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*後半*【コオロギ大炎上の地獄から売上4倍・通期黒字化】昆虫食スタートアップからコンパウンドスタートアップに進化

後半は資金調達後の試行錯誤とコオロギ炎上、現在までを一気に書いて行きます。


余談なのですが題名は上手く行った感があるかも知れませんが、なるべくその過程の「失敗にフォーカス」して書きたいと思います。
個人的にですが、起業家noteや起業家の伝記は成功談よりも過去の失敗をさらけ出している(乗り越えている)話が大好きです。
私自身も成功談を語るよりも失敗をさらけ出して学習し成長し続ける起業家でいたいと思います。
勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしです。

*前半は創業前夜〜2年目で初めての資金調達について書きました。

・ シード調達後①(2021年9月〜2022年11月)「一勝九敗」採用において試行錯誤の連続

 資金調達後、一気にコオロギ事業を進めようとコオロギプロテイン・コオロギプロテインバーのマーケティング施策や店頭への卸売を進めようとしましたがその前に、1番大事な仲間集めを始めました。
これまでは正社員メンバーがおらず、1人では限界があるので仲間集めをしなければいけません。

スタートアップはリファラル採用が命なので、まずは大学時代の友人に片っ端から声をかけました。
元々人を誘ったり巻き込んだりするのは得意でした。かなりの数の友人が「元々興味を持っていた」「入りたい」と言ってくれて結果的にある程度採用は、上手くいきました。
元々明治大学時代から知人だった蝦名は在職期間は短かったですが、弊社の事業に即した管理会計の基本やKPI管理の仕組みを整えてくれたり。同じく大学の知人の青山は後の主力事業になる原料・OEM事業の立ち上げを一緒にやり遂げたり。地元の中学校時代の友人である村山がまずは副業(今はフルタイムで中心メンバー)で自社ブランドを育てたり。とにかくリファラル採用のメンバーに助けられてきました。

逆に上手くいったのは上記だけで、それ以外は失敗の連続でした。
採用に限らず組織での失敗は数えきれないほどあって書ききれないのですが、
1番の失敗は、自分は人を口説いて採用してくるのだけが得意で、その後のオンボーディングやマネジメント・仕組み化がテンでダメだったこと(に早く気づいて対処できなかった)です。

実はリファラルのメンバー以外にも何人も正社員・インターンで採用しましたが、皆さん早々に退職されました。最短1ヶ月くらいの方もいらっしゃいました。
採用しては退職、また採用して退職が繰り返され、資金調達をしたものの事業が進捗しづらくもどかしい日々が続きました。
原因はひとえに僕が実務の適切な振り分けや進捗管理・適切なフィードバック等、「上司」ができなかったことだと反省しています。
会社に入ったら勝手にビジョンの元で自律的に仕事を創り実行する、ダメだったら修正して成功するまで実行を繰り返すのが当たり前だと思ってしまっていました。
初めての起業で、完全に組織作り・マネジメントを舐めていました。
今考えると、1人で完璧にそれができるならわざわざ会社で働かないよなと。

 時間と資金の面でかなり痛い失敗でしたが、それを経験し今は「口説く」→「オンボーディングする」→「マネジメントする」をメンバー内でしっかり分業できている状態になり人が定着するようになりました。
この点においては後に人事も担当する村山が入社してくれて本当によかったと思っています。

 PMFするまでミドル以上の正社員は雇わない方がいいと思っています。
今の創業期のメンバーはリファラルということもあり奇跡的に、何が仕事かもわからない状態から痛い思いをしながら仕組みを作り上げていくことができました。その点において本当に感謝しています。
本来は、PMFし作業ベースで実務が切り分けでき、ユーザーの入り口から出口までのオペレーションを組み切ってエコノミクスが成り立つと踏んでから採用すべきでした。

・ シード調達後②(2021年9月〜2022年11月)「一勝九敗」コオロギ食D2Cにおいて試行錯誤の連続

 コオロギ食D2Cにおいては、自社ブランドの「INNOCECT(イノセクト)」を伸ばすためにあらゆる施策を行いました。
自社ECでの定期購入を増やすためある程度資金を張ってECを再度デザイン製作するところから、異なる訴求のLPを何枚も仕込み独自のフルフィルメント(前半で書いた手書きの手紙など)を行ったりSNS運用したりと書籍などで出ている一通りのD2C施策はほとんど全て実行しました。結果的にある程度の売り上げが立ちました。
加えてドン・キホーテやロフトなどの大手バラエティ、量販店で販売開始できたこともあり一定はトラクションが立ちました。

