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『勇気論』刊行記念イベント テ-マ「 いま日本に一番足りないものは『勇気と正直と親切』」ゲスト 内田樹先生×編集者・古谷俊勝さん報告レポート

今回は、内田樹先生のご意見をお聞きしたいことが多く、質問を準備して望みました。

1. SNSでつぶされる恐れ
  公権力を持ち、尚且つ、フォロワー数の多い人が特定個人を攻撃するような時には、どうやって対抗すれば良いのか?いわゆる犬笛を吹く人。人格否定であったり、吊るしあげなど

例) シ-ルズの奥田 愛基(おくだ あき)君の場合。2015年、平和安全法制(安保法制)に反対する「自由と民主主義のための学生緊急行動」(シールズ:以下「SEALDs」)を創設したメンバーの一人である。その活動に、私も期待していたが、SNSで、右翼、左翼、共産党、中核派、全方向から攻撃を受け、その攻撃は、家族や身内にまで及び、メンタルをやられてしまったという。
これだけSNSで、酷いことを書かれると耐えられないのではないか?
 
 
答え
内田樹先生によると、人間は3つの層で構成されているそうです。
原理原則・法体系といった社会契約レベルの上部構造が社会契約、

そして、身体レベルで不愉快 鳥肌が立つ 血の気が引く 胃が縮む 生命力を萎えさせると言った身体感覚といった下部構造。それは生命を脅かせる。身体能力は合気道もされていることから備わっておられるとのこと。

そしてその間に、社会における関係性といったものと折り合いをつける能力、共感レベルがある。本来はこの3つの層がある。

ただ、僕はこの中間の層が欠落している(全く気にしない)のだそうです。故に、もとより人間とは孤独な存在だと達観されているとのこと。 

勇気を出して何か行動すると孤立する恐れがありますが、内田先生は、まったくそれが怖くない。また、人が、SNSで、何を言おうと、書こうと見ない!とのことでした。 (見るから気になる)見てはいけない!と言われていました。

2.コロナ禍で、松井市長が、突然、何の前触れもなく、もちろん教育委員会にも相談もなく、「オンライン授業をする」と、テレビで、言ったため、教育現場は、大混乱に陥りました。そんな中、現場の子どもたちや、心配する親御さんのことを一心に考えて、提言書を出した久保敬先生は、市教委から文書訓告処分にされました。

今回、その久保敬先生が、参加して下さっていたので、ご登壇いただき当時のこと、そしてこれまでの経緯と「訓告処分に対する取り消し」を求めた裁判について分かりやすく説明していただきました。

その後、久保先生も、内田先生のお話を聞いて、あの時、このままだったら死ぬときに後悔する、と、感じたことは、今から思うと、〝身体レベル〟だったのかも知れない。と話されました。

私も、noteに書き込む時には、〝身体レベル〟で、書かずには、身が持たないところまで追い詰められているのかも知れない。と感じたのでした。

そして、内田樹先生に、「文書訓告」の件についてもどのように思われるかお聞きしました。


2011年、平松邦夫さんが、市長の時に内田樹先生は〝特別顧問〟を依頼されたそうです。その後の記者会見で、教育に対して、ご提言お願いします。と言われて、「僕からのお願いは、市長は教育に口を出さないで欲しい。市長は、4年ごとに変わる。その都度、教育理念をいじっていたらきりがない。現場は大混乱するし、一番困るのは、子どもたちなので、とにかく教育というのは惰性(今まで続いてきた習慣)の強い仕組みで、急には変わらない。少しずつしか変えられない。変える時は、現場の教員の要望で、こう変えてほしいと言われたら変える。行政官が、政治家が、その時の心情や理念で、変えることがあっては、絶対にあってはいけません!してはいけません!Never!」と声を大にして言われたのでした。

ガッツせんべい応援団の先生たちが、情報公開請求された、メールでのやり取りで、問題になっている、ついこの前まで、松井市長の特別顧問だった大森不二雄氏との違いを改めて感じたのでした。

