに「またカットインから戦闘始まんのかよ!」とか言ってましたね。というか苗モグラじいやの件と言いすごい簡単に殺すじゃん…
そういえば、どこにでも先回りしてるマリとの会話でヒロに問い詰めるシーンがありまして、あれでようやく2人がいい関係なんだなぁって気づきました。多分現実でもそうだったからここでも反映されてるんでしょ、と思った矢先「じゃあ現実のヒロはそんな彼女に先立たれてる…ってコト?」と思考が回ってしまいちょっと今後の展開に不安を覚えました。
そして、どうにか城を抜けた後に始まるスイートハート戦。流れる音楽は私がゲームに興味を持ったきっかけでもあった「World's End Valentine」で、いいところでいい曲が来るじゃん!って思いながら殴ってました。
メイン攻撃がオーブリーの頭突きだったのでにこにこ固定戦術を使うスイートハートとはとても相性が悪かったのですが、そこは割とレベルによるごり押しが効いてしまいました。それでも相手の高笑いによる全員の感情操作などもあってかなり歯ごたえのある戦闘だったように思います。
・オレンジオアシスへの寄り道
スイートハート戦後に露骨な「ここから次の日にいけるよ」って穴が出た時に思いました。「まだやりたいことがいっぱいある!」と。各種依頼の未報告が溜まってたし、バジルの花への水やりもしていないとか。そんな中で思い出したのが電車に乗るイベントですね。
ホラー演出を挟みながらたどり着いたのがオレンジオアシス。名前だけはスイートハート城の王室ギャラリーのキャラから聞いていたので「あーここかぁ」と納得してました。
で、安易に恐竜発掘ツアーに手を出して、あまりの雑魚の強さに「もしかして今後の戦闘、これくらい手ごわくなる?」と勘違いし、まさかのレベリングを慣行。とりあえず最上階に登れるくらいには上げましたね。
他にはヘクトールとの再会とか、オレンジジョーとオランゲジョーの希望!活力!とか、燃えてる男とかこまごましたイベントを見てました。そこらへんでようやく「ここって完全に本編と関わりない場所なの!?」って気づきました。
・失われた図書館にて
先に話を進める準備ができたので例の大穴に飛び込むと、マリが言っていた城の地下の図書館にたどり着きました。そしておそらくサニーの記憶であろういくつもの本を読むことになります。
ここで「飛び込み台の上から」、「肩にのったクモにビビって」、「湖に落ちる」というトラウマ原因の三点セットについて知ることができます。そういうことね、じゃあ後は水だけだわ、と確信しました。いやぁ、またサニーの理解度が上がっちゃったなぁ。
あと2日
・ケルのおつかい
大学生になったヒロと会う前にケルと一緒におつかいに行くことになりました。この時はずっと「ヒロは…ヒロは夢の中と差が少ない人物であってくれ…」と願ってました。オーブリーのインパクトがでかすぎる。
おつかい終了後に寄るケル一家の家では、ヒロとケルの部屋を覗くことができます。ヒロの完璧超人っぷりがばっちり確認できますが、随所で「そんなヒロに対するサニーの尊敬」が見え、多分サニーも私と同じような気持ちなのかなぁと思ったり。
・バジルの水落
オーブリーがバジルを湖に突き落とした後、サニーが助けに行く場面。水への恐怖の克服話は今日の終わり頃だと思っていたので、ここで来るとは予想外でした。何より「誰かを助けるため」というきっかけで起きたあたりがサニーの進歩を感じる。
また、そんなサニーを助けてくれたのがヒロですね。話してすぐ分かることは「あ、あんま変わってない!」ということ。成長はしていたけども、やはり思い出となっていた4年前の面子の中でも年長なだけあって人格形成がしっかりしてたのかな。
・忘れてたハルバル町の探索
サニーの家に寄りたいとヒロが提案するあたりの場面で「今日は町の探索してないな」と思い出しました。で、実際にいろいろ見回ってみるといろいろな要素がまだ隠れてる!
