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質問されると怖い人たち
お医者さんが書いた、医師のアタマの構造という、ややシニカルでユーモラスな本です。
医者と患者の話は何故すれ違うのか、その原因が医師特有の思考回路、つまり「医師アタマ」にある、というわけで、それを理解した上で自分にとってのより良い医療を受けるため患者力をつける本、という内容です。
つまり患者さんへ、医師ってこういうアタマの構造だからこんなふうに伝えたり聞いたりしてくれると医師としてはありがたいし、うまくいくよ、というような角度から書かれているわけで、最初は、へ〜〜それって患者側に要求しすぎじゃない?と思ったりもしましたが、中に、
「患者から質問されると怖い」
という記述があって、思わず、なるほど・・・と唸ってしまいました。
医学的に正しいことを一生懸命伝えているのに、その後、患者から何か質問されると、自分が否定された気になる、と書かれていて、
ああ、これって別に医師と患者でなくても、先生と生徒でも、上司と部下でも、ありえる感情だなぁと面白かったです。
単純にわからないことを質問しているだけなのに、自分の説明が下手だったからか、とか、自分の説明にケチを付けているのか、もしくは反論しようという姿勢なのか、と、そんな思いがムクムク起きて、顔が怖くなったりしてしまうのかもしれません。でも質問して怖い顔をされると、二度と質問なんかするものか、となるのも道理です。
さて、話は変わりますが、2022年の診療報酬改訂で「FreeStyleリブレ」と呼ばれる血糖値の測定器が保険適用になり、1型、2型糖尿病どちらの患者さんも使える範囲が広がりました。
この「FreeStyleリブレ」は、いちいち採血することなく連続的に常時、つまり24時間、血糖値を測定できます。
食べすぎた時、血糖値が上がったり、運動をした日は下がったりなど、患者が自分の身体の変化に敏感になり、生活習慣改善のモチベーションにもなる、とのことで、爆発的に普及するのではないか、と東京慈恵医科大学の西村理明教授は語っています。
ただ、ここでもまたコミュニケーションの問題に警笛を鳴らす医師もいます。
24時間の血糖値を知ることはその患者のプライバシーが「見えすぎる」ということにもつながる、
つまり、食事のタイミングや、就労状況、経済状況、家族関係なども推測できたりします。
患者のある日の行動を根堀葉掘り聞いたり、血糖が上がった理由を指摘したりすると、患者は、責められたと感じ、心を閉ざしてしまうこともあります。
つまり、この便利な測定器を使う医師の側にコミュニケーション能力、またはサポーティング能力が、これまで以上に必要とされるようになる、
そう言っているのは、医療法人社団ユスタヴィア理事長の宮川高一氏です。
なるほど・・・
医術は仁術と言われた昔の言葉がそのまま、今、また医師に課せられるというわけですね。
いえ、医師だけじゃなく、ビジネスマンも、教師も、いわゆる専門家も、そして私たち一般人も、これまで以上に「コミュニケーションスキル・サポートスキル」が求められる時代になったんだ、と繰り返し感じています。
あなたはどこでその力を磨きますか?
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