AKB48、PassCode、超ときめき♡宣伝部……アイドルディスクレビュー#13(9/27〜10/3)

1週間でリリースされたアイドルによる楽曲のうち、個人的に気になった楽曲をピックアップしてレビューをしていく連載の第13回。今回は「AKB48」「PassCode」「超ときめき♡宣伝部」の3組を取り上げます。

・AKB48『根も葉もRumor』(9月29日リリース)

AKB48単独としては約10年9カ月ぶりのリリースとなった本シングル。7月かからは『乃木坂に、越されました~AKB48、色々あってテレ東からの大逆襲!~』(テレビ東京)といった自虐的な側面を押し出すというチャレンジングな番組に挑戦するなど現状を変えようと模索してきたAKB48だが、本シングルはまさにAKB48の決意と変革を予感させるものとなっている。本作でセンターを務めるのは先日STU48との兼任解除を発表した岡田奈々。グループの歴代シングルとしては最高難度のダンス曲と言われた「NO WAY MAN」以来となる激しいダンスが話題となり、YouTubeではへとへとver.を始めとした様々なダンス動画が投稿されている。乃木坂46に対する形でAKB48が自らの強みを見出したのは“ダンス”だ。岡田を筆頭に息のあったフォーメーションダンス、キレキレで迫力あるダンスパフォーマンスの完成度の高さに思わず息を呑んでしまう。AKB48史上最も過酷ともいえるダンスナンバーで、アイドルグループの天下を再び取りに行く。この路線がグループにとって起爆剤となるか、今後に注目だ。

・PassCode『PassCode THE BEST -LINK-』(9月29日リリース)

メジャデビュー5周年を迎えるPassCodeがこれまでの楽曲が収められた自身初のベストアルバムをリリース。今年8月には今田夢菜が勇退し、新たにLADYBABYの有馬えみりを新メンバーとして迎えたタイミングでのリリースは、これまでのPassCodeの歴史の集大成であり、有馬えみりとともにこれから新たなチャプターを迎えるうえで、非常に重要な作品となっている。ディスク1ではメジャデビューシングル「MISS UNLIMITED」や「Ray」といったグループを代表する楽曲群を始め、インディーズ時代のアルバム『ALL is VANITY』から「LINK」が再録されるなど、往年のファンを唸らせる内容に。ディスク2ではメンバー自身だけではなく、サウンドプロデューサーの平地孝次やKid'z(MY FIRST STORY)なども選曲に参加し、それぞれの思いが詰まった思い入れの強いセレクトとなっている。特設サイトでは選曲にあたってのコメントが掲載されているので要チェックだ。激動な展開を繰り返す重厚なサウンドとエレクトロニコアを特徴とするメロディ、楽曲のアクセントとなっている強烈で美しいシャウトといった今田を含めた4人が築き上げてきたPassCodeらしさが強固な普遍性を獲得しているのだと改めて感じられる作品となっている。

・超ときめき♡宣伝部『すきすきすきすきすきすきっ!』(9月29日リリース)

2021年に大きく飛躍を遂げたアイドルといえば、真っ先に挙がるのが超ときめき♡宣伝部だろう。2018年にリリースした『ときおとめ』に収録されている楽曲「すきっ!」が今年の春にTikTokで大ブレイクを果たし、ティーンを中心にグループの名が広く知れ渡った。一気に注目を集めた超ときめき♡宣伝部が9月29日にミニアルバム『すきすきすきすきすきすきっ!』をリリース。「すきっ!」をリアレンジ・リレコーディングした「すきっ!〜超ver〜」を筆頭に、すぅ(SILENT SIREN)とクボナオキの黄金タッグが手掛けたキュートでガーリーな新曲「ラヴなのっ♡」、恋人への独善的な愛情を愛らしくポップに歌った新曲「愛Song!」、じゃんけんに例えて歌われる、らしさがつまた応援ソング「ジャンケンポン」、Bメロからサビにかけてテンポが急加速したりとめまぐるしく曲調が変化する面白さがあるエネルギッシュなナンバー「超ステップアップ」、2016年に発表された再レコバージョンでABEMAオリジナルドラマシリーズ「都会のトム&ソーヤ ぼくらの砦」の主題歌「むてきのうた〜2021ver〜」の全6曲が収録されている。超ときめき♡宣伝部の“好き”がこれでもかといっぱいに詰まった愛らしい作品となっているので、TikTokをきっかけに興味を持った方もきっとハマること間違いないだろう。

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