実はホビーズの店長とイベントなしの状態で話しかけたことがなかったので、このタイミングでようやく「ペットロック」を購入。町の四天王までは倒しましたが、最強の敵である魚屋さんには勝てず断念。
また、帰宅しているヤンキーのみんなにも直接会ってみました。思ったより普通に会話できるのが面白いですね。というかヤンキーとは言っても所詮自宅に帰って親の言うこと聞いてるレベルなのでそこまでワルかっていうと微妙な気もしてきました。(でも暴行や窃盗やってるんだよなぁ)
・友達を連れての帰宅
サニーの家に帰ってきた後、兄弟が2人とも泊まり込むことに決定。昨日はひとりで過ごしていたから見ていた幻覚も鳴りを潜めて、平穏に眠りにつけます。ここでのヒロの「もうちょっと一緒にいてやれればよかったんだけれど……」という台詞がとても辛い。
・ヘッドスペースに戻ってバジル探索@ラストリゾート
マリがお友達の元へと導き、そして最後に白い服の姿になってお別れをする謎のシーンをはさんで、ケルと合流。噂に聞いていた謎のリゾート、なんだけど経営が怪しすぎますね。無報酬がまかり通るの怖い。でも、一番怖かったのが「みんながバジルのことを忘れ始めている」部分。鮫羽田社長との契約になんか効果があったのかな?と自己解釈。
あと完全に個人の好みなんですが、ジャジーな楽曲が多く聴けたのがうれしかったポイント。「Jawbreaker」は名曲。
・いろいろ寄り道
ようやくリゾートを抜けたので、お化けの宴のクエスト攻略に向けて各地を回ることに。各地にいたお化けの場所は割としっかり覚えてたので問題なく進行しましたが、とにかく場所が散ってる。
いろいろ動くついでにバジルの花の世話をしたり、ロココを発見して絵画を依頼してみたり、シクシクヤナギを笑わせたり、ド田舎おじさんが砂になってたり、とにかく小さいイベントが多くて作りこみを感じました。
中でもびっくりしたのが、オレンジオアシスの地下のイベント。地下室自体は「あと3日」の時点で見つけていましたが、水を越えて進めるのはこの日から。どうなってるかと思えば謎の魔法陣による怒涛のイベント戦闘とは読めなかった。というか、静寂ワンちゃんのシーンやたら怖くないか?
その先で出会えた「アンブレッドな双子」との戦闘がまぁ楽しい。スペース元カレ、スイートハートに続く感情3段変化ボスで、別の敵を作ったり、急にすごい量の体力回復をしたりとギミックが多いので満足感ありました。
・シンエン井戸
高速道路を抜けた先の橋を渡って、この場所にたどり着いたあたりでバジルに対して「曖昧になってきた」と3人が言い始めます。うわー、契約関係なかったじゃん。この世界におけるバジルの存在が旅の動機なのに…
あとここの住人?との会話は「すごく重要なことを言っているのに難しい言い回しばかりするから頭に入ってこない」感じでした。でも基本的には真実と向き合えって方向で話はまとまってるので、彼女の死を認めることがサニーのゴールなんでしょうね。
・オモリ一行inハンフリー
入った時点で「これ食われる奴じゃん」と思っていました。ずばり当たるんですけど。
で、道中でみんなから抜けていくバジルの記憶。やっぱりこの世界にはもういない(ド田舎おじさん談)ことが影響してるのかなと考えてました。
あと、スライムガールズの皆さんは「サニー君が考えたのコレ?」ってぐらいビジュアルがセクシーだったので驚きました。いや、男の子ならあれくらい妄想するか。にしてもスライム娘はちょっとマニアックじゃない?
