【ダイパリメイク】ハマナスパーク戦のBGMを紐解く【BDSP】
『ポケットモンスター ブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール』、通称ダイパリメイクは作品の性質上、使用楽曲もリメイク元からのアレンジがほとんどです。
しかし、例外的に「リメイク元に存在しない曲」が使われた場面があります。それがハマナスパークで聴ける「準伝説戦」と「伝説戦」です。
加えて、この曲はどこかで聴いたことがあるフレーズが入っているとの噂もあります。本記事はその真偽が気になった私、S(h)inがじっくりこの曲を聴いてみることでこの曲の構造を解き明かそうとした記録です。
1.ハマナスパークとは
改めてですが、ハマナスパークの説明をしましょう。こちらはリメイク元の『ダイヤモンド・パール』のパルパークの存在した場所にある施設です。
パルパークは過去作の『ルビー・サファイア・エメラルド』と『ファイアレッド・リーフグリーン』よりポケモンを連れてくる役割を持った場所でした。今となっては過去作のポケモンを引っ張ってくるのは一般的になりましたが、当時このシステムが出たときは革命的だったように思います。
ただ、リメイクにあたって本施設の「再現」は不可能なため、代わりに設置されたのがハマナスパークです。ここでは前述の過去作とされたゲームに出ていた準伝説および伝説のポケモンを捕獲することができます。
この施設のおかげでようやくゲーム一本でレジギガスを捕まえられるようになったりしているので個人的にはいい施設だと思っています。ただ、ポケモンと戦うのに必要な「せきばん」を入手するために、殿堂入り後の地下通路で化石を掘り続ける必要があるシステムはちょっとやり過ぎたなとも…
そんな施設で準伝説・伝説のポケモンと対峙した際に流れる楽曲が今回のメインです。ちょっと聴いてみて『ダイヤモンド・パール』の既プレイヤーなら一度はこう思うはずです。「あれ?こんな曲あったっけ?」と。
まぁ、BGMに入れ込んでるゲーマーなんて数が限られるので、大半は「ダイパになんかアレンジ元があるんだろ」で済ませてしまう気もします。しかし、この曲は明確に新規書き下ろしです。そのうえ「準伝説戦」と「伝説戦」で内容が異なっています。さらにこの曲、よく聴けば過去作の楽曲とのつながりが随所に見受けられるともっぱらの噂。これは気になりますね。
2.楽曲の解析
それでは、ようやく今回の主題である「ハマナスパーク戦のBGMを紐解く」をやっていこうと思います。
ただ、私は音楽的な知識がまるでないので「ここの進行が…」みたいな真面目な話は出来ません。そのため、いろいろ関連しそうな楽曲を聴き漁って「この曲のこの部分とか似てるんじゃないか?」というアプローチで楽曲を見ていきました。
準伝説戦
・00:00~
イントロは鮮烈かつ勢いを感じさせるオリジナル。掴みはOK。
・00:03~
すごく聴き覚えがあるのに聴いたことがない不思議なメロディ地帯。
メインで流れるメロディ自体は明確に類似するものが見つかりませんでした。ただ、バックで「テレレレレレレレ↑テレレレレレレレ↓」という高速アルペジオが使われています。これは『赤・緑』の「戦い(VS野生ポケモン)」で聞き覚えがありますね。ここはカントー地方のイメージで作られているのでしょう。
・00:25~
とりあえず次に行く前に、落ち着いたピアノが主体のオリジナルフレーズがつなぎの役割をしています。
・00:35~
どう聴いても『クリスタル』の「戦闘!スイクン」のフレーズです。本当にありがとうございました。こちらは本曲でも珍しい「フレーズそのままを引用している」部分なので印象に残りやすく、初聴時に「この曲、三犬のアレンジ?」と勘違いしてしまいました。つまるところ、ここがジョウト地方のイメージですね。
・00:46~
また次に行く前のオリジナル部分。タブンネ。
・00:57~
一度落ち着いた曲調にしつつ、ドラム入れながら盛り上げてく部分。この順番で来たなら、そろそろホウエン地方のターンのはず。
ここで注目したいのは「鐘の音」です。『ルビー・サファイア』のグラードン・カイオーガ戦BGMである「戦闘!超古代ポケモン」はイントロに4回「鐘の音」が鳴り響きます。このパートにも同じく鐘が使われており、その回数がご丁寧に4回なので、おそらくモチーフで間違いないでしょう。
・01:08~
この曲のサビ部分。なんか順番のせいで『ダイヤモンド・パール』っぽさを感じてるんですけど、雰囲気だけな気がします。むしろ、「ダイパ」の雰囲気を汲んだオリジナルパートとして作られているのかな?といった感じ。判断に困るのでなんとも断言できないですね。
・01:29~
いきなり楽器をドラムに絞った、かなり目立つパートが来ます。
調べた結果、ここは『ハートゴールド・ソウルシルバー』のイベントで使用された楽曲「アルセウス」の冒頭ドラム部分を速めたものではないかという結論に至りました。この曲、『DP』にも内部的には存在するのですが、正規の手段では聴く事ができない事でも有名です。
ということで、ここはシンオウのパートだと分かります。いやはや、準伝説に直接関連しない楽曲を使うのは想定外でした。
・01:35~
00:03~の「カントーパート」でバックに流れていた落ち着いたシンセのメロディを抜き出している部分。01:45頃からそのパートに接続して楽曲がループします。
これにて、「準伝説戦」の調査は終了。いや、これは思ったより盛沢山な内容だし、かなり間接的なアプローチでの引用なども含まれているから聴きこまないと分からないですね。
