12/14緊急イベント「月刊 地平1月号 大阪特集」テーマ『選挙と民主主義を考える―大阪デモクラシーは可能か 』聞き手: 熊谷伸一郎さん ゲスト: 立岩陽一郎さん 津久井進さん アルテイシアさん 報告レポート
今回は、地平1月号が大阪特集で、テーマは、「選挙と民主主義」でした。実は、私にもお声を掛けていただき、寄稿しています。
12月だけは、本業の本屋の業務が毎年忙しく、普段はイベントも1回するかしないかなのです。
けれども兵庫県の選挙の様子を見て、民主主義が壊れていくような危機感を感じ企画しようと考えたのでした。
公益通報をした方のプライバシーは、守られず、さらに、デマで塗り替えられ、知事は嵌められたんだというような論点ずらしに持っていくYouTube動画、それに群がる金銭目当てのユーチューバーたちによって、一般の方々が扇動されていく様子は、これまで見たこともないものでした。
そこで、地平社の代表の熊谷伸一郎さんとご相談させていただき、急遽、緊急イベントと銘打って、開催することにしたのでした。
ゲストについては、熊谷さんから打診がありました。今回の地平に寄稿されているジャーナリストの立岩陽一郎さん、弁護士の津久井進さん、作家のアルテイシアさんの3人となりました。
第一部では、
まず、兵庫県出身のアルテイシアさんが、選挙の時にどのような状況になっていったのか、具体的に時系列で、話して下さいました。その様子はまるで関東大震災の際に、朝鮮人が井戸水に毒を入れたなどというようなデマで、民衆が扇動されたことを彷彿させるような状況だったと。人々が簡単に騙されていくのは、これまでの教育に問題があるのではないか?「ネットリテラシー」・「フィルターバブル」について熟知できているか?などと話されました。(※フィルターバブル= 過去の行動、好み、検索履歴などによってパーソナライズされた情報のみを受け取ることによって、ユーザが偏った信念や価値観を持ってしまう事象)
弁護士の津久井さんは、兵庫県知事選において稲村和美氏の後援組織の共同世話人をつとめた方でもあり、Xのアカウントが、立ち上げるたびに、凍結されたそうです。(組織的に虚偽の通報をして凍結させられた。) これについては、告発しているとのことでした。
また今回の選挙では、昨年よりも15%投票率が上がっていること、しかしながら、これは、関係者によると、選挙の投票の仕方を知らない初めての有権者も多く、〇〇さん頑張れと〇〇という候補者の名前を書いたものまであったそうです。これは、無効票になるそうです。何の裏取りもされていない、確証のないYouTube動画で選挙が左右されたことなどを話され、最後に、今回は「人権」が守られていない酷い選挙だったと話されました。
立岩さんは、「民主主義を守るためには自分たちの軸を持たなければならないと、そのためには、ファクトチェックについての議論をしないといけない」と切り出されました。さらに、「選挙の公平性を保つために、〝ファクトチェック〟の報道をしてはならないなんてことはないんだ」と、「フェイクを見つけたら、その都度、ファクトチェックをして報道する!メデイアは、今まさに、本当の仕事をしなければならない!総務省が、SNS対策をすると言っているが、これはむつかしい、法律を変えなくても、今のままでも、メデイアができることがあるんだ」と話されました。
津久井弁護士も、声を大にして「今の法律のままでできる、メデイアが委縮してはいけないんだ!」と話されました。お二人の声がどんどん大きくなり熱い議論となりました。思わず拍手していました。
第二部では、民主主義を大事にしたい人が、自分たちの軸を示せないとどうなるのか?どう示すのか?
メデイアの問題、選挙制度の問題について、熊谷さんが、兵庫県のような選挙が、今からもう一度あるとしたらどのようにすればいいのか?と尋ねられ、フリーディスカッションの場となりました。
1.SNSのデマは、公職選挙法違反
2.〝ファクトチェック〟を主要なメデイアが、選挙期間中にしっかりして反論すること それは、現在の法律を駆使してできる。
3.検察庁に、フェイクニュースのファクトチェックが、どれだけ大変なものか?実践してもらう。
4.公職選挙法235条2項に定める「虚偽事実公表罪」「事実歪曲公表罪」で、訴える。これについては、津久井弁護士が、会場の皆さんにも丁寧に分かるようにその場で読んで教えて下さったのでした。
6.検察をチェックする。
7.選挙活動の空白期間
などなど、会場は熱い議論の場となりました。
お話を聞いて、公益通報した方のUSBメモリーを公僕が、第三者に渡すなどあり得ないし、公益通報した人間をここまで吊るし上げ誹謗中傷したことに対する罪、きちんと何らかの方法で罰することはできないのか?お尋ねしました。これは、ご本人が、お亡くなりになっているので遺族が訴えるしかないそうです。
このようなことになってしまう原因は、やはり教育なのではないかと考えるのです。大阪にも全人権で頑張っておられる先生がおられますが、アルテイシアさんが、反差別教育などについて教えることが大事だと仰いました。
それらを学べば、情緒的な扇動やデマに騙されず、人権や他者を思いやる気持ちに至ることができるのです。
生きていく力、騙されないように自分の頭で、考える力をつけるためには、本を読むことも大事だと思います。インタ-ネット上で、デマが横行する時代にあって言論の自由を担保しながら、信頼に足る情報を与えてくれる貴重なメデイアが、本です。
例えばノンフィクションは、ジャーナリストや、専門家、事件・事故の当事者らが、編集者と共にファクトチェックを重ね、時間をかけて完成させます。読書の機会が減ることで、真実を見極める力が落ちたり、正しい政治判断ができなくなったりすることにつながるのではないかと危惧します。
私たちに今、求められているのは、真実か否か、〝ファクトチェック〟することのできる力なのです。
今回は、イベントまで、2週間と少ししかなくタイトでしたが、兵庫県から参加して下さった方々も多く、「よくぞ、このイベントをして下さいました」というお声をいただきました。
またオンラインで参加して下さった兵庫県の方からは、チャットで、「胸のつかえがとれました。ファクトチェックの方法を教えて下さい」などのご意見をいただきました。
このような選挙戦術が、まかり通ったら、これからの選挙は、どうなってしまうのか?民主主義が壊されそうな危機感を感じての緊急イベントでしたが、開催して本当に良かったと思いました。
白熱したイベントでした。今日、今回のイベントに参加して下さったお客様が、芦屋の知り合いにアーカイブ動画配信をプレゼントしたいと申し込みに来られました。
他にも、大阪の教育現場のこと、都構想の三回目についてなど、大阪の事例についてお話しいただきました。
只今、ア-カイブ動画配信、受付中です!お申し込みは、下記ホームページからどうぞ
https://ryushokanbook.com
立岩陽一郎さん 津久井進 さん アルテイシアさん、ありがとうございました。
地平社の熊谷伸一郎さん、ありがとうございました。