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さよなら青春時代 (序文)

20代前半の頃大好きだったロックスターといえば、ボビー・ギレスピー(Primal Scream)だった。当時、彼を紹介する記事に「不惑を迎えたボビー・ギレスピーが~」というものがあったことを鮮明に覚えている。rockin'onだったかCROSSBEATだかSnoozerだったかは忘れてしまったのだが。

僕は「不惑」という言葉を目にすると、必ずボビーのことを思い出す。







17年ばかりの歳月が経過し、2019年。

僕は不惑を迎えた。

2003年のボビー・ギレスピーはすっきりスリムな体型であったことを覚えているが、現在の僕はといえば、Sサイズを選んでいたTシャツがMでも厳しくなり、Lのほうがラクという体たらくである。いやいや張り合うなよ。相手はロックスターだからな。とはいえ、だ。過ぎ去った年月は残酷である。絶対に父親のような体型にはならないと思っていたのに。


ボビー・ギレスピーは現在57歳。あと3年で還暦を迎える。

17年間のうちに、僕という人間は音楽を売る仕事をずっとやってきて希望と絶望をいくつも味わい、恋をして結婚して子供を為した。

長い間、大人になりきれなかった。グダグダと引き延ばしたかのような青春時代の縛鎖を断ち切ったばかりである。ようやく大人の世界の入り口に立ったような気さえする。成人して20年も経っているのに何を寝惚けたことを言っているのか、と多方面から叱責が飛んできそうだが、悲しいかなそれが嘘偽りのない自分の心情なのだ。

2019年に不惑を迎え、2020年に本厄を迎えた。

嫌なことに、よくよく調べたら妻も本厄だった。占いだとかは信じない性質だった筈なのに、どうにも落ち着かない気分になってしまう。家族が出来たからなのだろうか。

先日、ようやく厄祓いを終えた。別にすっきりした気持ちにはならない。なんとなく荷が下りた程度である。それより花粉症のほうがつらい。

疫病が蔓延するご時世だ。何も起こらなければいいな、と願いつつ、ここ2年で自分に起こったできごとを記していきたいと思う。

これはけじめであり、僕の青春時代への決別を宣言するものである。



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