マネタリーベース

マネタリーベース(またはベースマネー)とは、金融システム内での通貨供給の基本的な指標です。以下の要素で構成されています

  1. 日銀当座預金:銀行が日本銀行に預けている預金です。これは銀行間取引や決済のための準備金として使われます。

  2. 紙幣・貨幣の流通高:市中に流通している現金の量です。これは実際に流通している紙幣とコインを含みます。

マネタリーベースの役割

  1. 金融政策の基盤: マネタリーベースは、日本銀行が金融政策を実施する際の主要な手段の一つです。日銀が市場に供給するマネーの量は、経済全体に影響を与えるため、金融政策の調整において重要な指標となります。

  2. 資金供給のメカニズム: 日銀が国債などの金融資産を買い入れることで、銀行に対してマネタリーベースが供給されます。これにより、銀行の準備預金が増加し、結果的に市場への資金供給が増えることになります。

  3. 経済活動への影響: マネタリーベースが増加すると、銀行が貸出を増やし、企業や個人への資金供給が増える可能性があります。これが消費や投資を刺激し、経済成長を促進します。一方で、マネタリーベースが減少すると、資金供給が減少し、経済活動に対する影響が抑制されることがあります。

マネタリーベースと経済

マネタリーベースの変動は、金融市場や経済活動に対して直接的な影響を持ちます。例えば、日銀がマネタリーベースを増やすことで、銀行の貸出し余力が増し、企業や消費者に対する融資が増えることが期待されます。逆に、マネタリーベースが減少すると、資金供給が減り、経済活動が鈍化する可能性があります。

金融政策の実施や経済の動向を分析する際には、マネタリーベースの変化を注視することが重要です。

現状のマネタリーベース

  1. 伸び率:

    • 前年比: 2024年6月のマネタリーベースの前年比伸び率は0.6%です。これは前月の0.9%から低下しています。
      7月のマネタリーベースの平均残高は、前年比1.0%増の670兆1436億円で伸び率は前月の0.6%を上回っています。

  2. 今後の見通し:

    • 日銀が長期国債買入れの減額方針を決定し、これが速やかに開始されるため、今後マネタリーベースは前年割れに転じる可能性があります。
      具体的には、国債の買い入れ額を現在の月6兆円から、2026年1-3月期には月3兆円程度に減額する方針です。

まとめ

国債の買い入れ額の減少はマネタリーベースの減少を引き起こします。しかし、減額は段階的に行われ、市場の予想に沿った形で進行するため、急激な変動は避けられる可能性があります。日銀が他の金融政策手段を駆使しながら、マネタリーベースの調整を図ることで、経済への影響を最小限に抑えようとするでしょう。

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