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企業スポーツと社会貢献!企業のスポーツ部に必要な発信とは!?

執筆:山﨑 蓮(「Sports for Social」運営、株式会社HAMONZ 代表取締役CEO)

企業スポーツとは、企業や組合の従業員で構成されるスポーツチームのことです。
今回は、企業スポーツと社会貢献をテーマに、企業のスポーツ部に必要な発信、そして企業スポーツの可能性について考えてみました。

そもそも企業スポーツとは

本題に入る前に、企業スポーツの歴史について触れておきます。

企業スポーツ活動は昭和30年代に、健康増進やストレス解消など社員のための福利厚生として始まりました。 程なくしてチームが競技大会に出場して活躍するようになると、社員が応援するなど、会社全体の士気高揚に貢献するようになります。次第に、企業側はチームや選手が活躍することによる広告宣伝効果を考るようになり、資金に余裕がある企業はチームの強化のための選手採用を広げていきました。
そしてもう一つ、スポーツ部の存在意義として、多くの企業はスポーツを通じて地域や社会貢献することが企業のイメージを上げると考えるようになりました。(ここは今も)

しかし、長期にわたる景気後退(バブル崩壊やリーマンショック)や、具体的な企業貢献が見えにくいなどを理由に徐々に廃部・撤退をする企業も増えてきました。その他にも複数の競技でプロリーグ化が進んだことや、会社の認知度は十分に高まり企業スポーツが果たす役割は終わったと考える企業が増えたことが理由に挙げられます。

このまま企業のスポーツ部はなくなっていくのか?

ここまでの歴史を振り返ると、「このまま企業のスポーツ部はなくなっていくのではないか」と考える方も多いと思います。
私はそうは思いません。企業のスポーツ部は今の時代こそ必要なものだと考えています。

確かに、新型コロナウイルス流行の影響で、企業の広告宣伝費は縮小傾向にあり、可能な限りコストを抑えたいと考えるのは一般的だと思います。

一方で、世界的にSDGsの取り組みが進み、単に売上利益だけを追求すれば良い時代でなくなっているのも事実です。
企業は事業活動を通してどのように社会に還元・貢献していくのかが問われているのです。

企業スポーツはその役割を担う存在です。事業活動で得た利益を社会に還元するためにスポーツ部の存在があり、スポーツだからこそできる社会との繋がりや関係をつくることが求められています。

そして、重要なのは、企業のスポーツ部はそのことに気が付き、自分たちがやっていることをしっかりと社内外に発信をしていくことです。

企業のスポーツ部は社会貢献を当たり前のようにやっている

スポーツ部は、チームとして新しく社会貢献を実施していくことも一つですが、それ以上にすでにやっていることをしっかりと発信することの方が大切です。

企業のスポーツ部のページをみると、「野球教室を実施しました」であったり、「地域で清掃活動をしました」といった内容が書いてあります。
全くやっていないというのはゼロに近いくらい、何かしらの社会活動をしています。

一方で実施したことを書いていない企業もたくさん見受けられました。
表向きは、「社会貢献・CSR」の一環と謳っているのに、活動の中身がまるでみえない状態では、社外へのPRはおろか社内エンゲージメントも集めることはできません。

社会貢献として活動していることはしっかりと発信をしないともったいない。
社会貢献の一環と宣言しているのであれば実行する・発信する責任がある。

ということです。

共感はストーリーからしか生まれない

発信をする時に大切なことは、「やったこと」よりも、「なぜ、それをやろうとしたのか」です。
活動報告をレポートのように掲載しても誰にも届きません。
これは極端な比較ですが、「野球教室を実施しました!」ではなく、「コロナで大会中心になった子どもたちにエールを!野球部員たちの想い!」の方が当然のことながら響くでしょう。
社会貢献こそ、Whatではなく、Whyが大切であり、そのWhyはすでに持っているはずなのです。

例えば、こちらの住友ゴム工業の記事(Sports for Socialにて掲載)。
「なぜ、ゴルフトーナメントに協賛をしているのか?」について、想いや背景を丁寧に説明しています。
「ゴルフトーナメントに協賛しました」だけではここまでのことは伝わりません。
共感はストーリーでしか生まれないのです。

発信がファンをつくる

ストーリーを発信することで、必ず理解者=ファンが増えます。

「なんだ野球部良いことやってるじゃん!」
「この活動面白そうだから私も参加してみよう!」

競技を応援してもらうのではなく、社会還元を共創できるファン、仲間になってもらうことが企業のスポーツ部に求められることではないでしょうか。

そして、直接的な売上にどう寄与するのかだけではなく、関わる人が幸せになれる(well-being)力をスポーツは持っています。

この流れをチャンスと捉え、スポーツ部が会社にとってなくてはならない存在になって欲しいと思います。

ニューイヤー駅伝も都市対抗野球も素晴らしい文化ですから。

以上。

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