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カルロス・トシキ&オメガトライブの「REIKO」について真剣に考える

カルロス・トシキ&オメガトライブの中で、唯一"異質"で"賛否両論"を呼ぶ曲、「REIKO」。

REIKO シングル

この曲はカルロス・トシキ&オメガトライブの3枚目のシングルで、大ヒット曲「アクアマリンのままでいて」の次の楽曲としてリリースされました。

副題に
featuring JOY McCOY Carlos. T & Ω TRIBE」
とある通り、この曲ではリードボーカルのカルロス・トシキさんはメインで歌っていません。
今まで楽曲でコーラスを担当していたジョイ・マッコイさんがメインボーカルを務めています。

今回はこの曲の良いところ悪いところもどっちも書き出して、この曲について真剣に考えてみようと思います。



良いところと悪いところ

①曲は凄い良い曲

よくこの曲は「マイケル・ジャクソンっぽい」と言われるのですが、恐らくそれは衣装やダンスなどのビジュアルの影響であり、僕からしたら今までのオメガトライブの曲と何ら変わりのない
新川博さんアレンジの純AOR」だと思います。

今回この記事を書くために「REIKO」を聴き直したのですが、コードがほぼAB'Sの「C.I.A.」と一緒でした。それくらい「純AOR」でシティポップです。

なのでめちゃめちゃ良い曲です。少しアメリカンな要素も感じますね。結構ダンサブルで。

タイトなビートとカッティングギター、ブラス&ストリングスによる深いサウンド、オメガトライブ特有の変則コードのコード進行など、かなり好みの曲調です。

この曲はバージョンが2つあって、EP盤には「日本語バージョン」と12インチシングル盤には「英語バージョン」がそれぞれ収録されています。
それぞれイントロのアレンジも少し違います。

僕は曲の雰囲気もアレンジも「英語バージョン」の方が好きですね。洋楽っぽいですし。


②ただやろうとしていることがオメガトライブ向きじゃない

この曲のジョイさんの衣装は明らかにマイケル・ジャクソンを意識した真っ赤な衣装で、ダンスをしながら歌っています。

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ただ当時のファンはみんな「カルロスさんボーカルの爽やかな曲」を求めていたと思うので、急にこの曲が来て
え!?急にマイケルダンスの曲!?
と思ったに違いないでしょう。


③カルロスさんをメインボーカルから降ろしてしまった

これは絶対商業マーケティング的にダメだったと思います。「アクアマリンのままで」で大ヒットを出した後なのだから尚更です。

ただ、オメガトライブ的にもちょっと挑戦心というか新しいものにチャレンジしたいという思いがあったのかもしれません。

この曲のパフォーマンス時、カルロスさんはジョイさんの横でずっと"ギター型のパーカッション"を叩いているだけです。たまにコーラスもします。

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個人的には「果たしてこのバンドの顔でメインボーカルの人を降ろしてまでジョイさんメインの曲をシングルで出す必要とは?」と思ってしまいます。

僕はダンスボーカルグループのw-inds.が大好きなのですが、言うなれば

w-inds.が急に、今まで「センターでメインボーカルだった慶太くん」をサイドに据えて、

"次のシングルは龍一くん(涼平くん)をセンター、メインボーカルでリリースします"

というようなことをするようなものだと思います。

オメガトライブはそれをやってしまったのです。


④カップリングはカルロスさんボーカルの曲

これが一番謎ですね。マーケティング的にはカルロスさんの曲をA面にしたほうが売れたはずなのに。

しかもこれが「結構爽やかな感じのバラード曲」で、「ファンが"アクアマリンのままでいて"の後に期待していたものそのものなのでは?」と僕は思います。
(ただ曲調は少しカップリング曲感あるので「REIKO」A面は正直納得です)


⑤結果的に"この曲を機にオメガトライブの方向性が変わる"

このジョイさんをメインボーカルに据えたシングルのリリースによって、「アクアマリンのままで」で人気絶頂まで来ていたカルロス・トシキ&オメガトライブは方向性が変わります。

繰り返しますが、恐らくファンはみんな「カルロスさんボーカルの爽やかな新曲」が聴きたかったのであって、 「マイケル・ジャクソン風で洋楽っぽいダンス系のAOR」で困惑したはずです。

その後のカルロス・トシキ&オメガトライブの作品はメンバーの自作曲や外注曲が多めになって、トリッキーな作風が面白いのですが、やはり世間からは「君は1000%」や「アクアマリンのままでいて」のイメージで止まってしまっていたり、その頃の作品だけが評価されるなどのことも少なくありません。
(編曲は全部新川さんなのでAORっぽいですよ)

僕の知り合いの音楽プロデューサーが「売れたらひとまずその路線を続けろ」というのをよく言っていますが、大ヒットを出して結構早い段階で違う方向に切り替えてしまったので、人気や評価が変わってしまったのではないでしょうか。
しばらく「アクアマリン」の路線を続けていればこの後の作品の評価も変わっていたと思います。

ちなみにこの後の1989年2月にリリースされる「be yourself」には「やっぱオメガトライブには違う」と思ったのか「結果を見て軌道修正を図ろうとした」のかは分からないのですが「REIKO」は収録されていません。


まとめ

これだけは言っておきたいのは、
ジョイ・マッコイさんは素晴らしいボーカリストで、「REIKO」という曲は素晴らしい曲です。

人間と作品には罪はないんです。

ただやる時期、タイミングや媒体などを間違えてしまっただけなのだと思います…。

なので僕はこれからも「REIKO」という曲を「好き」と言い続けていきたいと思います。

作品としては最高に素晴らしいのですから。

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