アメフラっシ、BiS×ZOC……アイドルディスクレビュー#18(11/1〜11/7)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第18回。今回は「アメフラっシ」「BiS×ZOC」の2組を取り上げます。

・アメフラっシ『SENSITIVE』(11月2日リリース)

アメフラっシが11月2日にニューシングル『SENSITIVE』をリリース。クリティの高い歌唱力とダンススキルで各方面で関心を集めていただけにこれが初の全国流通盤ということが驚きだが、何よりもこれまでのジャケット写真とはまた一味違う、ネオンカラーが散りばめられたビビットなジャケットにアイドルとしての野心が垣間見える。

表題曲「SENSITIVE」で80sのシンセポップを妖艶に描き出したかと思えば、「Lucky Number」ではシティポップを現代的に解釈したサウンドのなかで洗練された大人びた歌唱を響かせている。また、激しいビートと掛け声を特徴とする高難度なダンスナンバー「DROP DROP」、ディスコを取り入れたクールな楽曲「DISCO-TRAIN」、トラックメイカーのMaozonがリミックスを施した「BAD GIRL-Maozon REMIX-」と、全体を通して80s〜90sのサウンドをモチーフとした楽曲を中心に、新たなアメフラっシのあり方を提示している意欲作だ。

・BiS×ZOC『割礼GIRL/BEGGiNG』(11月3日リリース)

アイドル界を大いに賑わせているBiSとZOCの2組がひょんなことからスプリットシングルをタワーレコード限定でリリースすることを発表。ことの発端は、タワーレコード渋谷店によるタブルブッキングだった。お互いが強烈な個性を持ち合わせているからこそ、これまでに類を見ない個性のぶつかり合いと絶妙なマッチングが感じられる衝撃的なコラボとなった。

BiSの「割礼GIRL」はZOC のプロデューサーでありメンバーの大森靖子が手掛けた楽曲。ところどころに言葉遊びを散りばめつつ、世情を鋭く切り取った歌詞、サビのキャッチーな盛り上がりなど大森節がこれでもかと盛り込まれている。それに対して絶妙な相性を見せるのがBiSの際立つ個性。彼女たちひとりひとりの個性が本当に凄まじく聴いているだけで圧倒される。ZOCのカバーとなった「family name」はオリジナルよりもギターサウンドが強調されており、速いテンポが光るアレンジに仕上がった。

ZOCの「BEGGiNG」はBiS のサウンドプロデューサーを務める松隈ケンタ×JxSxKの2人が作詞、作曲には松隈というおなじみの顔ぶれ。サウンドアレンジはやはりWACKサウンド全開といったところだが、決してWACK色に染まらないZOCのボーカルスキル。聴いているうちにZOCが培ってきた経験やストーリーにも共鳴する歌詞にも注目だ。また「STUPiD」はBiS のカバーだが、サウンドが全面的に一新され、ZOC版「STUPiD」と言うべき新たな表情を覗かせている。

強烈な個性がぶつかり合っても、調和できるのだと実感した今回のコラボ。今後あるかどうかはわからないが、もう一度実現してほしいと思う。

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