上手くなりたい
頭のなかは至極単純で、「ゲーム上手くなりたい」と思えば上手くなった自分が夢に出てくる。
すぐさま夢と現実が、満足と落胆を連れて入れ違った。
「なんだ、夢か。」
そんな浅すぎる漫画のオチみたいなことを思いながら2階への階段を上る。
未だ夢見心地に片足を踏み入れているふざけた顔が、洗面所の鏡に映った。
パッと見は消極的で、ハングリー精神の欠片も感じられないその様。
でもほんとうはすごく負けず嫌いで、いつも心のどこかにギラギラと光る何かがある。
ゲーム上手くなりたい。
だいたいのゲームはやればそれなりに出来るようになる。昔からそう。
でもあくまでもそれなりで、そこにはセンスも何もない。
あぁー、上手くなりたい。
勝負に負けた瞬間、勢いよくベッドに倒れ込み、天を仰いでそう嘆く。
プロゲーマー並みにゲームが上手い一般人的なポジションを確保したい人生だった。
今だけは、ちょっとだけ童心に返って本気でいたい。熱中していたい。
思えば今日もずっとゲームしてたな。
高校のレポートの締め切りが近づいている。
あはは。あははははは。
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