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キャッシュふるが早々にサービス停止していた件

キャッシュふるというサービスが公開されたとのニュースを見かけてサービス概要を見たところ、「これはダメだろう・・・」と静観していたところ、稼働数日でサービス停止・返金対応となっていたのでこれをうけて感じたことを書きます。

1:サービス概要

 ざっくり言うと「ふるさと納税で節税したい(が返礼品はいらない)」という人と、「ふるさと納税はできないが返礼品は欲しい」という人の仲立ちを行うサービスとなっていた。
 ふるさと納税者は「返礼品を受領する権利」を販売することで、実質的に寄付金控除を受領しつつ、(手数料を一部、運営会社が差し引いたうえで)現金を手に入れることができた。
 一方で、(寄付額には所得に応じて上限があるため)ふるさと納税ができない人は「返礼品を受領する権利」を購入して、返礼品を受領することができた。

2:問題点

 これだけ見ればWin-Winと思われるが、ふるさと納税の運用意図を鑑みれば、サービスの健全性に疑義が出てもおかしくないだろう。
 金券を返礼品とするなどして裁判となった泉佐野市の一連の騒動を見ても現金および金券などをふるさと納税で受領することは総務省は厳しくチェックしていることは想定される。
 個人的な感想としては、なぜサービスの設計時点で「大丈夫」と思えたのかが疑問点に思う。率直に「モラルハザードを引き起こしていないだろうか?」とも考えていた。
(参考リンク: 総務省 よくわかる!ふるさと納税)

3:サービス停止までの流れ

6月10日に総務大臣「返礼品は、寄付を受け入れた自治体がお礼の気持ちを表すためのもので、代わりに現金を受け取ることは制度の趣旨から大きく外れる。担当部局に対応の検討を依頼した」という旨の発言により、運営会社が同日、関係者へのお詫びの文章とともにサービス停止を発表してまさに一瞬で終了してしまった。(ちなみにサービス開始は6月8日で3日間の稼働となった)

4:まとめ

 法律や制度にはそれぞれ運用意図があり、それを想定した制度設計が行われる。設計(開発)側の想定されない利用が発生することも含めて想定しなければならないという難しさをこの一連の動きで見た。また、今回は制度の利用仲介にて起こった問題と考えれば、仲介業者のモラルハザードも想定しなければならず、「良い制度」の設計にはより一層の苦労が想像される。
 しかし、これは民間でも同じで本当に数多くの新商品(サービス)が登場しては消えていく現状の中で、「良い商品」を探し、利用していく目を自分自身が養わなければならないなと感じた。

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