「罪」


「糖質70%カットで罪悪感なし!」
とか謳う広告を見るたびに私はモヤッとした気持ちになる。

甘いものに目がない私にとって、そもそも甘いものを食べることは「罪」ではなく「ご褒美」だと思っている。だから、「私のご褒美を“罪悪感を感じるべきモノ”にするな!」というシンプルな憤りがモヤモヤの原因である。

さらに、“罪悪感を感じるべきモノ”という判断が意味不明な価値観に基づいているということも余計にモヤッとさせる。

「罪悪感なし!」には「甘いものを食べることは罪である」という前提があり、もっと言えば「太ることは悪いことで、甘いものはそれを助長するから罪である」という理屈があの短い文言に隠れているように感じるのだ。

私はルッキズムについて言及できるほどの見識はないが、「太ることは悪いこと」を当たり前として受け止めるほど無神経でもないらしい。

…などと偉そうに書いてみたが、そもそも電車の中吊り広告やビルの壁面のポスターが「罪」を決めるなんて明らかに分不相応だし、なんかイヤ。というのが実際のところだ。

「ご褒美」というきらきらした言葉に「罪」という強い言葉をぶつけることで、このモヤモヤを三十一文字に閉じ込めようと試みたのがこの短歌である。