BiSH、Shibu3 project、開歌-かいか-……アイドルディスクレビュー#27(2/7〜2/13)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第27回。今回は「BiSH」「Shibu3 project」「開歌-かいか-」の3組を取り上げます。

・BiSH『ぴょ』(2月9日リリース)

2022年連続リリース第2弾として『ぴょ』をリリースしたBiSH。重厚なパンクロックを基調とした同曲は、作詞を竜宮寺育、作曲を松隈ケンタというおなじみの顔ぶれが担当。原点回帰的なバンドサウンドという王道を貫きながらも、サビではキャッチーなメロディへとガラッと変化し、目まぐるしく曲調が入れ替わる展開が面白い。歌詞は意味のある羅列をなしていないものの遊び心が感じられるし、激しくも芯のあるパフォーマンスが彼女たちの醍醐味なのだと思い知らされた。アイナ・ジ・エンドが手掛けたサビのダンスは、キャッチーで可愛らしいので、TikTokを始め、ライブなどでも盛り上がっていきそう。

矛盾を抱えながらもただ真実の愛を求める気持ちを真っ直ぐに歌ったカップリング曲「HONESTY」は、現実のグループの状況とリンクして、彼女たちへの思いが溢れてくるような楽曲だ。ラストイヤーまで全力で駆けていく彼女たちの背中をしっかりと見届けたい。

・Shibu3 project『DON’T LOOK BACK!!!』(2月9日リリース)

プラチナムプロダクション所属の大型育成プロジェクトとして活動しているShibu3 projectが2022年一発目のシングル『DON’T LOOK BACK!!!』をリリース。小浜桃奈や石川涼楓、原藍梨など恋愛リアリティショーを中心に活躍しているメンバーが多数所属し、大所帯でありながらも個性的なメンバーを輩出するプロジェクトとして存在感を高めている。

表題曲「DON’T LOOK BACK!!!」は、文字通り“振り返るな”という意味が込められている、前向きなポップナンバー。気持ちが沈んでいるときに聴くと、勇気がもらえそうな力強いパワーを秘めた楽曲だ。MVは大所帯らしく学校を舞台に青春の一部を切り取った映像となっており、こちらも見逃せない。英語詞に加えて独特な言い回しの日本語を用いたアップテンポなナンバー「オー!ヤミー!」、クラシカルなバンドサウンドが特徴的な「HIT!」のカップリング曲も充実。

・開歌-かいか-『折々』(2月9日リリース)

昨年5月に百岡古宵が卒業し、新たに4人で再スタートを切った開歌-かいか-がリリースした1stアルバム『折々』。“メンバーの鮮やかに咲くような歌声を届ける”をコンセプトにボイスパーカッションとアカペラを駆使したライブパフォーマンスで急成長を遂げてきた彼女たちの集大成とも言える内容になっており、リード曲からメンバープロデュース曲に至るまで王道アイドルポップからエレクトロニカなど四季折々の多様なサウンドと歌唱を聴かせている。

リードトラック「だれかに会えるなら」は、これまでの数々の楽曲を提供してきたタカハシヒョウリと「Secret Summer」も手掛けたポップしなないでの共作。空気を漂うかのような柔らかいメロディに、そっと乗せるようにして歌うメンバーのボーカルが心地よい聴き心地で、彼女たちにしか出せない空気感が醸し出されている。個人的に気に入った楽曲をあげるとするならば、AメロからBメロにかけてメロディを最小限に抑えられ、メンバーの歌声が活かされたバラードナンバー「はるかぜ」。情感たっぷりと歌われる歌詞はじんわりと背景にある景色が浮かんでくるようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?