<どうすればキーパーソンに話を聞いてもらえるか>ロジカルなだけではあなたの話は聞いてもらえない
アリストテレスによると、ひとを説得するために必要なものは、ロゴス(ロジック)、パトス(情熱)、エトス(信頼感)とのことだ。ひとを説得する(プレゼンする)ときのスタイルとしても、何を重視するかで三つの派閥に分かれると考えている。
もしこのように何を優先するかで説得のスタンスを区分した場合、ビジネスではエトス派がいちばん成果を出すと思っている。以下でなぜかを考えてみたい。
※なお、本稿ではひとに話を聞いてもらうときには何がクリティカルなのかを考えており、ロジックの重要性を否定するつもりはない。
なぜあなたはSteve Jobsのプレゼンをすごいと思うのか
なぜSteve JobsのiPhone発表のプレゼンはだれもがすごいと思うのか?
一般的に言われている理由は以下の通り。
明確なメッセージ
プレゼンの構成がしっかりしている
主張の裏にはロジックや根拠がある
ここで質問です。あなたはSteve Jobsのロジックは何がすばらしいと思いますか?
シンプルに答えよう。ほとんどのひとはそんなことは考えたことがない。
それならばなぜJobsのプレゼンは称賛されるのか?
話を聞いてもらうために必要なことには序列があるはず
必要なことは何かを考えたときに、このような順序があると考えている。
Steve Jobsのプレゼンに立ち返ってみよう。
①誰が話すか?
Steve Jobs以外の人が同じ状況、同じ内容を同じ話し方で話したとして、ここまで称賛されただろうか?
なぜSteve Jobsのプレゼンをみんなが称賛するのか、それはSteve Jobsそのもの実績のストーリーやをみんなが知っており、「Steve Jobsのプレゼンだったらきいてやろうか」というマインドになったことが大きいだろう。
地位や役職、実績などがあれば、話をちゃんと聞いていなくてもひとは納得してしまうものだ。現場レベルでの実務に置き換えて考えてみると、要所ではよりシニアなメンバーに発言をしてもうなど、自分の言葉の重み付けをライトパーソンからしてもらうことが話を聞いてもらうには必要になる。
その外には、そもそも話を聞いてもらうひとと仲が良い関係性を気づけているか、共通性はあるか(出身地・大学などがいっしょで話がはずむか)などが重要になる。
②どこで話すか?
Steve Jobsの話を会議室の中できいても記憶に残らないだろう。製品発表会という場だからこそみんなが期待して話を聞いてくれる。
場の設定というのは非常に重要なことであり、それぞれのシチュエーションで何を議論するのが一番良いかを考える必要がある。会議室のなかで合意することと、その後飲み会で合意することを分けることと本質的には一緒だ。
③何を話すか?
Steve Jobsが、製品発表会で、iPhone以外の製品について熱くかたっていたとしたらどうだっただろうか。これまでにない新しい機能・コンセプトをかたったからこそ、そのプレゼンをみんなが称賛したのではないだろうか。
ビジネスに置き換えると、オーディエンスが知りたいことや新しい気づきというのは何なのかを語ることが話を聞いてもらうために必要なことだと考える。
④どのように話すか
①誰が、②どこで、③何を話すかにより、プレゼンの成果というのはおおよそ決まる。これらがはまっていないと、④どのように話したとしても、相手に話を聞いてもらえず、準備の甲斐もなくあえなく負け戦になる。
Steve Jobsの話し方についてはビジネスマンとして参考になることが多いのは事実だが、テクニカルな面(④どのように)にばかり目がいってしまうと、対局をわける条件(①誰が、②どこで、③何を話すか)をそろえられない。
総括
ひとに話をきいてもらうにはどうすればよいか?冒頭の議論にもどると、エトス派は①誰が、②どこで、③何を話すかに注力し、勝ち戦の条件を整えるのがうまい。資料の量や質だけではあげられない成果をあげるにはどうすればよいか、本稿が一つの参考になればうれしい。
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