レコードとゲーム

3度目の緊急事態宣言、その煽りを受けて、ライブやコンサートの開催がまた難しくなってきました。予定されてた大阪のライブも延期になり、観にいく予定だったコンサートも配信になった。コロナの影響で(というよりコロナ対策としての政府からの規制による影響で、)ライブエンタメ産業の市場は約8割も減少しているようで、さすがにこの文化的ショックは大きい。当事者としても辛いところがある。

そんなここ数日、俺はアナログレコードを聴くことで調子を保っていた。レコードの音は生音みたいに全身に届く。空間を満たし、部屋の隅々まで沁み込んでいくような音がする。ライブやコンサートの代わりになるなんてことはないが、音楽の「体感度」という点においては配信ライブよりもアナログレコードの方が現場の臨場感に近いものがあると思う。

手間がかかるのもレコードの良いところだ。普段はストリーミングサービスでファストに、便利に音楽を楽しんでいるからこそ、わざわざでかいジャケットからでかい円盤を取り出して、埃をとって、プレイヤーに乗せて、針を落として、最初の一音を待っているあの時間に、何にも替えがたい快感がある。人は昔から儀式を大切にしてきた。俺もそういう儀式が好きだ。

思えば、好きな音楽にお金を払うという行為ができるのも今では貴重だ。所有するということも同じく。「このアルバム最高!大好きだし、ずっと聴くだろうし、レコード買おう!」と思えるのは、音楽ファンとしては幸せなことだと思う。

自分の作品は配信限定リリースのくせに、と思う人がいるかもしれないので言っておくと、俺は毎回「レコードで出したいんですけど」というジャブは打っている。今のバンドの規模と予算では難しいというだけで、チャンスさえあればいつだって自分の作品はアナログで出したい。
今年出たアルバム『アウトドア』に関しては、少しでも作品の所有感を味わってもらえたらなということで、リリックカードをグッズにしているので、もし興味があれば見てみてください(オーディオコメンタリー付き)。

話は変わって、最近「ファイアーエムブレム風花雪月」というゲームをずっとやっているのだが、これが面白すぎて困っている。今月の初めに買って、もう100時間以上もやっている。昨日の晩、一番難しいモードをようやくクリアしたのだが、そのままもう一度初めてしまった。現在4周目。こんなにゲームにハマるのは久々で、自分でも焦っている。中毒みたいになっていて、このままでは危険だ。でも、周回しないと物語の全貌が見えない作りになっているのだ。罪深き仕様。

主人公は士官学校の先生で、三つのクラスから担当を選び、その生徒たちを育成していくというストーリーなのだが、後半には戦争が始まり、かつての学友たちと殺し合いをせねばならなくなる。前半はハリーポッターで、後半はゲームオブスローンズなのだ。キャラクター一人一人にちゃんと生活や歴史があって、全員に感情移入してしまう。みんないろいろな信念や葛藤を抱えながら生きて、戦っているのだ。エンディングは毎回涙を流しながら観ている。

モンハンの新作が発売されて、それを買うと時間が吸い取られるだろうし、でもなんか新しいゲームをちょっとやりたいなと思って購入したのがよくなかった。映画やドラマを観たり本を読んだりする時間が完全に削られている。Netflix社がライバルとしてフォートナイトを挙げていたことを思い出した。
音楽の作り手としても、人がどのようなコンテンツに時間を割いているのか、もう少し敏感にならないといけないなと思った。多くの人が沢山の音楽を聴く時代になってほしい。そのためにも引き続き自分のバンド活動を頑張ろう。自分のレコードを出すためにも。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?