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RZP Book Talk Vol.6『嫌われる勇気』岸見一郎, 古賀 史健 著 | ダイヤモンド社 刊

「同調」と「監視」、私たちが作った日本社会のお家芸

営業する店への非難、他県ナンバー車へのいやがらせ……。コロナ対策で政府が「自粛」を呼びかける中、私達が目にしたのは、国家の監視ではなく、要請だけで「監視」しあう私達自身の姿です。自粛警察という新しい言葉が登場しましたが、考えてみると、村八分、隣組、世間体-過度な同調や監視は今に始まったものではなく、日本社会の暗いお家芸なのです。

同調、監視-その苦しみと連鎖について、Ryozan Parkメンバーの片桐隆さんは本書を推薦し、次のように話してくれました。

●それは誰の痛みか?

僕は気を回し過ぎるところがあり、学生時代に1つのコミュニティに依存して、人間関係崩壊の恐怖からノイローゼになりました。そんな時に、本書のタイトルを見て、自分の殻を破るヒントになるかもしれない、と読んでみました。実際「トラウマは幻想だ」と断言する目的論や、課題の分離は衝撃的で、私には福音ともいえる内容でした。以来、仕事や実生活でもややこしい問題に心を悩ます時には、目的論を意識して、課題が分離できないかを自問しています。組織ではいきなり解決策を提案すると、大抵逆に問題がややこしくなります。「まず誰の課題なのか?」と課題を分離してから、解決策を考えると、とても楽になりますし、実際うまくいきます。本書が出版されたのは8年前ですが、今なお新しいメッセージを持っています。

●社会は平和、でも心は平和でない日本

人間はもっぱら大きな群れを作り協力するという社会的進化で脅威を克服してきました。その進化の過程で私達の脳には他者の情動を認識する「共感」機能が備わりました。

反面、他者と「繋がる」共感機能は、実在しない他者の痛みを想像させ、不快感をもたらします。私たちは不快を感じると自律を取り戻したくなり、他人の痛みでも自分本位に解決しようとします。「俺も辛いからお前も耐えろ」という同調圧力は共感という「繋がる恐怖」の裏返しであり、監視の裏には「繋がらない恐怖」があります。悲しいことに共感機能は人を優しくもすれば攻撃的にもします。共感しやすい人ほど極端な心の動きに振り回され、生きることに疲れてしまうのです。

本書『嫌われる勇気』というタイトルからは、「繋がり」を拒否するような強く勇ましい生き方を連想させます。しかし実際には、共感性の強い繊細な人が、ありのままに生きるヒント、他者のために一歩踏み出せる方法を提示しています。その向こうには「人はいつも分かり合っていなくても仲良くできる、だからこそ心の平和と社会の平和を両立できる」、そう思わせてくれる1冊です。

戦争がなく平和な社会のはずの日本、一方で自殺者は多く、毎年内戦並みの人がなくなっています。ありのまま生きたい、多様で平和な社会を目指したいと考える人は読んでみてください。

↓↓↓Book Talkに関心のある方はこちらからグループ参加できます。聞き専も歓迎↓↓↓

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【↓↓↓今回のスピーカー片桐 隆さんの活動↓↓↓】

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