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サビメロの話

私は10代の多感な時期を90年代に過ごしてきたため、その頃によく耳にしていた音楽といえば当時流行った音楽、いわゆる「売れ線」と呼ばれるメロディーで構築された曲ばかりだった。

前回の記事でも少し触れたが、当時はミリオンセラー連発の時代で、CDがたくさん売れた時代。

当然、楽曲のクオリティーも高く、とくにサビメロが印象的なものが多かった気がする。

ドラマやCMのタイアップ曲として使用された曲の数々も皆【耳に残る】【記憶に残る】作品ばかりだったと記憶する。

また、90年代前半はB’z、ZARD、WANDSなどビーング系と呼ばれるアーティストたちの曲に勢いがあり、後半は安室奈美恵やtrfなど”小室ファミリー”と呼ばれるアーティストたちの曲に勢いがあった時代だったように思う。

ほかにもいろんなアーティストがいたかもしれないが、好きなアーティストの曲ばかり聴いていたため、あまり記憶に残っていない。

90年代で最後に記憶に残っていたのは、宇多田ヒカルである。

たしか1998年頃だったと思う。

彼女のデビュー曲『Automatic』。

偶然、この曲のPVをテレビで初めて視聴した瞬間、「ああ、これからこの国の音楽シーンが変わるだろうなぁ…」と思った。

その後、実際にR&Bが流行り始め、それっぽいアレンジの曲が次々と現れ始め、個人的にはあまり耳に残らない・記憶に残らないような音楽ばかり増えてきたような印象が残っている。

ちょうどこのあたりの時期から私は洋楽のHM/HR、おもにネオクラシカル系メタルやジャーマン系メタルなどに傾倒し始め、次第に新しく出た日本の音楽に興味を持たなくなっていった。

しばらくの間、洋楽メタル漬けの日々を送っていたのだが、1999年頃、友人のカーステレオでm.o.v.eの曲を初めて耳にして、ひさしぶりに日本の音楽にグッときたような覚えがある。

96年頃に私が一時期ハマッていたFavorite Blueのプロデューサー:木村貴志氏が手掛けたアーティストだと知るや否や、m.o.v.eの曲を聴き漁るようになり、洋楽と並行して日本の音楽はm.o.v.eだけ新曲をチェックするようになっていった。

その友人のカーステレオで聴いたのはm.o.v.eの1stアルバムで、とくに『Rage your dream』という曲にシビれた。

随分時間が経ってから知ったのだが、m.o.v.eはアニメ『頭文字D』の主題歌を担当していた(このアニメは、つい最近アマゾンプライムで初めて全話視聴した)。

あの疾走感あふれるアニメにはピッタリだと思った。

木村氏が作るサビメロは、どれもグッとくるものがある。

たとえば先述した『頭文字D』の主題歌「Gamble Rumble」、テレビ東京系「スキヤキ!!ロンドンブーツ大作戦」エンディングテーマソングとなった「SUPER SONIC DANCE」、日本テレビ系「TOYOTA PRINCESS CUP 2001」大会イメージソングとなった「FLY ME SO HIGH」、TBS系「CDTV-Neo」オープニングテーマとなった「FUTURE BREEZE」など、挙げたらキリがないが、どの曲もサビメロが耳に残りやすい旋律である。

このような耳に残りやすい旋律のサビメロを施した曲が近年数少なくなったというか、まるで滅んでしまったかのように思えてならない。

あくまでも個人的な感想だが、最近流行りの曲はサビメロが印象的ではない作品が多いように感じられる。

聴いていてなんだかグッとこないし、物足りなさを感じてしまう。

これは趣向性の問題かもしれないが、少なくとも90年代の音楽シーンに見受けられた楽曲の数々と比べると、最近の音楽のサビメロが質的に変化してきているように感じられるのは気のせいだろうか?

むかし、亡き祖母が「最近流行りの音楽はよく分からないし、ちっとも良いとは思えない」と言っていたが、もしかするとその感覚にも似ているかもしれない。

ちなみに、わりと最近の日本の音楽のサビメロで個人的に90年代っぽさを感じ取れたのは、あいみょんの『マリーゴールド』と米津玄師の『orion』『LOSER』など。

2000年代の日本の音楽はあまり聴かないのだが、この2人の曲はどこか90年代臭さが感じられてときどき聴いている。

まぁ、それは個人の趣向や感性の問題といわれてしまえば、それまでだけど(笑)

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