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【ポケモンSV】ゼロの秘宝を終えて【プレイ感想】

 2024/01/11に『ポケモンSV』の番外編が配信されてもうひと月以上が経ちますね。ポケモンファンの方の多くも「ゼロの秘宝」をすでに堪能しつくした頃かと思います。そんなある日、私は前に書いた自分の記事のことを思い出しました。

 これの執筆時期はDLCの配信前であり、「今の感想はこんな感じだけどDLC遊びつくしたらもう一度感想書いてみよう」と言っていました。これはまさしく今が頃合いです。

 そこで本記事では「ゼロの秘宝」に対する感想と、またその影響を踏まえたゲーム全体への感想を綴りたいと思います。ちょっと長くなってしまうかもしれませんが、お暇でしたらお付き合いください。



ゼロの秘宝に思うこと

 端的で言ってしまうと「前半は面白かったけど、後半が少し微妙で、番外編は最高だった」です。ただまぁ「面白さ」は大体ストーリーに起因します。この感想に至った理由を要素ごとに分けてお話したいと思います。

ストーリーについて

 まず、前提として「ゼロの秘宝」は情報公開当時から前後編での配信が予告され、それぞれのメインポケモンのビジュアルが公開されていました。これは『剣盾』と同じ流れであり、前作と同様にどうやって話に絡んでいくのかについて期待していました。

 前編は日本の田舎っぽさを醸し出したキタカミの里を舞台としながら、仮面をつけたポケモン「オーガポン」を中心に話が回っていきます。スイリョクタウンを始めとしたリアリティ高い田舎の風景に物語冒頭から心をつかまれた印象があります。

出現ポケモンのチョイスも好き

 そんな中、メインキャラであるゼイユとスグリとの交流の末にオーガポンと出会い、村の言い伝えの真実に触れ、最後には捕獲に至ります。この一連の流れ自体は『ポケモン』としてはかなり王道であり、いい話だったなと思います。

 また、最初は敵がい心むき出しだったゼイユも少しずつ主人公に打ち解けていき、面白いおねーさんと化していくのも良かったですね。ヘイトのバランス管理もちょうど良かったように思います。

特殊台詞も多いのでいろんな表情を見れましたね

 その一方でオーガポンに憧れていたスグリは主人公への複雑な感情からだんだんと当たりが強くなり、前編は何かを決意した彼のヒキで幕を閉じます。主人公への対応の変化は意図的にゼイユと対象的に作られているのを感じましたし、後編で詳しく語られるだろうと思って楽しみにしていました。

 続きとなる後編は留学先のブルーベリー学園を舞台にバトルを中心とした展開でした。学園内の四天王に挑んだのちにチャンピオンに任命されたスグリと相対するのを最初の目標としているあたりに「バトルで全てが決まる学園らしさ」をひしひしと感じさせられます。

めんどくさい擦れ方をしていたスグリくん

 この展開はスグリのその後の動向を語る中で納得のできる話運びではあるのですが、いかんせん「テラパゴスが空気過ぎる」と思いました。私だけではなく、こういった意見は結構他のところでも散見しました。

 もっと言えば、「前編でやっていたオーガポンの描写密度が高く、それと否応なく比較されるだろうと分かっていながらこの扱いはテラパゴス可哀そうだろ」といった感じです。『剣盾』のダクマとバドレックスはそれぞれがきちんと描写されているため、前後編で扱いの差が生まれるという発想がまるでなかったことも衝撃を受けた理由の1つでした。

ぽっと出感が否めなかった初顔合わせ

 一応、現行の「アニメ ポケットモンスター」での活躍でキャラクターをアピールするといった他コンテンツでの露出を行っているのも承知しております。とはいえ、それが本作での扱いの悪さを許容できる理由であるかは疑問が残ります。

 ただ、テラパゴスの扱いを犠牲にして得た描写の部分は十分に効果的に働いていたんじゃないでしょうか。四天王との交流を中心とした人間関係の面白さや、ポケモン世界で真っすぐにバトルを探求しようとする子供たちの努力などを描いた話は見ごたえがありました。

 また、テラパゴスを連れててらす池に行ったときに発生するイベントがめちゃくちゃ良かったですね。博士とのあり得ない再会と本の交換。そして、これを機に起動時の画面も変わる辺りから「ほんとにSVが終わったんだな」と感慨にふけっていた気がします。

