政治についてまじめに考えてみた③　石丸伸二考その参

人には誰しも触れられたくない「黒歴史」みたいなものがあるのだと思います。
私も教員一本で大卒からトントン拍子で階段を駆け登ってきたわけではないので、黒歴史とまでは言いませんが、生徒にはちょっと言いづらいな、というような経歴もあります。

石丸氏は安芸高田市長をなさっている際に、2件の訴訟を抱えているのだそうで、それを見てやっぱり化けの皮が剥がれた、などと手を打って喜ぶ輩がいるそうですが、ちょっと待ちなさい、と言いたくなるわけです。
まず、そもそもからして「公人」の時代の話ですから、当然隠し通せるなんて考えてもいないでしょうし、遅かれ早かれ明らかになることだなどということは誰にでもわかります。そんなこともわからないほどオツムの弱い人だと思われているのだとしたら、そちらのほうが噴飯ものです。

まず、１件目の恫喝裁判ですが、まずこれはタイトルが悪い。まるで石丸氏が恫喝したかのような印象を持たせますが、とある委員会？の後で複数の市議が市長室に殴り込みに来たのを、Twitterに石丸市長が「説得？恫喝？あり」と書いたことを、とある市議が「名誉毀損である」と訴えたというのが中身です。
結局市議が勝訴しましたが、あくまで「恫喝をしたという証拠は見つからなかった」というだけで「恫喝をしていない」こととイコールではありません。
だいたい、裁判で敗訴した側が勝訴した側に謝罪するなんて聞いたこともない（行政と民間の話ならまだしも）わけで、「謝れない石丸伸二」というレッテル貼りも誤りだと気づかれされます。

そもそも議会の15/16名が異例の市長室訪問を行い、
「選挙前に余計なことをするな」
「場合によっては市長の提案を議会で全部拒否するなんてことになりかねない」
と言いに来たという報道がありました。
これは正に「夜道の一人歩きには気をつけな（石丸氏）」というのと同じで、受け手が「恫喝」と捉えても何ら不思議はありません。
市議たちは「アドバイスだ」「説得だ」と言いつつ、「そういう誤解があったのは認める」と言い、自分たちが当選したあとは「もう当選したんだから過去のことは不問でしょ？」と開き直る始末です。

これは聞きかじった話なのでどこまで本当かは分かりませんが、まず、訴訟をすれば裁判費用を捻出するのは石丸氏ではなく安芸高田市になることは明らかなので、まさか市議たる立場の者が対面の話し合いをせずに裁判に持っていくとは思わなかった。そこは誤算だった。というようなことをおっしゃっていたと聞きました（違ってたらすみません）。
なお、裁判費用の負担は市：市議＝１：９なのだそうで、半年もすれば忘れられたであろうことに（そして市長の足を引っ張ってやることに）こだわったあまり、えらく高くついたなとちょっと気の毒に思います。

もう１点が選挙ポスターの費用の未払いの問題です。
たかだか70万円の費用を惜しんで裁判する必要がどこにあるのか、某弁護士はモンスタークレーマーなんていう言い方をしていましたが、モンスタークレーマーが4年も市長をやってYouTubeでバズったなとということがあり得るのかという現実を直視して発言していただきたかったものです。まぁマスコミに毒されて長い弁護士さんなので、マスコミ寄りのコメントを出さねばいけないことには一定の理解を示すものですが。

さて、今回の争点になっているのが、万一落選しても一定の得票数があればポスター費用は公費で賄える、というルールかと思います。
業者さんは「石丸さんの負担は一切ない（負担は安芸高田市が負う）」という旨の連絡をしているわけです。
これは発注側からすれば「公費負担（30万円？）以内に収まる」と判断してもいいですよね？と言うのが石丸氏の主張だと捉えています。
これが始めて選挙ポスターを作る業者であったならばともかく、少なくとも作った経験のある業者であれば公費で負担できるのがいくらまでであるかを把握していなければ業者として失格です。
しかも契約時ではなく納品時になってから、しかも石丸氏側から問い合わせがあって初めて「実は金額は…」なんて言い始める業者に一切の瑕疵がないと言えるのか、そこも石丸氏が主張したいポイントではないかと思います。
そもそも、こんなふうに業者の言いなりでポスターを作って納品して、言い値を支払うのは癒着ではないですか？というのが石丸氏のもっとも主張したいところではないかと思います。
聞くところによると市議のポスターは公費の範囲内で収まる金額だったのに、石丸氏の場合だけ急に70万円以上も加算された請求がなされたということですから、突貫で作業に当たったことを差し引いても、何にどのような形で費用がかかったのかを明示できないのであれば、何らかの裏の意図や利権の存在を感じざるを得ません。