・WELCOME TO BLACK SPACE
ハンフリー脱出後いよいよブラックスペース行きのキーが揃ったと思ったら、「真実」を知る前に世界を探索せよと言われました。一応見まわしましたが、ハンフリー突入前にたいてい終わってましたね。なので、割とすぐに深い穴へと突入しました。
待ち受けていたのは予想通りたっぷりのホラーイベント。最初の頃は狂気を感じさせながらもあくまで抽象的な演出が多いので大丈夫だったんですが、ちょっと進むとバタバタバジルが殺されていくので描写が辛い。このゲームがドットで表現されてなかったらマズいシーンの目白押し。
バジルを助けることを中心にストーリーが進んでいたのになんでこんなことになってるのか正直よくわからなくて、ただ「平和だった世界でマリの死を思い出させようとしたことについてのオモリからの罰」なのかなととりあえず解釈。でも、教会に行くと出てくる選択肢はあくまで「バジルを助ける?」に対する「はい」、「いいえ」なのでだいぶ違和感を覚えました。
と思ったら最後にはオモリの手で直接バジルは殺され、夢から覚めます。いろんなところで「サニー≠オモリ」みたいな描写があった理由はこれかぁ、と納得。オモリはサニーが真実にたどり着くのを避けたいんでしょう。
・夜のピアノ
ピアノに誘われて入る部屋で聞く、マリの言葉。これ幻覚じゃなくてマリの幽霊か何かかなぁと思って話を聞いてました。サニーがそろそろ死と向き合うからそっと後押しする存在なんだろうと。
あと1日
・オーブリーとの仲直り
結局お前がいれば全てのいざこざは解決するんだ!ってぐらい頼れる男、ヒロによってオーブリーと友達に戻りました。というかケルは行動力はあるがデリカシーに欠けてるから問題解決には向いてないんじゃないかな…
・ハルバル町の最終日
やっと現実でも4人パーティになったので最後の1日を堪能することに。まずやったのは思い残りだった「ペットロックチャンピオンへの勝利」。10回くらい試行してようやく勝てました。諦めない心が大切。
あとはいくつかの場所でイベントを鑑賞しました。みんなでピザ食べたり、ヒロの蜘蛛恐怖症が悪化してたり。あと忘れちゃいけないのが、マリの墓参り。墓前でピクニックするシーンも感動的でしたね。
そして日が暮れ始める時間にみんなでツリーハウスへ行きましたが、ここら辺のシーン名場面が多すぎる。グループハグのところとかすごい感動しました。でもここにいるのはあくまで4人です。あとはバジルだ!
夕方からは「最後の思い出作り」のターン。秘密のたまり場でピクニックしたり、オーブリーとブランコで会話したり、引っ越し祝いパーティに参加したりと楽しいことだらけ。3日前まで引きこもっていた人間とは思えないくらいの進展を感じられます。
そして、最後にバジルのもとへみんなで泊まり込み。でも、寝る=夢の世界に行くってことはここで真実と向き合うということになります。ある程度覚悟を決めました。
・真実
『マリの死が首つり自殺』というのは流石に察していたので「なにか」との戦闘はドキドキしながらも、これを乗り越えればいいんだと思ってイベントを進めていました。
すると、なんか、雲行きが、怪しいな。
おかしいな、イベントがホラー方向に行ってないか。
うわあああ!!!
って感じでしたね。結局のところ、マリを(事故とはいえ)殺したのはサニーで、バジルが偽装工作を主導したという話。これはサニー引きこもるわと思う一方で、逆に今まで2人とも命を絶たなかったのがすごいなぁとも。
・バジルを救う
プレイヤー視点で事の理解をした上で思ったことは「それでもバジルを救わなくてはならない」でした。今、サニーとしてやれること、やるべきことはそれだろうと思いました。
ただ、ここでバジルとの戦闘に発展するのは予想外で、まして「わなわな」になるのも想定外でした。とはいえ全てにおいて演出がいい。片目をやられたときに画面が半分しか映らなくなるのシンプルながら天才だよ。
・自分を許すために
夢のような世界で「君が何を守りたいのかを、思い出して」とバジルから言葉を受けて記憶をいくつも取り戻していくシーン。
マリがいた頃、まだヒロはシェフになるか悩んでいた。今、オーブリーがピンクの髪に染めてるのはあくまで好きな色だったから。サニーへのバイオリンのプレゼントのために朝が弱いケルまでもがバイトしてくれていた。