本編では会えなかった博士ご本人との対面

 そんな余韻もぶっ壊すのが番外編のキビキビパニック。桃太郎モチーフが出てたなら桃太郎本人が居るに決まってるだろ、とばかりに現れたモモワロウがキタカミで暗躍するお話であり、シュールなキビキビダンスが話題になったのも記憶に新しいですね。

 後編終了後一切会えなかったスグリと本編のホームウェイで仲良くなった3人との邂逅をやることで人間関係に関する補完がしっかり行われていてとても好印象です。しかも同時並行でオーガポンの因縁についての真の決着をつける(こともできる)展開も見どころになっているのは良かったですね。

ガチギレオーガポン

バトルについて

 ストーリーについては前述の通り、前編・番外編の印象が良く、後編は少し微妙に思っていました。ですが、後編のポイントと言えばやはり「バトル」です。基本的なトレーナー戦を全部ダブルバトルにするという思い切った構成は結構好きでした。だからって本編のダブルバトルの機会をそんなに削らなくても…とは思いましたが。

 ダブルバトル固定に加えてそれぞれのキャラクターが比較的実戦に近い戦術を持ち出してきているもの良く、この辺はBDSPの水準に近づいてくれていたようで嬉しかったです。やはり基本は子供向けゲームである以上、難易度を上げるのは難しいのかなと思っていた中で、DLCなら多少難しくしてもいいと判断してもらえたような気がしました。

半減きのみくらいなら当然のように持っている

 また、クリア後の特別講師を呼んだ際の戦闘もちゃんと難しいものになっていたことも感動しましたね。オモダカさんがキラフロル先発でドドゲザンエースにしていたのは「ちゃんと調整してもらえたんだなぁ」としみじみしてしまいました。

サブイベントについて

 ストーリー・バトルを堪能した後にやりたいことと言えば「サブイベントの回収」ですね。前編・キタカミの里では目立ったのはやはりサザレさんを中心としたお話でしょう。どことなくヒスイ出身の人の血を感じるビジュアルをした写真家のサザレさんと一緒に夜中の撮影会をやるシーンはかなり印象的でしたね。肝心のアカツキに会ったときフラッシュを焚いてしまったのはアレでしたけど…

変わったポケモンを撮影しようと奮起したなぁ

 しかし、続く後編でのサザレさんの出番が「パラドックスポケモンの情報提供」のみで終わってしまうのは少しもったいなかった気もします。肝心のポケモンたちも規定の場所で棒立ちなのは少しかわいそうでしたし、もっと演出を作りこんであげて欲しかった気もします。

 作りこみで言えば、後編のストーリーが片付いた後にできる「スター団のその後」を描いたイベントは力が入っていましたね。そもそもスター団は本編クリア時点でもイベントをもらっており、既に描写も尽くされたとも思っていたのですが、ここで通常制服を着たメンバーに会えるという要素まで持ってきたのは「凝ってるなぁ」と感心するばかりでした。

注目されていたビワ姉の顔も公開されましたね

その他追加要素について

 サブイベを回ったらあとは追加要素を遊びつくすだけになります。が、本DLCでの追加要素は何というか当たりはずれが大きかったように感じました。

 前編での主なミニゲームとしてストーリーでも触れる「鬼退治フェス」は本当に虚無感が強く、挙句に高難易度では友人との強力プレイ必須なのが微妙でした。その癖、報酬には便利なアイテムも多く「コレを回らないとヤバソチャへの進化できないのは流石に…」と思っていました。

 そんなアイテムに関する問題は後編登場の道具プリンターが全て解決してくれたのでプラマイゼロかなという気分です。こちらは進化素材や換金アイテムに加えて、低確率でレアボールの生成もやってくれる点が嬉しい部分ですね。一度に10個ずつアイテムが作れる仕様などからは『剣盾』のウッウロボから反省点を得たんだなぁと感じました。

レアボールの入手が過去一簡単になりました!

