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「(いわゆる)ギャンブル依存症」だから、・・・・という説明は、二重に間違っています。

 コロナに感染したから熱が出る、だるい、せき込む、という話と、「ギャンブル症(☆)」だからギャンブリングをやめられない、問題がおきていても続ける、という話は同じではない。
 コロナ感染症は原因によって病気が定義されているが、「ギャンブル症(☆)」は状態によって定義されているだけ。だから「ギャンブル症(☆)」を原因のように語る説明は間違っている。もしそういう説明に出会ったら、「ああ、わかってないな、この人」と思えばいい。
 さて、「ギャンブル症(☆)」の必須な特徴(Essential (Required) Features)は、①ギャンブリング行動のコントロールが障害されている(やめられないとか、意図せず始めてしまうとか)、②ギャンブリング行動が他の生活上の出来事より優先されている、③ネガティブな事柄が続いているにもかかわらず継続またはエスカレートしている、の三要件「すべて」を満たし、かつ他の精神的な障害では説明できず、個人、家族、社会、教育、職業など重要な領域で顕著な障害や苦痛が生じていること。
 これらすべてがそろった場合、「ギャンブル症(☆)」と呼ぶのであって、「ギャンブル症(☆)だからやめられない、問題がエスカレートする、という話ではない。
 
ここは混同する説明をまあまあ見かけるので、こんなこと常識以前とは思いますが、あえて説明しました。
 なお、自分の損失の程度を愛する人に隠したり、借金を返済するためにお金を得ようとしたりするために、人を欺く行動をとる、とか、ギャンブルの強度を高めたり、賭け金の額を増やしたり、ギャンブルの戦略を変えたりして、多額の負けを埋め合わせようとする(つまり、負けを「追いかける」)などは、必須な特徴ではなく、追加的な診断的特徴です。この辺も「ギャンブル症(☆)」「だから」「うそをつく」「負け追いする」という逆転した説明がみられるので補足しておきます。
 ☆「ギャンブル症」はICD-11のいうgambling disorderのこと。法でいうギャンブル等依存症は「ギャンブル症」であるとされている。「いわゆるギャンブル依存症」はWHOの定義では、gambling disorderとHazardous gambling or betting(危ない遊び方)からなり、前者が「ギャンブル等依存症」であり、後者は障害や疾病とは言わない。「症」と呼べない。呼んではいけない。三要件+顕著な障害や苦痛、がそろっていなければ、運動不足や誤ったダイエットと同分類の健康問題としての「危ない遊び方」になるので、これまで公表されてきたいわゆるギャンブル依存症疑い有病率はほぼ危ない遊び方疑い率になります。ICD-11はこちら

 せめてここくらいは読んであれこれコメントしてください。

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