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招かざる客は2度ベルを鳴らす

シックスセンス。
いわゆる第六感の話は霊感ヤマカントンチンカンで。

気の迷いだったり、後からのこじつけであったりもするので、にんともかんとも、ではあるがなぜか非常に印象に残っている、2度鳴らされたベル。

試合前日の話である。
バイク仲間たちと談笑している際に「明日の試合はどんな感じなんですか?」と聞かれた。かなり練られた面白いカード、同団体の先輩が対角上にいる変化球なタッグマッチではあるものの、こちらのチームには大日本プロレスが誇る超ヘヴィ級サイレントヴォルケーノ、中之上靖文、その人が鎮座する。その圧倒的な体躯から繰り出される無尽蔵のパワーは時に心強く、時には恐怖をも覚える。その中之上さんと組むのだから、安心感は強い。ただこういう安心感がある試合の時に限って技を上手く決めれなかったり、上手く攻め切れなかったりすることがあるので、その旨をプロレスに明るくない仲間に教え、「こういう試合に限って、大変なことになったりするんだよね、、、」と俺はハッキリと答えていた。
1度目のベルが鳴った瞬間だ。

そして、招かざる客はもう一度呼び鈴に手をかける。

試合当日、自宅を出る際のこと。
ちょうど玄関の廊下のところに鹿の頭蓋骨のオブジェが飾ってあるのですが、(筆者はハンターでもある異色のレスラーでこのオブジェは自らがハンティングした鹿の頭である。狩猟界ではトロフィーと呼ぶ。)
鍵を出し、ドアを閉めようとした際、ドアの隙間からその鹿の頭が目に入ったのです。普段であればまったく目に入らないし、気にしたこともないのですが、なぜか目が離せず、扉が閉まりきるまで視線を奪われたまま。
その鹿はまるで悲哀の塊のようで。泣いているような、憐れんでいるようなオーラを纏い、、、あ、今日、なぜか無事に戻れる気がしないかも、、、みたいな感覚がするりと頭の中に潜り込んでくるような感覚、、、

瞬間!

トゥルルルルルル、トゥルルルルルル、、、

ドアが閉まると同時に唐突にけたたましく鳴り響くスマホの呼び出し音。別件の連絡だったが、まさにその時、2度目のベルは鳴らされた。

多分、怪我をしなければこんなこともすべて忘れていてこじつけることもないですが、人間って面白いもので、兎角関連付けたがるものです。
何があろうとなかろうと怪我した事実は変わることはなく、こんなに「試合前まで時間戻ってくれないかなー」って思ったことはないですし、怪我をしてイイことなんて何もないって思っていたのですが、怪我をしたからこその人の思いやりや優しさに触れてココロの氷が解けていくのですが、それは、また、次のおはなし。

ありがと!!