伝説戦
「伝説戦」の方は基本的に「準伝説戦」のアレンジになってます。全体的にテンポをスローにしながら、威厳にふさわしいように重めになるように変更されていますね。こっちは元との差異に注目して見てみましょう。
・00:00
元:「準伝説戦」00:03~のカントーパート
ということは、「準伝説戦」00:00~のイントロ部分が廃されていることが分かります。曲を重くしたいとなると外さざるを得なかったのかな。
代わりに出だしからいきなり「鐘の音」が聴こえます。こちらでは順番に要素を出していくのではないようです。
・00:24~
元:「準伝説戦」00:25~のオリジナルパート
あちらでは爽やかな印象だった部分も、壮大さを感じられるものになっています。
・00:49~
元:「準伝説戦」00:46~のオリジナルパート
ということは「準伝説戦」00:35~の三犬パートが飛んでいますね。三犬は準伝説ポケモンなので「伝説」のBGMから外されたのかな、と考えられます。(じゃあなんで準伝説戦には伝説の要素があるんだろうな…)
・01:01
元:「準伝説戦」00:57~のホウエンパート
当然と言えばそうなんですが、伝説ポケモンオマージュのパートは外しませんでしたね。ここでじっくりと「鐘の音」とドラムが展開されてサビまで盛り上がっていきます。
・01:13
元:「準伝説戦」01:08~のオリジナルパート
元より重厚感の強いメインメロディ、重く響くドラムたちと時折挟まるハープの音色。アレンジによる変貌のすごさを痛感するパートです。
・01:37
オリジナルパート
うわぁ!油断してたらなんか来た!
重いバックはそのままに急にヒロイックなメロディが展開されます。探してみはしたのですが、モチーフが分からなかったので完全オリジナルと推測しています。
『ポケモン』本編の曲ってよりかは『ポケダン』にありそうな感じです。伝説のポケモンをイメージして作られていたこの曲ですが、このパートだけは伝説へ挑む側の視点になっている気がします。
・01:50
元:「準伝説戦」01:35~のオリジナルパート
さりげなく「準伝説戦」01:29~の「シンオウパート」が飛ばされました。あれを重くアレンジしたら原曲の「アルセウス」と差がなくなくなっちゃうからなのか、とか考えたり。
ストリングスの目立つこのパートを終えて、02:02頃から冒頭に接続して楽曲がループします。
と、こんなところで「伝説戦」の調査は終了。威圧感マシマシの曲の中に新フレーズを詰め込むってのは不意を突かれました。小ネタですが、こっちを聴いたあとに「準伝説戦」の方を聴くとテンポ早すぎてすっごく新鮮に聴けるのでオススメ。
まとめ
ここまでの内容のポイントをまとめると大体こんな感じになります。
こうやって画像にしてみると「よく凝らされている曲なんだなぁ」と実感しやすいですね。あとは「フレーズの取捨選択を見るに、作曲の順番は準伝説戦→伝説戦だろうな」とかも読み取れて面白いです。
3.新曲であることの意味
そういえば楽曲の調査中に「新規BGMを作るのではなく、それぞれのポケモンの専用曲を流してほしかった」という意見を多く見かけましたが、その意見を理解はできますが賛同まではできないですね。
その理由の1つは「全部の準伝説・伝説ポケモンに専用BGMがあるわけではない」という部分です。『赤・緑』の三鳥とミュウツーは専用曲がないので「戦い(VS野生ポケモン)」を、『ルビー・サファイア』のラティアス・ラティオスもないので「戦闘!野生ポケモン」を使うしかありません。かわいそうですね。
もう1つは「戦いの舞台がハマナスパークだから」です。例えば、ホウオウと対峙するときに「戦闘!ホウオウ」が聴きたいと思うのは良く分かるのですが、それはスズのとうのてっぺんでの戦いで聴くからこそ良いのではないでしょうか?
BDSPのように「伝説ポケモンをいっぱい入手できる」作品は以前にもいくつか存在し、そこで原曲を使っているときもありました。しかしながら、各伝説と戦う場所はどれも汎用のフィールドなので「聴けて嬉しいけどなんか雰囲気とあってない気がする」という微妙な気分を味わいもします。
これらの問題を作り手側も感じたのか『ソード・シールド』の「ダイマックスアドベンチャー」では個別のBGMを持ってくるのではなく、共通の新曲が用意されています。
この『ソード・シールド』からの流れでおそらく本作でも新曲を用意することになったのだと思います。ただ、ここで普通に新曲を作るのではなく「なにか過去作のエッセンスを取り入れたい」と思って生み出されたのがこの2曲なのではないでしょうか。私は楽曲を紐解く中でそういったリスペクトを強く感じました。そのため「原曲でない」の一点張りでつっぱるのは勿体ないと思います。
4.おわりに
楽曲解析後に要らぬ語りをしてしまいました。これ以上長くならないように、この辺で切り上げたいと思います。
今回の楽曲調査報告いかがだったでしょうか。楽曲に詰め込まれた要素が多く、実は取りこぼしとかがあったかもしれません。判断に困ってオリジナルパートと推定してる箇所もありますしね。
「この記事には書いてなかったけど、ここはこれが元じゃないの?」などのご意見も伺ってみたいので是非お寄せくださいね~
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。また、どこかの記事でお会いしましょう!
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