 しかしこの時期から、ある種の動物的本能で2つの危機感を抱いていました。
1つは、スタートアップ業界で特に投資家からD2C事業への評価が悪くなり(ある種元々がブームだったというのもあり)始めていたこと。
→実際に悪くなり今はD2CでVCから投資を受ける人はほとんどいないはず。

もう1つは、コオロギ食品(昆虫食)の認知が広まりある種の悪目立ちが増え始めた一方で、実態の実需要としての昆虫食市場規模が全然追いついていないことでした。
→これが後の炎上につながる

本当に動物的本能でこの時期に、コオロギプロテインD2Cに加えてコオロギに限らず健康食品の原料・OEM事業を開始していました。そしてある種トラディショナルな領域のこの事業をDXしていきたいと考えていました。
するとコオロギプロテインD2Cの傍ら、この事業が急成長し利益を生み出すようになりました。

・ コオロギ食の大炎上(2022年12月〜2023年5月)とコオロギのその先へ

そんな矢先、恐れていたことが起きました。
ある他のコオロギスタートアップが学校給食に食用コオロギを導入したことを発端に、日本中でコオロギ食がかなり大きく炎上しました。(食べるかは選択制であったこともあり、それ自体は全く悪くないと思っています。)
一般的なイメージで昆虫食への嫌悪感と、政治的な思想が強い方の陰謀論に巻き込まれ、様々なメディアでも著名人がコオロギ食品について批判しだしたことによって、昆虫食スタートアップは窮地に陥りました。
実際に、卸先のお店で政治的な思想が強い方が「コオロギを置くな」と叫び出したりということがありました。
その時には関西まで足を運んで事情を説明したりと対応に追われました。
昆虫食スタートアップの創業者として僕個人にも誹謗中傷がかなり多く飛んできました。
当時オフィスが新宿にあり、新宿駅前の広場で政治的な思想の強い方による「コオロギ反対デモ」が行われており、毎週その横を通ってオフィスに通勤するという中々スリリングな日々を過ごしていました。
前半でも書きましたが、起業家に1番大事なのはメンタルの強さじゃないでしょうか。打たれ強さと何があっても諦めない粘り強さ。

今考えてもコオロギ食の炎上はアンコントローラブルな炎上だし、自責思考は大事ですが、こればっかりは本当に自分達のせいじゃありません。
しんどいなと思う事は多々ありましたが、サステナブルな世界にしたい、そのために新しい食の選択肢を創りたいとビジョンを立てたことは1ミリも変わらず、淡々と対処していきました。

ただ、この頃からコオロギの次を考えなければいけないと強く意識しました。その答えは急成長している既存事業の原料・OEM事業のDXでした。

・ 健康食品原料/OEM業界のDXと自社メーカー業(2023年6月〜現在)

気づけば通期で黒字化することができ現状を見直すと、今のODD FUTUREは健康食品領域の原料(川上)・OEM(川中)・D2C(川下)と、SPAモデルでサプライチェーンをバーティカルに統括することで競争力が生まれている。
更にそれら全部の商流をDXすることができれば、、、
そこで、既存株主のアンパサンド株式会社と始めたのがプロテインOEM製造のDX「Factory X 」です。
事業の詳細までお話しすると話が長くなりすぎるので割愛しますが、サービスローンチから3ヶ月程度で急成長しあっという間にユーザー数は1,000社を超え、PMFステージを迎えることができました。
明らかにこれまでの事業とは一線を画す圧倒的な手応えが、KPI数値としても定性的にも感じ取れています。

自社メーカー業もリニューアルしコオロギに限らず、様々な商品を展開し全国のドラッグストアへ展開が決まったりとEC・卸ともに急成長しています。

健康食品から始まり様々な領域のサプライチェーンをDXしサステナブルな世界を創るコンパウンドスタートアップに。
ODD FUTUREはコオロギ炎上を乗り越え、進化することができました。
4期目の途中ですが、2024年は大きな転期を迎えることになると思います。
乞うご期待ください。

最後に、ODD FUTUREでは商品開発営業を絶賛募集しています!
少しでもODD FUTUREが気になる方は僕のX(Twitter)にお気軽にDMください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!


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