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南国ピアス後編「ひとりじゃない」

丑三つ時も寝静まっちゃう午前3:30。
長い1日を終え、ホテルに帰ってきた。

結果から言うと非常にめんそーれな旅となった。

13:15 那覇空港に到着

ゆいレールに揺られ、まずはお目当ての「そーきそば」屋に向かった。

そーきそばの相棒「ラフテー」
いかしたピッグは骨付きでもホロホロと身が崩れる。

らか


 ホテルにチェックイン。
1泊4800円とは思えないオシャレなホテルだ。部屋のドアがなぜか開いている。
中に入ると従業員がせっせと清掃をしている。

「さすが沖縄。時間にしばられないね~」

いつもより寛大だ御心だ。

部屋番を確認し、事態を清掃員に伝える。
すると清掃員は平謝りして、慌ててフロントへ向かった。
しかし、5分経っても戻ってこない。
フロントへ行くと、明らかにこの件でバタバタしている。

沖縄時間なんて関係なく、ただのミスだった。

この旅の運の無さはまだ続くようだ。

ようやくフロントマンがきた。

謝罪と共に「飲み物をサービスします」と言ってきた。
心の中で先輩に詫びを入れ「オリオンビールで!」と高らかに宣言した。

先輩に申し訳なく思う理由は、
30分後、先輩と一緒にリモート商談をするからだ。
リモートが定着し逆に大変だという話は本当のようだ。
よく考えると沖縄でリモート商談してること自体に運の無さを感じる。

終了後、ついに目的である「南国ピアス」の会場へ向かった。

ホテルを出てすぐ「沖縄がすぎる」情景が目に飛び込んできた。

タンクトップとスポーツブラの中間のような服をまとった少女が肩で壺を支えながら歩いている。

横の家を見ると、初老の男性がヤギに餌を与えている。

かと思えば2台のタクシーがすれ違い、いきなり止まった。
お互い窓を開け、喧嘩なのか談笑なのか一切分からない速度と熱量で沖縄語の応酬をしている。
最後に手を振りあっていたので友達なのだろう。

ライブの会場である「なはーと」に着いた。
想像の8倍オシャレなホールである。

私の席は3階の最後列。
四国から来たのに1600人の末席であった。

ハードラックは続く。

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開演5分前

会場に来れないかわいそうなニューヨーカー達に
「今回なに踊るのかな?」とマウントをとる。
そういえば配信してるのでマウントにはなってない。

「やはりジャニーズで来たか・・・」

玄人っぽい謎ワードを心の中でつぶやく。
硝子の少年ってそういえばダンスって知らないな。

嶋佐さんのキレキレのダンスに見惚れる。
そして、リリーさんの踊れなさに昔の自分を重ね合わせた。

私の高校はダンスの名門で、当時では珍しくダンスの授業があった。
しかも、上位になったチームは全校生徒の前で披露する機会が与えられる。
私のチームは真面目に練習し、振り付けも自分たちで考えた。

その甲斐ありクラスの代表に選ばれた。
しかし、私はリリーさん以上にダンスの覚えが悪い。そのうえ本番に超弱い。

本番当日、真っ暗な体育館が明転し、それと同時に曲が流れる。
それとほぼ同時に頭が真っ白になる。
3分間まるで木のように棒立ちした。

次はネタコーナーだ。
ニューヨークは大好きなネタをやってくれた。
何度も見たネタだが、何度見ても面白い。
少しフレーズが変わっているのもファンとしては嬉しい。

お客さんの笑うポイントで初見なのどうかすぐに分かる。
見取り図ファンなのかニューヨークファンなのか見分けるリトマス紙になる。

そしてシャッフル漫才。
私はシャッフル漫才自体ほとんど見た事なかったのてワクワクした。

屋敷さんの練習時間の話を聞くと、当たり前だが「プロってすげー」と思った。

盛山さん&嶋佐さんはサイズ感の違いよりも、
右側に立っている嶋佐さんに強い違和感を感じた。
いかにニューヨークのネタを見ているのか実感した瞬間だ。

ひろしのコーナーに関しては、言語化する能力を持ち合わせていないので書けません。

とりあえず楽しかったのということと、3階席からだとモニターの上が全く見えなかったことだけお伝えします。

ライブ後はニューヨーカー4人で打ち上げをした。

持ち前の幹事力で終演5分後に予約完了。
しかも、国際通り付近で食べログがもっとも高い居酒屋だ。
ダメ元で電話したら、なんとベストタイミングで席が空いたらしい。
どうやら運が回ってきたようだ。

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ニューヨーカー4人の出身は岩手、福岡、北海道、愛媛とバラバラだ。
全員会うのは初めてだったが、すぐに意気投合。
好きなもので熱くなったり語りあえるということは、もしかしなくても素晴らしいことだ。

2軒目に向かう。

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竜宮通り

三線スナックで泡盛を4人で水のように飲んだ。

もしかしたら途中から水だったんじゃないかとすら思っている。

百戦錬磨のスナックのママも、凄い飲むねと息を巻いていた。

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シークワァーサーが添えられていた

沖縄縛りのカラオケをして
三線に合わせて踊り
謎のお菓子をたらふく食った。

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ニューヨーカーの三線に合わせそれっぽく踊る

3件目は地元民が集まる小さな居酒屋に行った。
既に時刻は25時だ。

するとニューヨーカーたちは、

やれ、明日はスキュバーだ。
やれ、私は原付で島を回るだ。
やれ、パラセーリングで空から海を見るだ。

眠たいことを言い残し、散り散りになっていった。

また、1人になってしまった。

「1人でいる」のと「1人になる」のはまるで違う。

私には時間がないのだ。

往年の海外ドラマ「24」よろしく、
頭の中では常にあのタイマー音がなっている。

1人になりたくない。

泡盛の力を借り那覇仕様になった私は、
隣の席にいた沖縄ガール4人に話しかけた。

沖縄女子は寛大な御心で、楽しく呑んでくれた。

するとそのムーブを見ていたカウンターの兄ちゃんやおじさんまで話に入ってきた。
居酒屋が一つになった瞬間である。
そのまま永住したくなった。 

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素敵な沖縄の方々


しかし、この出会いには続きがあった。

なんと翌日「fumi」さんからLINEが来たのだ。

「昨日はありがとうございます。楽しくて酔っぱらっちゃいました。今日は何してるんですか?」

おやおや?

これはまさかの「勝ち確」イベント?

フライトまで時間はまだある。

しかし、3ラリーして違和感に気づく。

「ん?なんか変だぞ?」

なんということでしょう。

その人は居合わせた現地のおじさんだった。

おじさんから返事が来た。

「えっ?私がやり取りしてるのは誰?」

そしてまた私のLINEネームは「yui」が入っている。

私もおじさんである。

酔っ払って帰り際にLINE交換したのを忘れていた。

二人のおじさんは、共に相手は女子大生と思い込んでやり取りをしていたのです。

yuiいう名を見て女性だと思ったおじさんに落ち度なんてない。

私の南国ピアスはおじさんとのダブルノックダウンという奇抜なオチで終演を迎えた。

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