見出し画像

朝5時、始発で。

始発電車とはどうも仲良くなれない。
酔いが覚めないまま、眠たい目を擦り、改札を通る。そんなことが一番億劫になるのが、始発。

去年の春、僕たちは大学生になった。
そして僕は、バンドを始めた。
コピーバンドしかまだ出来てないけど、正直自分の想いは自分の歌詞でしか語れない。だからオリジナルも歌いたい。

そんなことを思い出した、初秋。
夏の終わりの初夏の気温、キンモクセイ。
友達とユニバに行った帰り、ふと君に会いたいと思った。会わなくちゃと思った。
フリータイムで入るカラオケ。前までは僕がリードしてたのに、今では君は夜職のおかげで男慣れしてた。

2人の思い出の曲。フラッシュバック。
1ヶ月と少しの短い恋だったけど、抉られた深い愛。
何度も何度もナイフで心臓刺される感じ。
そのまま君は夜の街へと一時退店した。
その10分後に年確された。君がいなくて年確できなくて退店した。もちろんお代は自分。

その悲しみと憤りを最近覚えたてのハイボールに流し込んだ。駅前の広場に東南アジア系の陽キャが騒いでた。あとおじいちゃんがおそらく妻であり愛人でありパートナーであろう人に拉致られてた。

もう帰って来ないかと思って、終電は逃してるし金欠でタクシー代が払えないので駅前の広場で寝てたら3時間後ぐらいに帰ってきた。

君にアルハラされてストゼロロングを買わされた。
もう一度、今度は違うカラオケに入店。飲みベがこの日以上に落ちた時はない。
そのままカラオケが閉まる5時まで、腹のそこから歌って、肝臓を壊す勢いで飲んだ。

店を出て、少し太陽が昇ったとき、

君は、たばこを持った。

付き合ってた時もそんな話はしてた。
母が喘息なのでたばこ系の話をした時、正直ちょっと冷めた。しかも、目の前で吸うもんだから、心の距離が空いてしまった。というか、ストゼロのせいで君のことを見ることもしなかった。

その時、君とキッパリ別れられた。
そんな気がしていた。

夏の終わり、恋の終わり
始発に揺られて、5駅先まで寝過ごしてみた。
億劫になる始発帰りは、君のおかげでちょっと楽しかったかもしれない。

この曲を書こうと思った時、どうしても性別に困った。今の時代ジェンダーレスとかよく言われるけど、言葉だけはジェンダーレスになってくれない。聴いてくれる人がどう感じるか、それだけを考えた。

少しでも丁寧な言葉を紡ぎたい。そんなことを、思いながら綴った。君と少しだけお別れしたあの3時間。駅前広場のベンチに寝そべって書いた。

いつかこの曲が君に届いたとしても、
君は君のままでいて欲しいし、
幸せならどうかそのまま幸せでいて欲しい。
そして、付き合ったことすらも後悔して欲しい。
なんであんなクズと付き合ったんだろうって。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?