 また、その道具プリンターがあるリーグ部部室で行う「特別講師」イベントも面白かったですね。ジムリーダーや四天王、学校の先生などを好きに呼んで、対戦・会話・ポケモン交換を楽しめるというコンテンツは他作品にはなく、実に独特な体験が楽しめたように思います。

講師同士の会話はファンの間でも好評でしたね

 が、そんなプリンターガチャを回したり特別講師を呼んだりするするのに必要なBPを回収する手段「ブルレク」が非常に面倒。これをやらないとテラリウムドームの発展もできないので、せっかくの追加要素を触るうえでボトルネックとなってしまっています。

 そして、「鬼退治フェス」と同じく協力プレイが最高効率となっているタイプなのも手間のかかるポイントです。いわゆる「稼ぎ行為」をするために他人の手を借りないと効率が悪い、というのはゲーム設計としておかしいと思います。その上、複数人で遊んでいる際に出るミッションに「メタモンブロック」というマジで開発者しか面白いと思ってないような要素を入れたのも許せないですね。

チャレンジ挑戦料を0BPにしてくれたツバっさんが神に見える

DLC総評

 評価点も不満点も両方ある上で面白かった寄りの印象です。少し後編に乗り切れない部分もありましたが、全体としてストーリーの出来が良かったのが一番の大きな理由です。特に番外編の補完能力が高く、必読のイベント過ぎるな…と思っているくらいです。


DLCを踏まえての総合感想

『ポケモン』としての本作の魅力

 『ポケットモンスターシリーズ』の一作品として、本作が優れていると感じる点は何と言ってもストーリーでした。本編の3ルートが1つに合流し、最終ルートに繋がるシナリオは「新しいポケモン」を感じさせられる試みであり、とても感動しました。『剣盾』で若干見られたあやしい日本語みたいなのも見受けられなかったので安心しました。

 また、そういったストーリーを支えるキャラクターの描写が細やかだった点も見逃せません。ライバルやジムリーダーはもちろん、学校が舞台であることを生かした癖の強い教師陣などキャラ付けの濃さは過去一だったように感じました。近年は『ポケマス』を中心としてキャラ売りの展開も多いので力を入れていた部分ではあったと推察されますが、実際にSNSなどでの人気からも狙い通りだったんだろうなぁと。

ナンジャモとかは特に人気高かったですね

 そして、初のオープンワールドを実現して広大なパルデアを描こうとした挑戦の姿勢が素晴らしかったです。各地に様々なポケモンが住み着いている映像表現を実現したことはひとつの革命だったと思います。なにより、ライドポケモンと大地を駆け回り、空を飛び回る体験はこの作品でしか味わえません。

ハッコウシティとミライドンの相性いいなぁ

不満とか愚痴とか

 と、いろいろな賛美したい部分もありますが「決していい部分ばかりじゃないな」という気持ちはDLC配信前から変わりませんでしたね。後編配信後にもドーブルによるポケモン増殖バグが見つかったと聞いたときは「品質管理どうなってるんだ」とは思いましたし。

 バグのことは譲るとしても、UI関連の修正が足りなかったのはかなり不満でした。長期間ボックスの操作が重いままで放置した件には修正後の今でも根に持ってますし、道具欄のページ送りがいまだにできない件は本当に許せないです。

アイテムが過去最高に多いのにページ送りがないのはおかしい

 あとは後編がバトル中心の学校だったことから「バトル施設」の追加も待っていたのですが、来なかったのはちょっと悲しかったですね。せっかくバトルの難易度も高めになってきていたので、そんなNPCたちと戦い続けられる場所が欲しかったのですが出ないとは思いませんでしたね。

 そして一番気に入らなかったテラピース問題。本編で集めづらかったからDLCで改善してくれーとは言ったものの、いざそれをやられてみると「自分で閉めた水門を後から開けて仕事した感じを出している」ように感じられ納得が行かない気持ちになりました。単純にアップデートで要求量を減らしてもらった方がよかった気がします。


おわりに

 結局のところ本作への感想は以前の「加点法なら150点、減点法なら60点」からあまり変わらない感じでした。ただ、間違いなく本作を買ってよかったと思っていますし、しっかり遊びつくさせてもらいました。

 今はどちらかと言うと新作への期待の方が大きいですね。本編シリーズもちろん、『コロシアム』のような盤外作品が来てくれたら嬉しいですね。いっそ「メガシンカ、Zわざ、ダイマックス、テラスタル全部が使えるバトル特化作品」ぐらいのてんこ盛りのやつとか見てみたいなぁ。バランスは…レギュレーションをちゃんと設定しないと悲惨なことになりそうですが。

 妄想の垂れ流しはこれくらいにするとしましょう。今は新作が本作から学んだ様々なデータを基にした改善がなされていると信じて、その発売を待ちたいと思います。ポケモンが巨大IPであり、複数コンテンツの同時進行をしているため難しいかもしれませんが、長めの開発期間を持ってじっくり作ってもらいたいですね。

 と、今後への希望を胸に『ポケモンSV』の感想を終わりたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。

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