これらの情報はプレイヤーにはここまで開示されておらず、全く知りません。こうすることで「サニーが思い出した」という体験をリンクさせているのがこの場面のとても上手いところであり、感動的な仕上がりになっているように思います。
・オモリと戦う
「自分を許す」ために相対するは、「自分を許せない」という自分。もうこの戦闘は負けたくない一心で戦ってました。みんなの言葉を思い出しながら、それでもあの真実を認めるべきだと。
ですが、いつだって「オモリ」は屈しない。次第に彼に追い込まれてゲームオーバーになる。このゲーム初めてのゲームオーバーで、負け方もこちらの行動を封じられるという勝ち筋の見つからない内容でした。
それでもサニーとしてここで諦めたくなかったのでコンテニューしたら、もうデュエットの開始です。ここの演出の演出はなんというか、「この場面のためにゲーム作ってたのかな」ってくらい完璧だった気がします。
・物語の終わり
目を覚まして病室を出ると夢の中の3人と「知らない人」による択が与えられました。当然、夢の世界を蹴って現実に歩みを進めます。
「みんなに、伝えたいことがあるんだ」
そしてエンディングに向かう。うーん完成度が高い。もう何人もの人が言ってそうですが、ここで「サニーの告白に対する3人の反応」が描かれないのがいい。
終わってみて
ここまでのプレイ時間が26.5時間、実績解除率が44%で「解除した実績少なすぎないか?」って驚いてました。かなり丁寧にプレイしたつもりだったので。
そこで攻略サイトで実績について一通り調べると、まぁこんなのわかるか!てのが多くて、これはまだこのゲームを味わい切れてないなと感じました。なんとなく察してたルート分岐要素も味わわなきゃ損だし、実績コンプ目指そう。
そこで、まずは暗そうな「ひきこもりルート(オモリルートとも)」をやって、その次に今回もやった「ノーマルルート」をやろうと決意しました。
2周目
ということで2周目に入りました。今回はケルのお誘いを断ってヘッドスペースで生きていきます。
1周目で気づけなかったこと
・バジル関連
冒頭から「きっとうまくいく」とかの各種演出が入ってましたけど、あれバジルによる最悪の教唆の台詞だとは思いもしなかったですよね。こんな序盤から伏線を張っていたのか…
・「何もない」
そういえば1周目、クローゼットに行った記憶がないと思って調べようと思ったのですが、そもそもその場所が壁になってるんですよね。挙句に調べると「何もない」という返事が。そんなはずはないんですが。
ただ、単に行きたくないだけなら扉の前で首を振って入りたがらないだけでは?と思ったのでこれは部屋に入れないように壁に作り替えられてしまったいるのかなぁとか考えてました。
・マリの訪問
プロローグのマリの訪問シーンの扉を開けた時の反応が気になったので開けてみたら、ホラー演出でしたね。なるほど、これは見た人が「あと3日」のときのケルを疑ってしまうように作られていたんですね。私は意味不明な理由で回避しましたけど。
・迷いの森
1周目のルートでも行けたはずのイベントですが、逃してました。ここの「あしながおじさん」もまた重要キャラ過ぎる。ただ、2周目で話を聞くからこそ意味が分かる会話も多いです。
このルート限定の話
・家事を適当にこなす
これヒロなら1日でできるんだよなぁとか思いながら家事をやってました。各イベントに特段面白い遊び要素がないのはサニー的にも「作業」で別に楽しくはないことだからでしょう。
・「向き合って」
現実逃避をやりすぎて「知らない人」が本気で怒り始めてしまいます。まぁせっかく真実に導いてるのに相手の反応がこれじゃあ仕方ない。それでもヘッドスペースに幸せがあると信じて、彼を倒します。
そして、このとうとうバジルの救出にも成功。でも、サニーは現実に耐えきれずとうとう消えてしまいます。結果として、オモリは主なきヘッドスペースの守り人になってしまいました…
・バジルがピクニックシートに定住した
