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暗闇オンラインワークショップやってみた!

初めて、暗闇を再現するワークショップを企画・実施しました。
結果、とても豊かで深く、参加者が想いを共有できる素敵な場となりましたので、成果物と共にちょっとだけ中身を公開します。


そもそもなぜオンラインで暗闇を?

あなたは、ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)をご存じでしょうか?
DIDは全く光のない、純度100%の暗闇を体験できる場です。
完全に視界を奪われた状態で、視覚障害のある方が、スムーズにアテンドしてくださり色々な体験をすることができます。
時期により様々なイベントが行なわれており、最近行なわれたものでは、暗闇の中で夏祭りをしたり、TVドラマ『ラストマン』とのコラボで、全盲のFBI捜査官の見ている暗闇の世界を体感できるものも行なわれました。
暗闇の中では、障害の有無に関わらず、みな対等に対話ができる体験をすることが出来ます。

それを私(さよりん)が体験し、その数週間後にワークショップデザイナー仲間のつぼちが体験。
ほぼ同じ時期にDIDを初経験した私達にとって、暗闇の世界での気づきや学びはとても多く、かなり心を動かされました。
お互い感じたこと、気づいたこと、思ったことを共有したところ、感じたことや学びがそれぞれで異なってる!この違いってすごく面白い。他の体験者にも聞いてみたい!
じゃあ、イベントをつくってみようよ!ということで、あの暗闇体験を思い出し、感じたことや気づいたことを、参加者で共有することで、さらに何か大切なものが見つかるかもしれないねと、今回の暗闇ワークショップを企画し、実施することにしました。


あの時を思い出していただくために

「どんな方が集まってくれるかなあ?」とワクワクと想像しながら、参加のしやすさ、安全安心、記憶のたどり方、気づきや感じた事の巡らせ方、想いのアウトプット、シェアの仕方、お互いからの学び、などを考えながら、つぼちと共に一緒になって場づくりのプログラムを考案。

中でも、なんとか暗闇を再現できないだろうか?もちろん純度100%はムリだけれども、普段とはちょっと違う体験がここで少しでもできるといいなと考えて決めたのがこちら。

暗闇をオンラインで「疑似」体験!

カメラOFF:暗闇の中では、相手も自分もなにも見えません。
マイクON:暗闇では、お互いの声が頼り。
名前表示は「.」:全員同一にすることで、誰か特定できない暗闇状態に。
暗闇の世界を少しでも「疑似」体感出来るように設定してみました。

不自由だからこそフラットな場に

参加者全員に共通することは、『純度100%の暗闇を体験』してきたこと。それ以外は、全く面識がなく、お互い初めましての方ばかり。立場も年齢も場所もみな異なる方々。体験したプログラム内容も異なるのです。
そのため、暗闇体験という共通点を押さえつつ、全員が共通して話せるテーマを設定し、あの時を思い出して対話ができるよう、ワークも踏まえて進めていきました。

暗闇オンライン上では、画面オフのため一切顔は見えません。誰なのかもわからず、声だけが頼りになります。
するとそこには、名前を名乗ってから話をしたり、自然と小声になっていたり。ゆずりあい声を掛け合って発言したり、互いの話をよく聴き、共感をしたり。最初は戸惑い探りつつも、互いを気遣い、聴き、共通点をみつけて共感し、尊重しあう。とても素敵な対話の場がそこには広がっていました。
これはまさに手探りで状況を確認し、五感を研ぎ澄ませ、その場にいるみなで声を掛け合い、手をとりあって進んで行くような、まるで暗闇が再現出来ているかのようでした。

さらに、時間が経つにつれ、表面的なことから、だんだんと心の揺れ動きや自分の思考の変化にまで自己開示が続いていきました。
ここでは年齢も立場も全く関係なく、フラットな対話ができており、とても温かい空気と深い想いを感じ取る事ができました。

暗闇の中で見つけたものは?

いくつかのワークを通じて、お互いの体験や感じたこと、想いを共有したところで、最後にこんなワークを行ないました。
DIDの参加、または、今回のワークショップを通じて、あなたが暗闇で見つけた大切なものは何ですか?

この問いから、全員で書き込んだ1枚の成果物をここに公開します。
あなたはこれを見て読んで、どのように感じるでしょうか。

暗闇であなたが見つけた大切なものはなに?

まるで忘れていた大切なものを思い出したような、とても深くて豊かな広がりを感じると共に、新たな問いや宿題も沢山いただいている。そんな感覚を覚える方も多いのではないでしょうか。
それぐらい、とても濃厚なアウトプットの場に恵まれました。

体感&リフレクションの重要性

今回の実施でわかったのは、参加者のほとんどが、自分の体験をシェアや意味づけする場が欲しかったということ。
DIDという他にはない視覚を奪われる体験をしたからこそ、何かを感じて心が動いたり、新たに気づいたり、自然と行動に変化がみられたりと、そこから見えてきたことがとても多い状態だったのです。

誰かに伝えたい!一緒にシェアしたい!と思っても、未体験者に話をしても「そうなんだ。いい経験したね」で終わってしまう。
その現実世界でのもどかしさ。
本当に「自分にとって大切なもの」を見つけたからこそと言うことも、言えるのかもしれません。

DID体験だけで、あの余韻を、いい違和感を終わらせるのは勿体ない。
むしろ、体験後のリフレクションがとても大切であり、そこで言葉にまだならないもやもやを共有したり、話し合いなどにより消化することで、自分のものとし、その後の行動変容につながっていくことこそが、DIDの醍醐味であるのではないかと、改めて感じました。

参加者からも、「一緒に参加した方々とお茶でもしながら感じた事、思った事を語り合う時間を設けられるといいよね」「体験後に思う事が多すぎて、実は一人で喫茶店で振り返りをしたんだよね」「今回(の暗闇ワークショップ)この場が振り返りとなったので、参加できてすごくうれしい!」というリアルな声もありました。ぜひ、参加者同士でリフレクションをすることをオススメいたします。

暗闇ビフォー・アフター

今回、最初から約90分間暗闇画面で過ごしました。そして最後に顔をだした写真がこちらです。
画面オンにして顔が見えたときの新鮮なこと!「この方と話していたんだ!」「ちょっと想像と違った!」など、まさにDIDで暗闇から外に出たときの反応と同じような感覚を、ここでも再現することができました。

暗闇オンライン中はずっと画面オフ!
最後に、暗闇から出るとこんな感じ!新鮮!


おわりに

暗闇オンラインワークショップ、参加者それぞれがあの時の想いを巡らせ、感じた事を自分の言葉で伝えられたり、共感して貰える喜びにより、さらに素晴らしいアウトプットが共有できた場となりました。

普段は満たされているからこそ、それが当たり前になり、特にはなにも感じていない。けれども、不自由になり、感覚を研ぎ澄ませたり、探ることで、本当に大切なことが見えてくる。
改めて、人として大切なことを、沢山思い出させていただけた場となりました。

参加者のみなさま、一緒に場をつくってくれたつぼち、そして、素敵で貴重な経験と大切なものにきづかせていただけたダイアログ・イン・ザ・ダークさま。本当にありがとうございました。
DID未経験の方はぜひ、見えないからこそ見つけられる、大切なものを見つけに足を運んで体感してください。私もまた行きたい!大人から子供までぜひどうぞ。

また個人的には、今後もこんな温かい場を創っていきたい。より素敵な場を提供したい!と強く思う事ができました。ファシリの強化、頑張ります。

素敵で豊かな場をご一緒させていただき、本当にありがとうございました。

s_create さよりん

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