日向坂46、HO6LA、FreeKie……アイドルディスクレビュー#17(10/25〜10/31)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第17回。今回は「日向坂46」「HO6LA」「FreeKie」の3組を取り上げます。

・日向坂46『ってか』(10月27日リリース)

9月から約1ヶ月に渡り開催されたアリーナツアー『全国おひさま化計画 2021』を無事完走した日向坂46。6月に休養を発表した小坂菜緒不在で臨んだ本シングルのセンターには2期生の金村美玖が選ばれた。エース不在の中で日向坂46はどう立ち回っていくのかが気になっていたが、いざ蓋を開けて見ると、グループとして新鮮なアレンジが光った楽曲で、日向坂らしくもあり、金村の表現力が活かされたとても有意義な作品となったように思う。

まず目を引くのは「ってか」というインパクトのあるタイトル。若者の間で一般的に使われる簡易的な言葉であるが、歌詞中では自分の意見を主張するフレーズで使われ、非常に印象に残る。歌詞のテーマも面白く「外見だけではなく内面を見てほしい」という女性目線の歌で、外形的な魅力ばかりが先行してしまいがちなアイドルが歌うからこそ、中々に説得力が生まれる形だ。それでいて、メッセージとしては普遍的なテーマでもあるから、多くの人には共感を覚える歌詞でもあるだろう。

日向坂46の表題曲といえば、「キュン」や「ドレミソラシド」を始めとしたキャッチーなフレーズとダンスが特徴としてあるが、本作は激しいダンスを全面に押し出し、新たな顔を覗かせている。ライブでも見せ場が多そうな楽曲で、これからが非常に楽しみだ。

今回もまたカップリングも充実している。3期生の上村ひなのがセンター、2期生がフロントを固めるフレッシュな全員参加曲「何度でも何度でも」や東村芽依、高本彩花の仲良しコンビ・あゃめぃちゃんがスタイリッシュに歌い上げる「夢は何歳まで?」、丹生明里、金村美玖、渡邉美穂による休日に聴きたいゆったりとしたサウンドメイクが心地いい「あくびLetter」、山口陽世、濱岸ひより、佐々木美玲、河田陽菜のみーぱんファミリーが甘酸っぱい青春時代をギターのストリングスに乗せて切なく歌う「酸っぱい自己嫌悪」など、日向坂46の多彩な魅力が堪能できる。サウンド面のアプローチが斬新で面白い「アディショナルタイム」も必聴。

・HO6LA『ピリカリラ』(10月26日リリース)

「24時間耐久合宿オーディション」から選ばれたわんにゃんサーキットDX!、笑瑠、八光うみ、わずらい、クスノキロアと発起人であるパンルナリーフィによって結成された苺りなはむプロデュースのアイドルグループ・HO6LAがついに始動。9月にはお披露目公演「HO6LA 1st one man live『炎』」を開催し、いよいよ本格始動した彼女たちがシングル『ピリカリラ』を発表した。

「ピリカリラ」は、コンポーザーにトラックメイカーとして高い評価を受けているKOTONOHOUSEを迎え、EDMを大胆に取り入れたトラックメイクが施されている。これはCY8ERから試みられており、HO6LAもまた前身グループと地続きであることを強く認識させられるものだ。カップリングの「トーキョーマイウェイ」は、いかにも和とEDMの調和というべき音像で、主旋律は和テイストでありながら盛り上がるポイントではEDMサウンドがごっそりと顔を出してくる。

KOTONOHOUSEのサウンドメイクが光る2曲に加えて、「タイムカプセルガール」はボカロPのSpacelectroが作曲を担当。ネジを巻く音を取り込んだ大胆なアレンジに始まり、和テイストで幻想的なサウンド、メンバーの透き通った歌声による味わい深いソロなど、見どころ盛りだくさんで飽きがこない。全3曲ともに一貫したコンセプトで制作されており、すでにHO6LAらしい音像を形成しつつある。

・FreeKie『We are“FreeK”』(10月27日リリース)

とんでもないアイドルユニットが誕生してしまった。その名もFreeKie。グループ名の由来は事務所名の「FreeK」と新人の意味を持つ「Rookie」を掛け合わせたものだそう。

Repezen Foxでもお馴染みのチバニャンプロディースというだけでも話題だが、驚くべきはメンバーの数だろう。合計20組の男女アイドルグループによって結成され、なんと総数は150人超。参加グループにはchuLaや//ネコプラ//、buGGの女性アイドルからUnK≠LucKやRe:BRE FUNTOSの男性アイドルまで、合同会社FreeK-Laboratoryに所属しているアイドルグループが一堂に会した。このごちゃまぜ感がとても面白いし、話題性も抜群だ。

気になる楽曲についてだが、電子音が効いたアップテンポなナンバーでさながらお祭りのよう。約150人が収まっているMVの映像はなんとも壮観ではあるが、ソロパートが挿入されていたりと、個人にもしっかりフォーカスされており既存のファンも楽しめる。アイドル界隈でもじわじわと人気を集めているグループが所属しているだけに、これからどのような形で展開していくのか期待したい。


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