これは安心感より恐怖を感じました。すでにピクニックシート定住者としてはマリがいますが、彼女もまた真実に関わった結果として今の場所にいることは明らかになっています。つまり、今回のバジルの件と同レベルの強引な手段であそこに縛り付けたということになります。
そもそもこの世界自体自分(サニー)のための世界であり、彼の思い通りのはずですが、ある程度キャラクターが自由に動いていたように思います。そこらへんは無意識で彼が話を転がしているからとかでしょう。結果としてキャラクターにはどこか自由意志的な何かを感じます。そこで、ピクニックシートに固定することで「こうあって欲しい」バジル像を常に投影できるようにしているように感じました。
ただ、マリについては時折シートを出ての活動をしています。あの辺の行動は真実へ向き合おうとするサニーに対して、幽霊マリによるささやかな援護だったのかなと解釈しています。
・ブラックキーを揃える
ブラックキー、初見の時点でなんとなく揃えたくなってましたが、元ネタのハングマンゲーム的に絵が完成したら負けなんですよね。というか、完成する絵が首つりの時点で嫌な予感はしてましたが。
最後にZを埋め、完成させるとウィンドウがゴゴゴゴゴっと動きながら拡大します。この演出はゲーム内で一番ビビったかもしれません。急に現実に干渉された気分になったので。
そして道が開かれた「アビス」の底にいるのがサニーに反抗した結果幽閉された「最も賢明な者」アビーです。今思うと自分で幽閉したやつを追い打ちするのなかなかに非道ですね。でも武器が欲しいのでやります。
・各地の強敵を求めて
アビーからもらった武器をもとに各地の強敵と戦います。地球とプルートのタッグ戦、スペース元旦那戦、人造スイートハート3人戦などなど。オモリの新技「赤い手」の火力がやばいのでこれを使いこなすのが鍵でした。
基本的にレベルが高ければどこも攻略が楽ですが、「マホウツカイカ駆除業者」の実績のために金も経験値も稼ぎまくることになっている都合、特に問題なかったです。ボスラッシュも初見クリアでしたしね。
パーフェクトハートだけはキャラの速さの順番操作を間違えたので3敗しました。でも、この戦闘は強いっていうか大味だった印象があります。体力割合ダメージ連打じゃあちょっと面白みが足りないかなぁと。
・怖いのは嫌だ
このゲームやっておいてなんですが、怖いのは嫌いなのでこのルートでのみ見られるブラックスペースたち、通称「ブラックスペース2」には深入りしませんでした。正直勿体なくは感じてます。
・最後は引っ越し
夢の中での実績が取り終わったので日を進めました。現実世界なのに「刺す」コマンドが存在する上にずっと「なにか」が付いてくるという詰み状態ですが、それでも私は彼には生きていて欲しいと思ってお母さんの車に乗りました。
そしてサイレンが響くエンディング。他の方の考察とか見ましたけど、これはバジルの自殺を示唆する演出だそうで、あとで知って納得しました。うーん、この終わり方本当に救いがない。
3周目
うおおおお!実績埋めたいって以前に、2周目で現実のケルに出会えなかったことが辛かったので3周目行きます!
1周目で気づけなかったこと
・バジル関連
バジルの発言があの共犯のことを指していると分かるのはノーマルルートを2周目したときだけ!って感じ。最悪で最高の気づきが得られます。
・現実世界のキャラの名前
ハルバル町に住む人々とサニーが話すとき、名前欄にあだ名が表示されていることに気づきました。ちゃんと発言内で名前が判明した人も大体そうなってるのでサニーにとって「名前を覚えなくてもいい相手」なんでしょう。ただオーブリーの仲間などの面子は覚えてますね。
・現実パートの作りこみ
これは実績埋めの最中に思ったんですけど、現実パートって思ったより自由に散策できるんですね。ミカエルTHEマーヴェリックとケルによるかけっこ競争イベントとか全く知らなかったですし。深夜に思ったよりいろんな場所に行けて、教会の屋根に猫がめっちゃたむろってるのとか、知ってる人がどれだけいるのかって話ですよ。
このルート限定の話
・実績回収が難しい
あと残っている実績は現実パートのみなんですが、結構長期的な実績が多く、やり忘れがないか全部気になってました。特に猫とミンシーの二大巨頭は初見で達成させる気がなさすぎる。だって6回も話すとは思わないじゃん!
