雷光よ映えよと暗雲垂れ籠める

寂たるや古都を抱きて眠る山

オニヤンマ向こう見ずにも程がある

早稲繁り野立て看板意を為さず

アナアキの葉を拾ふ虫愛づる君

霧時雨裸電球暈纏ふ

鈴虫の憩う中央分離帯

携帯を忘れてさらに天高し

秋麗らトールとショートの紙コップ

金風を待って寝そべる竹箒

トラロープ越えてコオロギ鳴き交わす

秋没日宙に小虫の銀河系