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「見せかけのエコ」グリーンウォッシュについて気をつけるべきこと

環境にやさしいという意味の「Green」と、ごまかすという意味の「Whitewashing」を組み合わせた、グリーンウォッシュ(Greenwashing)を規制するルール作りが欧米で先行して進んでいます。

グリーンウォッシュとは、

環境にやさしいことをしているように見せかけて実はしていない

という意味になります。

日本よりも環境意識が高い欧米において、企業がしばしばやり玉に挙げられるグリーンウォッシュ。ひとたび環境団体や公的機関から、

「あなたの広告・情報開示はグリーンウォッシュです」

と言われてしまうと、消費者や一般投資家からの信頼を一気に失うという事態におちいります。

グリーンウォッシュという概念があるからこそ、企業側に環境への取り組みについて、正確な情報を開示をするようなインセンティブが働くと言えます。

このように規律として機能するグリーンウォッシュの存在は、社会的には有意義と言えます。

一方で、企業側からすると善意の情報発信におけるちょっとしたニュアンスの違いにより、グリーンウォッシュとみなされるかもしれないというやっかいな問題が発生します。

この記事では、善意の情報発信から生まれるグリーンウォッシュについて企業の視点から気をつけるべきことをまとめています。

🔽この記事の主なポイント

✅グリーンウォッシュはサステナの取り組みを発信したい企業にとっては避けようのない問題
✅環境意識が高い地域ほど、グリーンウォッシュが問題になる傾向にある
✅サステナ関連の情報発信はあくまでも差別化の一要因として攻めた表現は控える

グリーンウォッシュはなぜ起こる?

グリーンウォッシュは、企業と消費者の以下のような思いから生まれるものと考えられます。

【消費者、一般投資家】
同じ品質・同じ価格であれば(または少しくらい価格が上でも)サステナブルな商品を購入したい。サステナブルな取り組みをしている企業の株や社債を買って取り組みを応援したい

【企業】
サステナブルな商品取り組みを消費者にアピールして他社と差別化したい

①商品表示、②企業広告、③その他企業からのコミュニケーション媒介(アニュアルレポート、企業雑誌など)などにおいて、サステナビリティについての過大広告・事実とは異なる情報が発信されている場合には、グリーンウォッシュとみなされる可能性があります。

自社のサステナの取り組みを消費者にアピールしたいと考えている企業にとって、グリーンウォッシュは避けようのない問題になります。

グリーンウォッシュが提起されるルートとしては、①監督省庁による摘発・改善命令、②環境団体による訴訟、③消費者から情報提供をうけたメディアによる問題提起の3つが考えられます。

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グリーンウォッシュのトレンド

スイスの調査会社RepRiskによると、地域別のグリーンウォッシュの件数はヨーロッパ・北米が最も多くなっています。

RepRisk

環境意識が高い地域では、グリーンウォッシュが問題になるケースが多い、ということですね。

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日本におけるグリーンウォッシュ

環境意識の高まりは日本においても例外ではなく、管轄省庁である消費者庁も環境分野についての規制を強化する方針です。

今後、日本においてもグリーンウォッシュ関連の問題提起が増えていくものと思われます。

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企業が気を付けるべきこと

企業はサステナに関する情報発信を積極的にしていくべきだと思います。グリーンウォッシュの問題について、企業ができることとしては、

  • グリーンウォッシュが自分たちにも起こりうるということを理解する

  • そのうえで、自社の情報開示が善意であったとしても受け手の消費者にとって誤解を生むものではないか判断する

  • サステナはあくまでも差別化の一部として、過度な訴求は控える

というのが現実的な対応だと思います。

🔽参考にしたレポート
スイスの調査会社RepRiskは、グリーンウォッシュに関するレポートを作成しており、地域・業界別の動向を分析しています。


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