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*前半*【コオロギ大炎上の地獄から売上4倍・通期黒字化】昆虫食スタートアップからコンパウンドスタートアップに進化

2020年6月に創業した株式会社ODD FUTURE は2023年5月で3期目を終え、4期目に突入し、2023年末で創業から約3年半が経ちました。 私は最近の華々しい経歴を持つ賢い起業家ではなく、「起業するしかないタイプの起業家」で創業からこれまでありとあらゆる地雷を綺麗に踏みながら何度も地獄を見てきました。 結論、何とか乗り越えてExitできるくらいの規模で3期目を終え、通期黒字化を達成できました。 その過程で創業事業のコオロギ事業から、OEM製造DXの新しい事業「FACTORY X」に辿り着きました。

ここで一度自分自身の振り返りを兼ねて、創業からこれまでの出来事を時系列で記録しておきたくてnoteを書きます。
長くなるので前半は創業前夜〜2年目で初めての資金調達について、
後半は資金調達後の試行錯誤とコオロギ炎上、現在までを書こうと思います。

・ 創業前夜(2019年4月〜2020年6月)覚悟を決める

私は2019年に明治大学を卒業し商社に入社しました。
「とにかく何か大きな事を成す人間になりたい」と漠然とした欲望を抱き商社に入ったものの、私はとてもサラリーマンが務まる人間ではなく常に多動的でじっとしていられず、入社1年で「これは向いてないな」となりサラリーマン以外の道を探すようになりました。

元々親戚に起業家が多く、専門商社を創業したりエステサロンなどのスモールビジネスをしている姿を見ていたことから、漠然と自分も起業が向いているのではないか、と考えるようになりました。
しかし、最初はあまり起業に前向きではなかったのも事実です。
弊社の社員からすると「お前が言うなよ」となるのが想像つきますが、親戚の起業家はかなりの変わり者ばかりで私生活などはとても尊敬できるとはいえず「起業家はヤバい変な人」だと思っていたからです。(それもあって子供の頃は地元の市役所に勤めることを人生の目標にしていました・・・)

ところが血は争えず、側から見るとまさに自分こそがその「変な人」であったことを社会に出て自覚しました。
「俺みたいな人間が何か大きな事を成すには、起業するしかない。」そう思い起業を決意しました。

会社を創ることを決めたものの、具体的に何の事業をやるかは決まっていませんでした。
商社に入り、サステナビリティという概念は今後単なるトレンドで終わることなく30年続く地球規模の課題となることを確信していたので「サステナブルな事業をやりたい」ということは決まっていました。

悶々として過ごしていたある日、部屋に小さな虫がいて何故か私は「これは食べられるんじゃないか?」と思いました。
そして、興味本位で「昆虫 食べれる」と検索しまだ日本国内ではほとんど存在しない「昆虫食市場」の存在に気づきました。
「こんなに良いアイデアはこれ以外この世に存在しない!」「昆虫を食べられるようにして世界に新しい食の選択肢を創る!」と何か狂ったように熱狂し三日三晩、寝食を忘れて世界の昆虫食スタートアップや昆虫食の文献を端から端まで調べ尽くしました。
そして「起業し昆虫食事業で勝負する」と決めました。

・ 創業〜1期目(2020年6月〜2021年5月)0を1に

昆虫食で勝負すると決めたなら、次はどうすればいいんだ?
商社にいたこともあり、とりあえず最初は海外の売れている昆虫食品を輸入して日本国内で販売しようと決めました。
まずは海外の昆虫食品を片っ端から個人輸入し試食と、各メーカーに仕入れ交渉を開始しました。
ところが、「日本人の口に合わない」「まだ昆虫食市場がないのにMOQ(最小仕入れロット)が大きすぎる」ため断念しました。
2020年当時、D2Cの波が来ていたこともありそれならば「自社で昆虫食D2Cブランドを創ってしまえ!」と思いその4ヶ月後に日本初のコオロギプロテインブランド「INNOCECT(イノセクト)」をローンチしました。
ローンチするまでも色々あったのですが、これまで自分で受発注書類も切ったことがなかったところから事業における全ての業務を自分でやりました。

