友よ、君は形式と中身が1つであることをわかっていない。

今回のタイトルのフレーズは、「バランスシートで読みとく世界経済史(ジェーン・グリーン・ホワイト 著、川添節子 訳)」の中で引用されているゲーテの小説にあるセリフの一部です。
複式簿記の意義、効用を唱えている人物が発しているのですが、要するに行き当たりばったりで商売をするな、ということです。
当たり前のように思われる内容ですが、どれだけの人が日々の生活で実践できているのだろうか、自分はできていないな、と思いました。
そして、記録することがいかに大切かを不易流行の活動を進める中で感じました。

不易流行を運営しているなかで避けられないことは、急な転換です。
今がコロナ禍であるということも要素としてはあるのでしょうけれど、この感染症が収まったところで柔軟に対処していく必要性は変わりありません。
不易流行のメンバー間で「コロナが収まってから…」とか「落ち着いてから…」という論理展開は一度も発せられたことはありません。
あるとすれば、実現可能性(チームとしての熱量、コスト、リスクなどを踏まえて)の検討を行い、優先順位をつけるという作業だけです。
今この瞬間を軸にできるかできないか、やるかやらないかを決めるにすぎません。
その検討材料の一つひとつをより精度の高いものにしてくれるのが、コンテクストであり経験です。
不易流行というプロジェクトは柔軟な思考であり続けるということがチームとしての共有理念であり、それを支えるのはチームメンバー個々が持つ様々な経験であると言っても過言ではありません。
加えて、その柔軟性をより高い精度で迅速に発揮することも追求していきたいと思っております。
となると、各経験は手元の引き出しのように自在に取り出せて、再検証ができる状態になっていないといけません。
経験は記録されてチームのアーカイブとなっていなくては、上記の機能を持たせることができないのです。

やるべきことをやって成果を求めることには仕事を行う上で誰しもが当然のように意識を集中させますが、気づいたことや経過を記録することもチームとしての経験を次に活かすためには欠かせません。
ですが、どうしても後回しになってしまうと自戒しております。
仕事部屋で例えるなら、書類で散らかったデスクで実務をしているようなものですね。
タイトルのフレーズは、まさに雑然としたなかで本を読んでいてハッと部屋を見渡すきっかけになった言葉です。

過密なスケジュールで進行することもありますが、その際にこそ、
《実務を進めることと、記録をすることはセットである》
と意識し実践しようと思うに至りました。

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