また、CD全回収については関わるイベントが多くてどれを持っててどれがないのかが分かり辛いのでメモ帳使いながら攻略。そして最難関の「愛され者」もちゃんと進行管理したので何とかこの3周目で全部終わりました。
・リサイカルト信者との戦い
そうそう、実績にあったイベントの中でかなり特殊だったのがこれ。まさか成長したみんなと冒険できるなんて!という妄想。5分くらいでこんな濃い内容を組み立てられるあたり、明らかにサニーの想像力は豊かなわけで、何かクリエイターにでもなった方がいいと思う。
・バッドエンディング回収
実績の中で明確に「バッドエンディング」と記載されているエンディングを見に、オモリ戦でのコンテニューを止めました。すると、サニーが諦めて主導権がオモリに渡ります。彼は夢の世界の続きをしようとしますが、サニーとしては自殺をする。これがバッド。
ただこのバッド、どちらかと言えば「友達3人における最大のバッド」な気がします。バジルとサニーがやばい喧嘩したと思ったらサニーが自殺。バジルもほぼ後追い確定で、他にも後追いが出るかもってくらいですね。
一方でサニーは楽になれます。最後は夢の中に消える。この時に「My Time」が流れるのは実に芸術的で美しい。でも、位置付けがバッドなのはやっぱりマリがこの結末を望んでないからなのかなぁと。
・アナザーエンディング回収
シンプルに「あの夜バジルを助けずに再就寝したらどうなるの」と思って分けておいたセーブデータで試しました。まぁ、ある程度予想通りのバジル自殺エンドでしたね。ここで一番悲しかったのは周りの反応です、作中で全然泣いていなかったケルがとうとう崩れ落ちるのはクるものがありました。
また、自殺したバジルを見た後、「扉が消えて、それ以降は何もないと表示される演出」には恐怖を覚えました。つまり、2周目で思っていた「クローゼットは壁に作り替えられた(物理)」という話ではなく、サニーの強固な意志によって扉が存在しないことになっていた訳ですね。
・最後のエンディング
そして最後に「愛され者」達成のためにもう一度グッドエンディングに向かいます。そういえば、あの夢の中のお友達についていこうとするとどうなるんだろう、と思ったらその先にはいかにも外につながっていそうな戸が。
あれ、ここからバッドになっちゃうの?と思いきや首を振って先には進まないサニー。なるほど、もう逃げないって訳ですね。そう、これからの展開は分からないけれども、おそらく最も希望が存在しうる終わり方、それがグッドエンド。
全部終わっての総合感想
最終的なプレイ時間が70.8時間でした。なんというか終始「ゲーム作るのがうめぇ~」って言っていた気がします。上の感想でもいくつか言ってましたが、情報の開示のタイミングが上手い。作者の手のひらで感情を転がされている感じでしたね。
主人公の「サニー/オモリ」もいいキャラでした。しゃべることはほぼないけど、あらゆるものを調べた時に感想を残すので人物像が分かるのは面白かったですね。というより、この世界の調べられるものが多すぎる!
その他にも、お友達や、ヘッドスペース、現実世界のみんなもどんなキャラクターも魅力ある描写をされていいて良かったです。物語の本筋である「自分を許すこと」に描写を終始するなら、こんなにキャラいらなくない?となりそうですが、そこは「人生の登場人物ってそんなに少なくないだろう?」ということなのかなぁと思いました。
まぁとにかく魅力的なキャラとストーリーがあるのでクリア後はいろいろファンアートとかを漁りましたね。エンディング分岐、グッドの告白後の描写なしなどによって想像の余地を残されまくった作品なので二次創作も盛んですし、これは今年の家庭用ゲーム機版が発売されたらもっと話題になるだろうなぁと思います。
総合して、シナリオ、キャラクター、アートワーク、音楽、台詞回しなどなどが綺麗に合体したゲームだったように思います。『OMORI』を作ってくれてありがとう!あと、訳してくれた人もありがとう!
音楽の小話
そうそう、購入理由だった音楽のことも最後に少しだけ触れたいなと。やっぱり期待してた通りにどの曲もクオリティ高かったですね。でもそれ以上に、音楽と場面の合い具合の方が素晴らしかったように思います。こういう曲が流れて欲しいな~って場面でそれがきっちり流れるわけですよ。
例えば、夕暮れのハルバル町で「See You Tomorrow」がかかったり、スペース旦那誕生シーンで「I Just Love The 50s!!!」が流れたりとBGMとしていい仕事をしてる楽曲が多かったです。
一方で場面を印象付けるためのパンチの効いた曲も多く、また違う良さを感じました。特に教会でのオーブリー戦で流れる「It Means Everything」は彼女の悲痛な心がそのまま表れたようでとても印象深かったですね。
とにかく名曲いっぱいだったので、Steam版を買う時にサントラ付きのバンドルを選んどいてよかった~ってなりました。でも、クリア前はネタバレ怖くてなかなか聴けなかったのがじれったかったぞ!
終わりに
話したいところ絞ったつもりなのに、結局すごく長くなってしまいました。ここまで読んでくださった方がいらっしゃれば、本当にありがとうございます。おそらく既プレイの方でしょうし、これを機会にあなたも感想をnoteに書きませんか?いい置き場ですよ?(勧誘)
それではまたどこかの記事でお会いしましょう!S(h)inでした!
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