・コオロギ原料開発
単なるメーカー品の仕入れでなくコオロギを粉末原料に加工する際の加工工程の指定や日本で食品として流通できる規格に合わせるなど
・商品開発
最終製品はコオロギの高タンパクである特徴を活かしてプロテイン商品にしようと決めました。最初はコオロギ以外の原料はOEMに任せました。(そしてこれが2年後自分たちでOEM側に周りテクノロジーを持ち込み勝ち筋となります。)
・ECサイトをshipifyで構築
これも外注できる資金もなく最初は自分でやりました。
今思うとひどい出来だと思いますが、簡単に外注せず理解しきるまで高速でインプットし自前でやりきる。これがODD FUTUREの自前主義カルチャーにつながっていると感じます。
・プレスリリースやキャラバン
プレス業務もやったことなど一度もなかったのですが、とりわけ力を入れました。何といってもコオロギ事業の1番のメリットは「コオロギ食」と一言聞いてもらっただけでメディアの方に面白がり盛り上がってもらえることです。つまりお金がかからずに認知が取りやすいのです。(これも今思うとデメリットでもあり、後々のコオロギ炎上に繋がっていましたw)
PR TIMESやその他のキャラバン活動によって、地上波を含めジャニーズ(スマイルアップ)の方や芸人さんに食べていただいたりネット記事にもしていただいて一気にコオロギプロテインの認知が広まりました。
・配送などのフルフィルメント
最初は全て自前配送でオフィスから自分で梱包し発送していました。外注ロジでなく自前はいそうなことを活かして1件づつ顧客に10行ほどの手書きの手紙を書いていました。

「コオロギ食品」を信用してもらうために手書きの手紙を1件づつ書いて、まずは自分(ブランド)を信用していただこうと思いました。

・マーケ業務全般
・卸売の営業
・カスタマーサポート

・2期目(2021年6月〜2022年5月)初めてのエクイティファイナンス

あっという間に1年目が終わり、2年目を迎えました。
さて、お金がない!!!!!
1年目に日本政策金融公庫と信用金庫から借りましたが、まだ認知されていない昆虫食市場を作るにはデットファイナンスだけでは無理だと気づきました。指数関数的に伸ばすためにはVCや事業会社からエクイティファイナンスをする必要があると。
ところが、見ず知らずのカネなしコネなし実力なし社会人経験もまともにないコオロギ食をやっている駆け出しの起業家に返済義務のないお金を投資する人は普通に考えるといません。それでも絶対に資金調達する必要がありました。
0を1にしないといけない。
知り合いにあてもなかったので、僕は気が狂ったようにX(Twitter)でシードVCや事業会社の社長(エンジェル投資家っぽい人)に1,000件ほどDMを送りました。これが同じ時間帯にDMを送りまくるとアカウントを凍結されたので、数時間づつ時間を空けながら24時間お金を持っていそうな起業家やVCにDMを送りまくりました。
1,000件のDMで1件でも面談させてもらえたら有り難いと思いましたが、これが意外にも20件~30件くらいお話を聞いていただけることになりました。
すると今度はお会いしても中々すぐに投資していただけることにはなりません。厳しいお言葉もいただきました。
「昆虫食を流行らせる前に、長田くんが虫の息じゃん笑」
当時は悔しくて悔しくてたまらなかったですが、今思うと社員と一緒に「確かにな上手い事言ってるww」と笑えるぐらいに余裕が出てきました。
初めての投資家探しに鬱々としていた時に、後の共同事業を含め運命を変えることになる株式会社キュービックの世一さんに出会いました。
世一さんはzoomで僕の高校生の発表会のクオリティみたいな資料のピッチを見ていただいた後、いくつか質問をいただき面談は15分くらいで終わりました。「zoom15分で終わるって相当微妙だったんだな、どうしたらもっと興味を持ってもらえるだろう」と自問自答していました。
ところが、世一さんから「出資する方向で検討させていただきたく〜〜」と連絡いただき自分で連絡し機会をいただいておいて何で!?とビックリしすぎて頭が真っ白になりました。
そして、人生で初めての投資を受けました。
あの時の感覚は今でも鮮明に覚えています。ここから覚悟が明確に1段階上がりました。
その後、更なるご縁をいただき著名な投資実績のあるVCさんからも調達させていただくことができました。
何とか初めてのエクイティファイナンスを成功させることができました。
この時に1番大事な事に気づきました。持たざる者ならとにかく行動する。余程資金を溶かすことやお相手からの信用を失うことでなければ、できない理由や失敗のことなど一々考えずにとにかくやる。プライドは要らない。結果が出るまでは尊厳も要らない。そしてやりきるまで途中で飽きたり辞めたりしない。途中で辞めなければ勝てる。

前半は創業前夜〜2年目で初めての資金調達について書きました。
後半は資金調達後の試行錯誤とコオロギ炎上、現在までを書こうと思います。
まだ書き上げていないので、前半を最後まで読んでいただいた皆様からのいいねや感想などいただけたら嬉しいです。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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