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【完全犯罪の恋】 せっかく読ませていただいたのに、私には合わない作品でした。。。

完全犯罪の恋
講談社 2020年10月26日 刊行予定
田中慎弥

NetGalley様よりゲラを頂き、読了いたしました。

芥川賞や直木賞といった文学賞については、発表されるときにはそれなりに注目するのですが、そこから読書に発展することがあまりありません。避けているわけではないのですが、なぜかそのような事が多いですね。

さて、本作です。芥川賞受賞作家による、恋愛小説。
恋愛小説で完全犯罪とは、どんな内容なのでしょう。なかなか読む前から興味をそそられます。
主人公の名前は「田中」というのですが、これは作者による体験を下敷きにした話ではないそうです。空想という言い方を前書き部分でしているのですが、どちらかというと、過去の自分の体験と現在おかれている状況から、導いた妄想という表現が近いのではないでしょうか。

いくらゲラをいただき発売前に読ませていただいたとしても、忖度はしたくないのではっきりと書いておきます。
私はこの作品は読んでいてあまり気乗りがしませんでした。
主人公の書き方が素晴らしいのです。素晴らしいだけに、あまりにも現実に存在しているかのような感じがしてしまい、気持ち悪いのです。それはもしかしたら、作者からすればしてやった、かもしれませんが、この主人公の田中の考え方や行動はどうも気持ち悪い。
さらには、ヒロイン枠なのか、田中と対になる存在である真木山という女性も好きになれない。
基本的には田中と真木山の会話が中心となってストーリーが進んでいくのですが、この会話の展開も理由はわからないがイライラするのです。
うーん、書いてて思ったけど、私は作者の思うように読まされているのかもしれない。
作者が自分の考えたように感情をコントロールするためにこのような文章にしていたとしたら、間違いなく私は手の上にのってますね。

この作品が恋愛小説と恋愛小説としていることについては、様々な形があることを考慮すれば恋愛小説となるのでしょうが、恋愛という名を借りて、過去の自分を清算していると感じました。
うーん、そう考えるとこの小説は私小説と感じてしまうのですが、やはりそこに考えがいってしまうということは、作者の手の上から出ていないのかもしれない。
難しいですね。
文章の組み立て方だったり、情報の出し方だったり、表現だったり。
そういったことはさすがと思わせることが多かったですね。

こんな感想文になってしまい、本当に申し訳ないのですが、本当に正直に書いてしまえば、私には合わない作品でした。無理に「おもしろい!」とか「感動した!」とか書こうと思えば書けたけど、それは何か違うと思い、正直に書きました。

サポートを頂けるような記事ではありませんが、もし、仮に、頂けるのであれば、新しい本を購入し、全力で感想文を書くので、よろしければ…