間取りの考え方~収納計画(1)
アラフォー女性建築士の『さわ』です。
主に関西で住宅を設計しています。
家づくりをするきっかけのひとつに、現在の住まいが手狭になったことが挙げられます。
家族が増えたり成長したりすることで、生活空間だけでなく収納が不足することもよくあります。
家づくりのヒアリングの際には「とにかく収納をたくさん!」といったご要望をいただくことも多いのですが、生活空間を犠牲にして収納を増やすと快適な暮らしとは言えません。
また、生活空間を広く取りすぎて収納が不足すると物が散らかり、それも快適ではなくなります。
では、どれくらいの収納スペース、どんな収納計画が必要なのでしょうか?
収納率
収納面積を建物総床面積で割り、100を掛けたものを収納率と呼びます。
一戸建ての場合、収納率は10~15%が適当と言われていますが、それがどれくらいの量なのか、実際の間取りで見てみましょう。
建物総床面積: 51.86㎡ + 53.79㎡ = 105.65㎡
収納面積: 3.05㎡ + 1.62㎡ + 1.35㎡ + 1.35㎡ + 0.81㎡ + 1.82㎡ + 0.67㎡ + 0.54㎡ = 10.91㎡
収納率: 10.91㎡ ÷ 105.65㎡ × 100 = 10.3%
この間取りで約10%の収納率です。
適当と感じますか?少ないと感じますか?
適材適所適量
私が間取りで収納を計画するときに気を付けているのは『適材適所適量』です。
適材適所
例えば、収納率が適当でも、1階の収納が0%で2階に10%の収納計画では、1階の空間に物が散らかる可能性があります。
1階で使うものをいちいち2階に収納するのは面倒だからです。
『適材適所』とは、その空間で使うものをその空間で収納することです。
玄関で脱ぐ靴は玄関収納に、季節の上着も可能なら玄関収納に片付けたい。食品のストックやキッチンに収納できない大物家電、大物食器はパントリーに、洗濯や洗面のストック品も洗面所周りに収納したい。
毎日身に着ける下着類も可能なら洗面所に収納できると、動線が快適になります。
また、私は打合せで掃除機についての質問をよくします。
掃除機はコードレスですか?充電式ですか?スタンドタイプですか?一家に一台ですか?フロアごとにありますか?使用頻度は?
これだけでも回答は様々です。
LDKでよく使用するなら、LDKの収納に片付けたい。
スタンド式なら立てて収納できるように、棚の高さを調整し、収納内で充電できるようにコンセントも設置したいです。
個室で家族それぞれが使うなら、廊下に収納を作って誰でも気軽に取り出せるようにしたいです。これも家族それぞれによる『適材適所』です。
適量
服の収納についても考えてみましょう。
最近は家族みんな一か所に収納するファミリークローゼットも人気です。
私は干したものをそのまま片付けるハンガー収納を採用しています。
しかし、以前ハンガー収納を採用したご家族が後悔しているという記事を読みました。
その内容は、服を全部吊り下げるとハンガーパイプがパンパンで、服がしわしわになり、引き出すと他の服も落ちるという問題があるとのことでした。それは、クローゼットの容量を超えていたことが原因だと思います。
適量とは、その収納に対して使いやすい収納量であることです。
使う場所で収納しないと、どこにいったか分からず、ぎゅうぎゅうの収納では物が迷子になります。
『適材適所適量』は、物がどこにあるか把握でき、暮らしの中で使いやすい収納方法です。
まとめ
収納は単に物をしまうだけでなく、暮らしを向上させるための重要な要素です。
適材適所適量の収納を取り入れ、家族それぞれのライフスタイルに合わせた収納計画を立てることで、快適で機能的な家づくりを計画しましょう。
次回は実際に収納の間取り図について考えていこうと思います。
よかったら来週も覗きに来てください。
今週もありがとうございました。
左巴建築設計事務所 さわ。
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