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【第60話】ゴミの分別は間違えないようにしましょう

「そう言えば、単位申請ページ見てたみたいだけど、決まったの?」

 陵の日課? であるゴミ捨て場漁りに向かう道すがら、ふと気付いたような顔をして洋子がそう訊いてくる。結衣は陵と顔を見合わせてから頷いた。

「あの、洋子先輩それで、相談したいことあるんです」
「なに? 結衣ちゃん」

 結衣に洋子が訊ねたところでエレベーターが一階につく。結衣は陵と並んで外に向かう廊下を歩きながら言葉を継いだ。

「あの、綾があたしと一緒に軽音楽実習受けようって言ってくれたんです。でも、あの単位って、成績順の抽選みたいだから……」

 結衣は言葉を濁して洋子を上目遣いに見た。そうなんだよ、と陵が頷いてじっと洋子を見つめる。二人の視線を浴びた洋子が一瞬、うっ、と怯んだような気がした。多分、いや、間違いなく怯んだ……のではなく、頬が赤くなっているところを見ると、萌えた、の方が正しいかも知れない。

「成績は問題ないわよ。結衣ちゃん入試で主席だったし、綾ちゃんも結構上位だったし」

 結衣の視線に気付いたのか、いったん咳払いをした後、洋子がきっぱりと言い切る。その言葉に結衣は思わず目を丸くした。

「え? あたし主席だったんですか!? かなりの教科で最後までたどり着けなかったのに」
「あー、綾ちゃんには話したけど、結衣ちゃんには話して無かったかしら。清陵高校の入試問題は全問解答できるようなものじゃ無いのよ。七割の問題に手を付けられれば上出来というか」
「なるほど、そうだったんですね」

 結衣はしみじみと呟いた。受験の時は全問クリア出来ず、酷く落ち込んだものだ。時間の割に設問数が異常に多く、見直す暇もなかった。だが全てに解答する必要はない、むしろ出来ないようになっているのなら納得だ。

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