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司法試験に独学で合格するためのおすすめ基本書【民法編】

今回は需要の高そうな民法について私が使用してた基本書を紹介します。
今回紹介するのは基本書です。問題集については別途使用したりしていましたのでこのあたりはまた別の機会にでも紹介したいと思います。


私の勉強スタイル

私は,大学の法学部からロースクールに進学した既習です。
司法試験は初回受験で合格することができました。

そんな私の勉強スタイルを説明しておきます。
ご自身の勉強スタイルに取り入れる余地があるなと思われる方は参考にして頂ければと思います。

逆に全然スタイルが違うという方は,勉強方法も十人十色ということで気分を害されずに離脱していただければと思います。

私の勉強スタイル
・基本書と判例百選で「まとめノート」を作成していく勉強スタイルです。
・まとめノートには「条文番号」「文言と定義」「解釈論・判例解釈」「考慮要素」この点をできるだけ答案作成に使える形で保管することを目指しました。(「考慮要素」は現場で復元できれば良い答案になりえます)
・このまとめノートは何回も見直します。(加筆修正も含まれます)
・授業の範囲ごとに作成して定期試験もこのノートで乗りきりました。(作成納期が定期試験なので授業範囲の「まとめ」はそれなりに出来上がります)

1.民法の勉強方法

一番大変な科目は民法といっても過言ではないでしょうか。
民法は,条文数が多い=論点も多い=判例も多い

まだ「この論点も,この条文も全然知らない」なんて箇所が沢山あるんのではないでしょうか。そんなもんです。

司法試験まであと1年ある人は,
1年でどう網羅するか。2年ある人は2年でどう網羅するかを考えればいいのです。

授業で重要なところは取り扱ってくれると思うので(授業スケジュールは入学当初から決まっているでしょうから),
授業で取り扱わない箇所をどう自分で埋めるかを管理する必要があります。

例えば「親族法」はどうしても後回しになりがちです。これをスケジュールのどこに分配して腰を据えて学習するかを決めなければなりません。

抽象的に言われてもやる気は湧いてきませんが,
この「親族法」というものを,
・「婚姻」「親子」「親権」「後見」「補佐及び補助」
という風に具体的に5つの章に分解して考えてみましょう。これを一週間に1つずつ潰していこうと考えれば,なんとなくやる気も出てくる気がしませんか。

2.司法試験に利用したテキスト【民法編】

私が,司法試験を受験するに際して利用したテキストや周囲で人気があったテキストを挙げてみます。
分かりやすいように説明の下にリンクをつけておきますね。

学部時代から通算すると最も長く使用したテキストは「内田民法」こと①『民法Ⅰ総則・物権総論』,②『民法Ⅱ債権各論』,③『民法Ⅲ債権総論・担保物権』でしょう。ロースクールではなんとなく内田民法のネガティヴな書評をする同期もいました(著者の見解が強すぎる等)。

しかし,そういう箇所は著者の見解ですよ,とはっきり書かれているので私としては,学習のノイズにはなりませんでしたね。

何よりケーススタディーとして具体的事例から始まり「問題の所在」→学説・通説,「判例解釈論」の順番で書かれています。
また,「最初の事案がこう変わったらどうなるか?」という問題提起に対して能動的に読んでいけば,条文解釈を具体的な紛争と一緒にとらえることができるようになると思います。

具体的な当事者をイメージしながら無味乾燥な条文を学習できるところは本書の強みだと思います。
是非学部時代に一読,ロー生であればそれなりのスピードで読めると思います。
最近改訂されたばかりですので,気になる方は書店や図書館で手に取って中身の雰囲気を見てみてください。
(余談ですが,内田民法はカバーを外すと外見がかっこいいです。)

親族法・相続法について『家族法実務講義』を通読しました。ロー生でこれを使用していた同期はいなかったかもしれません。私の場合には家族法の基本書の中で新しく当時の改正法に対応しているものだった,ということで手に取りました。
内容については初学者にも比較的わかりやすく基本的な内容は十分に抑えられている良書でした。

