26時のマスカレイド、KissBee……アイドルディスクレビュー:Vol.10(9/6〜9/12)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第10回。今回は「26時のマスカレイド」「KissBee」の2組を取り上げます。

・26時のマスカレイド『トルマリン』(9月8日リリース)

今年10月にデビュー5周年という節目を迎える26時のマスカレイドが、2ヶ月連続リリースに続いて、ミニアルバム『トルマリン』をリリース! 10月の誕生石であるトルマリンは多彩な色を持っていることでも知られ、デビューから5年が経ち、鮮やかで多様な色彩を放つグループとして大きく成長を遂げた"ニジマス”そのものを表現しているかのようで、アルバムのタイトルを聞いたときに熱いものがこみ上げてきた。

トルマリンのような輝きを放つグループになっていってほしいという個人的な感想は置いておいて、本作で5人のソロ曲が収録されたことが大きな特徴と言えるだろう。メンバーがそれぞれ作詞を手掛けていることも特徴で、サウンドもアップテンポナンバーからミディアムバラードまで非常に幅広く、個性的な楽曲たちばかり。メンバーの思いがひとつひとつ歌詞に込められた温かな楽曲を、ぜひこの機会に聴いてみることをおすすめしたい。新曲の「トルマリン」についても書かせていただくと、この楽曲はメンバーの江嶋綾恵梨が作詞を務めており、これまでの歩みを振り返り、希望の光を胸に前へと進むニジマスの決意を歌った5周年に相応しい記念的なナンバー。すでに才能の片鱗を見せていた江嶋だが、作詞センスにはやっぱり惚れ惚れしますね。

その他の楽曲に関しては、「ダンデライオンに恋を」と「メロサマ」がすでにリリースされている既存の楽曲で、それぞれクボナオキ作詞曲、すぅ(SILENT SIREN)作詞とニジマスのお馴染みのクリエイターが手掛けている。ニジマスの定番夏ソング「ちゅるサマ!」に続く王道夏ソング「メロサマ」は、キャッチーに聴こえるのにサウンドは本格仕様で、ライトブルーを基調とした衣装も清々くて可愛らしい。アカペラで幕を開ける「アイリス」は2019年に初披露されファンの間でも人気の高い楽曲のひとつで、ラストを飾るに相応しい壮大なナンバーだ。

5周年を迎えニジマスはどこに向かうのか。本作はその未来を提示してくれているように感じた。

・KissBee『君に夢中』(9月7日リリース)

昨年12月にリリースした『空ヲモウ』以来となる新曲『君に夢中』をリリースしたアイドル・YouTuberとしても絶賛人気爆発中のKissBee。2020年は、新型コロナウイルスによる活動の変化に加えて、初期メンバーでURA-KISSのリーダーとして活動していた鷹野日南の訃報など、グループがこれまで積み上げてきた勢いを止めなければならなかった。これまでノンストップでただひたすらに走り続けてきたグループにとって、今となっては必要な休息だったのかもしれない。

再始動ライブから約1年後、KissBeeが今年初の新曲をリリース。作詞・作曲・編曲はKissBeeでもお馴染みであり、過去には欅坂46の「サイレントマジョリティー」で編曲も務めた久下真音が手掛けている。蓋を開けると前作からは一転してポップで弾けるような曲調で、恋い焦がれる女の子の心情を歌い上げたポップナンバーに仕上がった。楽曲としては近年のトレンドを取り入れられていて、現代性も感じさせる歌詞とサウンドメイキングが非常に耳馴染みがいい。この記事を書いている時点ではすでにオリコンランキングが発表され、なんと同曲がデイリーランキングで1位を獲得。近年はYouTuberとしての活躍が目立っている印象もあるが、KissBeeの楽曲は総じてクオリティが高いので、本作ももちろんおすすめです。

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