乃木坂46、=LOVE、B.O.L.T……アイドルディスクレビュー#24(12/13〜12/19)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第24回。今回は「乃木坂46」「=LOVE」「B.O.L.T」の3組を取り上げます。

・乃木坂46『Time flies』(12月15日リリース)

今年で結成から10年を迎えた乃木坂46が待望となる初のベストアルバム『Time flies』をリリース。“Time flies”とは時間の経過の早さを意味する言葉で、その言葉の通り乃木坂46は驚異的なスピードでここまで駆け上がってきたのだと思わせられると同時に、40曲もの膨大なボリュームの収録曲からは歴史の深さがひしひしと感じられる。

収録曲はベストアルバムらしくデビュー曲「ぐるぐるカーテン」から最新曲「君に叱られた」までの全シングル表題曲と、年内をもって卒業する生田絵梨花センター曲「最後のTight Hug」や2015年に発表された「きっかけ」、昨年配信リリースされた卒業生も参加している「世界中の隣人よ」など、これまでの軌跡を辿れる選曲となっている。

完全生産限定盤及び初回仕様限定盤に収録されているDisc3には生田と新内眞衣のソロ曲が収録。生田のソロ曲「歳月の轍」は、「あなたのために弾きたい」のようなピアノの美しい旋律と生田の透明感のある歌声が共鳴し合うバラードナンバーとなっている。生田の卒業コンサートでも同曲が披露されたが、しんみりと静まり返る横浜アリーナを生田の歌声とピアノが響き合い、なんとも言えないムードを作り上げていた。ファンの前で披露するのは本公演が最後になるはずなので、最後の瞬間をひと目見られてよかったと思う。そして、1月に卒業を発表している新内のソロ曲「あなたからの卒業」は、シティポップ的なアプローチがとても新鮮。最年長で大人の魅力溢れる新内らしい楽曲になっている。

1、2期生の卒業が相次いだ今年の乃木坂46。今月には5期生メンバーが発表される予定となっており、本作はひとつの集大成と言えるのではないだろうか。また新しいメンバーとともに歴史を作り上げていってほしい。

・=LOVE『The 5th』(12月15日リリース)

9月に幕張メッセ・イベントホールにて4周年記念コンサート、10月には富士急ハイランド コニファーフォレストで≠MEと合同で「イコノイフェス2021」を開催するなど、充実した1年を過ごしている=LOVEが10枚目のシングルをリリース。今回も指原莉乃が全曲の作詞を担当している。

表題曲「The 5th」は「僕らの制服クリスマス」から5回目のクリスマスが描かれており、タイトルの5thとはそのまま5周年という意味。きらびやかなサウンドとともに、クリスマスを思い起こさせるフレーズが並べられ、ロマンティックな情景がそのまま浮かび上がってくる歌詞はさすがの一言。

「cinema」以来となる音嶋莉沙がセンターを務めたカップリング曲「お姫様にしてよ!」は、お姫様への願望を抱える社会人の女性という設定が新鮮なポップナンバー。大谷映美里がセンターの「Poison Girl」は、艶っぽいダンスと英語詞を多用した歌詞とかなり攻めたダンスナンバーという印象。ここまで表情をガラッと変えられるイコラブのメンバーの表現力に脱帽だ。大場花菜、髙松瞳、瀧脇笙古、野口衣織、山本杏奈の5人によるユニット曲「BPM170の君へ」はBPMをドキドキする心臓の鼓動に見立て、甘酸っぱい恋模様が展開された胸キュンソング。今回もまた指原Pのソングライティングのセンスが光る楽曲揃いで見逃せない。

・B.O.L.T『More Fantastic』(12月15日リリース)

B.O.L.Tが2ndアルバム『Attitude』から3ヶ月という短いスパンでリリースした『More Fantastic』の表題曲は、ドラマ『ごほうびごはん』の主題歌となっていて、メロディアスなサウンドはそのままに、躍動感溢れる4人のボーカルが心地よい1曲となっている。メンバーそれぞれがケチャップ・マスタード・ホイップクリーム・チョコレートソースの調味料に扮したコミカルなMVも可愛らしい。

カップリング曲の「Reborn」は、〈巡り巡る未来に繋がると信じて 歌い続けていくから〉と未来への決意を力強く宣言したエモーショナルなナンバー。どんな困難がこの先待ち受けようとも、未来に向かって歌い続けていくグループの思いに胸を打たれる。

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