次に,家族法について他の同期で使用しているのが多いなと思ったのは,リーガルクエストシリーズの『民法Ⅵ親族・相続』や,窪田先生の『家族法 民法を学ぶ』でしょうか。
これら2冊はAmazonのサイトで試し読みができますので,持ってなくて興味がある方は本の雰囲気を見てみて下さい。

↓Amazonのサイトで試し読みができます。

↓こちらも試し読みができるようです。

3.ロースクール以降・副読本

内田民法が一応頭に入ったという想定で,より発展的な個別の答案作成に活かせるように使用した基本書を紹介します。

少し発展形になりますので,気になる方は読んでみてください。

「ここからは有料です」となりそうな雰囲気ですが,もちろん全部無料ですので安心してください笑。

①総則

総則については,山敬こと『民法講義Ⅰ』を一周通読しました。
表見代理の考え方は内田民法を読んだ後にこの山敬を読んだので,より俯瞰的に分かるようになったと思います。
周りの同期も割とこれは持っていたスタンダードな一冊なのではないでしょうか。


②物権法・担保物権法

物権法・担保物権法については,安永物権こと『講義 物権・担保物権法』を通読しました。
よく予備校模試の問題になる即時取得や譲渡担保などはこの教材の「まとめノート」が役に立ちました。
ローの授業の進んだとこまで読むという感じで通読できました。
当然内田民法よりも詳しく分析的に書かれていますのでこちらも試し読みしてみてください。

↓こんな風に手書きのまとめノートを作成していましたが,普通はワードファイルが多いと思います。

ノート

担保物権については,道垣内先生の『担保物権法』を利用している同期もいいました。私が上の安永先生を利用したのは「物権法も入っててお得!」と思っただけです。
(ロー時代はとにかく薄い基本書が好きでした。基本全部厚いのでやる気なくしますよね)

②債権譲渡・相殺

債権譲渡と相殺については潮見先生の『プラクティス民法 債権総論』を参考にまとめノートを作成しました。これの見た目は凶器ですよね。重いですし。

ただ,私は,「債権譲渡」と「相殺」に関する部分のみを読みまとめました。それぞれも授業の進度にあわせて読み進めていきましたのでそこまで負担にはなりませんでした。他方でしっかりとしたロジックで書かれていますので理路整然と読み進めることができた印象です。無理して買わなくていいとは思いますが図書館や自習室で借りられる環境は確保しておきたいですね。


以上で,私がメインで使用したテキストは以上になります。

まとめると,ベースは「内田民法」で作ってその後は各論については詳しい基本書をスポット的に使用しすることで司法試験民法は対応できた,といった印象です。これはあくまでも私のスタイルですのでサンプル数1として考えてください。

4.おわりに

仮に私が内田民法を使わなかったとしたら

当時の同期を見ていて「内田民法」に代替可能な基本書として考えられるのが,佐久間民法2冊潮見イエロー2冊でしょうか。
『民法の基礎1総則』・『民法の基礎2物権』,『債権各論Ⅰ』・『債権各論Ⅱ』です。
これらは多くの初学者の方にとってスタンダードな基本書でしょう。もしかすると「内田民法」よりも人気かもしれません。



どのテキストを利用しても判例が出てくるたびに判例集で確認してください。
判例百選を持っておけば間違いないと思います。


以上たくさんの基本書を紹介しましたが,間違っても全部読もうとしないでください。
まずはどの1冊でもよいのでしっかり大切に読んでみてください。
私にとって読みやすかったテキストが必ずしもあなたにマッチしているとは限りません。

まずは,Amazonの試し読み機能や書店で手に取ってみて,
「これなら読めそうだ」と思えるものをまず1冊進めてみるのが大切です。

最後までお付き合いいただいた皆様にロッキーのセリフを贈ります。

「一歩ずつ,一発ずつ,一ラウンドずつだ。」
(byロッキー・バルボア 映画「クリード  チャンプを継ぐ男」より)

ありがとうございました。









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