3.大阪府と大阪市には、他の自治体には無い条例が、二つあります。
一つは、府立や、府立や市立学校等の行事の国歌斉唱で教職員に起立斉唱を義務付ける国旗国歌条例。そして同一職務命令に3回違反すると免職を可能にする職員基本条例です。不起立3回でクビなのです。

大阪の元教員の松田幹雄さんが、「君が代」の起立斉唱を命ずる職務命令に従わず、処分されました。大阪地裁に戒告処分の取り消しを求めて2020年に提訴した裁判、1月19日最高裁は棄却、

この件についても、ご意見、お聞きしました。

まず、強制は、憲法違反ではないのか!と言われました。そして、とうとう内田先生の怒りが爆発したのでした。(期待してはいましたが、それを上回るほど熱かったです)

「国家国旗斉唱について、国家、国旗、というのは、ものすごい政治的な問題なんです!  この歌詞でいいのか、論じたり、みんながオープンに議論することは、心理的成熟のためには良いことです。けれども、歌わなくては、処罰するというのは、思考停止を 命じている!
市民的成熟を、強制的に禁止している! 議論させないということは、強制し、愚民化し、 反知性主義を作ることになるんだ!!」内田節が、炸裂しました。

今まで、10回ぐらい隆祥館書店のイベントにお越しいただいている内田先生でしたが、今までで一番、熱く「学校という組織は、何のためにあるか?目的を考えなければならない、子どものためにあるんだ!!」と、前のめりになって怒っておられました。

また、凄く嬉しかったのは、内田先生が、大阪市の教育委員会から今年、講演を依頼されたとの事です。自他ともに認める「反維新」の立場の内田 樹先生に、講演を依頼されるとは、教育の分野でも、バックラッシュ(揺り戻し)的な変革の兆しが見えてきたと、嬉しくなったのでした。

会場からも、「オオ~!!」というどよめきが起こりました。
昔のようなインクルーシブ(多様性)教育の先頭を行っていた大阪に戻ってほしい。子どもたちの自主性を大事にして、競争だけではない、共に成長しようとする本来の教育に!!と、心から思ったのでした。

他にも
4.奈良教育大学付属の校長による、現場の教員入れ替え問題について

5.麹町中学で、校長から突然のヒップホップダンス禁止令が出され生徒らが泣いて抗議、した事件について   
 「ヒップホップ・ラップの授業づくり」(明石書店)などの著書がある埼玉大学教育学部の磯田三津子教授は、「生徒の気持ちを無視し、教師の価値観を一方的に押しつけるのはよくない。生徒の学校離れがかえって進むのではないか」と指摘しているが、内田先生のお考えは?

6.鹿児島県警の前の生活安全部長が、「県警トップが、不祥事を隠蔽  県警トップは、県民の安全より、自己保身を優先した。」と告発したが、情報漏洩で捕まった事件について(内部告発は、守られるべき)

など、お聞きしましたが、すべては書ききれません。(ぜひ、アーカイブ動画をご覧ください)

大阪の維新政治に対する批判から、教育と政治の距離の大切さ、株式会社の業績目標と政治や教育の目的の根本的な違いが良く分かるお話でした。
政治や教育、日本を席巻する反知性主義を正論でズバズバと斬ってゆかれました。
内田先生の舌鋒は鋭く、時にお茶目で、痛快でした。

内田樹先生、ありがとうございました。
古谷俊勝さん、軌道修正へのご協力ありがとうございました。
 
いやあ、本当に、これほど熱い内田先生を今まで見たことがありません!!
 
たくさんの方々から、参加して良かったと言っていただけました。まだ、余韻が残っています。今回のアーカイブ動画は、本当に見ていただきたいです。スッキリします!!
この機会にぜひ、お申込み下さい。
お申し込みは、https://ryushokanbook.com
 
 

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