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最近の富士フイルムに思うこと

最近SNSのカメラ界隈で「富士フイルム」の話題になるとわりと炎上する傾向にあります。先日の決算報告による投資家向けのIRで、質疑応答に答えた現代表取締役社長の後藤禎一さんの回答が波紋を呼びました。

質疑応答の中で、現在のカメラの在庫状況を「平常な状況」である、「作りすぎて、値段を下げるのはかなりもったいない」「ブランド力を高めてライカのような高価格を維持するのが目標」と述べたことで、やっぱりお前ら意図的に製品の供給を絞ってるということじゃないか! と、ユーザーの不満が爆発して炎上してました。

在庫不足が続く富士フイルム

富士フイルムに限った話ではないですが、円安の影響も受けてカメラ価格が大きく値上がりしている昨今では業界全体に影響しているわけですが、そんな中でも買うユーザーはいるので、入荷してはすぐ売り切れるカメラも少なくありません。

富士フイルムのカメラも発売されてすぐ注文が殺到し、予想を上回る予約状況に供給が間に合わないという事態を繰り返してきました。
その後も在庫不足は解消せず、欲しくても手に入らない状況が数週間続くというのが毎度のように続くのです。

ただ、なぜか欧米でのマーケットでは潤沢に在庫が回っており、在庫不足になるような状況はあまり見かけません。日本では全然手に入らないのに、海外では普通に買えるじゃないかというユーザーの不満は募るばかりです。

日本では一向に手に入らない状況が続くなかで、中古市場に出回るカメラもどんどん売れていきました。新品は手に入らないから中古でも欲しいユーザーは一定数いるので、中古の相場もどんどん値上がりしていきました。

そもそもユーザーの不満は今に始まったことではない

23年の夏頃に発表された初代GFX100のバッテリー”NP-T125”の生産終了を受け、GFX愛好家の中には衝撃を受けた人もいるようです。

GFX100が発売されたのが2019年6月ですから、約4年目にして専用バッテリーの生産終了。GFX100自体も3月には生産終了していたので、順当な流れでのようにも思えますが、専用のバッテリーなだけに使い続けている人は露頭に迷うわけです。ただでさえ100万円以上するカメラがこんなにも早く生産サイクルを終えてしまうと言うのは、富士フイルムに不満を言いたくなるのもわかる気がします。

高額なカメラで言えばドイツのLeicaはカメラ愛好家の憧れのカメラです。長い歴史があり、100万円以上するカメラもあったりしますが、10年でも20年でも部品がある限り修理してくれるという話を聞いたことがあります。
高いお金を払ったのに、たった4年で生産終了のGFX。生産しないというだけで修理サポートはまだ続いているとはいえ、消耗品であるバッテリーが新品で購入できなくなるということに、富士フイルムのカメラはそういうリスクもあるというイメージを植え付けてしまいました。

それでいてあの社長の発言があり、Leicaを引き合いに出してブランド力を高めていくというのは、いささか戯言のように思えてしまいます。

製品企画の体制が大きく変わった?

富士フイルムの商品企画に長年携わってきた「上野隆」さんという人物がいらっしゃいます。
「富士フイルムのカメラはこうでなくてはいけない」ということを常に語っていて、商品企画から自らプロモーションまで担当していたお方です。

その上野さんが部署を移動したという情報が流れてから富士フイルムの体制が大きく変わったような気配を感じています。

特にX-H2S・X-H2が発表された頃から、今までの富士にあった富士らしさがなくなった感じがしているんです。X-H1にあったシャッターダイヤルと感度ダイヤルを廃止し、一般的なカメラと同様のコマンドダイヤルに。動画性能と連射性能をアップデートして、他社のミラーレスカメラに対抗できるカメラに仕上げてきました。

モデルチェンジの早いミラーレスカメラにおいて、他社に対抗するカメラを作っていくことは今後の方向性的にも正解なのかもしれないですが、私は富士フイルムにしかない独自性を貫いてほしかったなという気持ちが強いです。私もX-H2を自ら購入して使っていましたが、撮っていてもなんだかソニーのカメラを使っているような感覚があり、使っていて楽しくないなと思うようになってしまいました。

会社のイメージは大きく失墜してしまったと個人的には思う

今回の質疑応答での社長の発言もあり、会社としての方向性が変わってしまった富士フイルムに対して、僕自身としてはあまり応援することはできなくなってしまったなという気持ちです。今回の発言がきっかけではないですが、やはり富士フイルムにしかない独自性が好きだったこともあって、他と同じようなカメラしか作れなくなったメーカーには興味がなくなってしまったというほうが正解かもしれません。


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