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ブックレビュー:『これからの本屋読本』内沼晋太郎 著 NHK出版 2018.5

【内容概略】

●ネットが普及し本屋のあり方が大きく変わってしまった時代に本屋のあり方、本屋と人とのかかわり方について問い直す
●書店開業コンサルを長年続けてきた著者が開業のために必要な情報を具体的に公開
●本屋を本業として生きていく、本業に本屋を取り入れるなど現代の本屋開業のモデルを具体例を交えて提示
●本屋という生き方を生活に取り入れる提案


【こんな人におススメ】

●本屋が好きな人
●本屋を開業したい人
●仕事に本を取り入れたい人
●本屋という仕組みに興味のある人


●本屋が好きな人

長年、本屋業界の外と中を行き来してきた筆者だからこそ伝えられる本屋についての考えを秀逸。自身の本屋についてのイメージを考え直す機会に

●本屋を開業したい人

実際に本屋を開業した方々が勧める本屋開業の指南書と言われるだけあって、開業についての豊富な知識をわかりやすく解説してくれる最高の本屋開業指南書

●仕事に本を取り入れたい人

本格的に本屋を開業するつもりでない人に対しても、本や本屋を本業に組み入れる様々な提案を掲載。すべての本好きの人々へ自然に本屋を仕事に取り入れる方法を指南

●本屋という仕組みに興味のある人

本屋という生業について、本というモノ、本屋というヒト、本屋というバショなど様々な点を哲学的、社会学的に考察。アマゾンが世界最大の書店になって現代において本屋の意味を改めて問い直す

【感想】

前回のブックレビュー『本屋のミライとカタチ 新たな読者を創るために』の出版記念イベントの事でした。
私はイベントの最後質疑応答の時間に現在ブックカフェの開業十尾中であることを伝えました。
その際、私自身の率直な感想として出版業界の外にいる人にとって出版業界の仕組みがあまりにもわかりづらいことを伝えました。
その質問に対しての著者の北田さんの回答が今回のブックレビューで挙げた『これからの本屋読本』でした。
実際、イベントの中でもこの本の著者である内沼さんの話は何度も出てきており、業界では非常に有名な方だと感じました。

実際にこの本を読んでみると北田さんや他の登壇者の山口さんは古賀さんも口をそろえて勧めるように本屋を開業したい人がネットで何度調べても見つからない情報がこの本の中にはふんだんに盛り込まれていました。
そういう点では本屋を開業するつもりの方へは迷わずお勧めする一冊です。

ですが、それだけでは済まされないのがこの本の深いところだと思います。
『本屋のミライとカタチ』でも触れられていましたが、「本屋」の定義を問い直すという試みが非常に重要だと感じます。
業態としての本屋は今では蔦屋書店でインテリアや家電が売られていたり、大きく変わってきているのは皆さんも感じてきているかと思います。
しかし、それ以上に本屋を人でありコミュニケーションのハブととらえる点が今後ますます重要になってきていると感じます。
実際、この本の中で内沼さんは自身が経営している本屋B&Bというバーを挙げています。
このバーはお酒が飲める本屋ではあるのですが、本質はお酒✕本ではなく、そこに集まった人同士のコミュニケーションが肝だと書いています。
その他、本屋を本業に取り入れる際もコミュニケーションのきっかけとしての本屋の役割を提示しています。
 
今年に入り蔦屋書店がスペース貸し事業に舵を切り始めたりと、本をモノではなく、コミュニケーションのハブ/コトとして提案する流れが加速しているように感じています。
一度読まれたことのある方もそういった点からこの本を読みなおしてみると面白いかもしれません。

【著者紹介】

内沼晋太郎
ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」と出版社「NUMABOOKS」の経営。バリューブックス取締役。散歩社取締役。
Note:


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